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カトリーヌ・ドヌーブの歌

2016-08-30 21:39:25 | Diary
カトリーヌ・ドヌーブが歌を歌っていることを最近Youtubeで知って、
今日の時点でこのブログのトップページにも動画が貼ってあるが、
なかなか悪くない。

たしかに歌手それ一本でやってきた歌に較べれば上手くはないが、
彼女の人生の陰影がそのまま声に現れていて、また、
それを隠そうともしていない素朴な歌い方に好感がもてる。

詳細はわからないが、
編曲や演奏には相当のレベルの人たちが係っているようだ。
途中から入ってくる楽器の音、あれはダルシマーだろうか、
とても効果的で素晴らしいと思う。

カトリーヌ・ドヌーブというと我々日本人にはやはり「シュルブールの雨傘」であるが、
あれは彼女の歌ではなく、吹き替えなので、
本人の歌声を聴くのは私はこの曲がまったくの初めてだ。

そんなことより、なにしろあのカトリーヌ・ドヌーブである。
思うに、一般人では想像もつかないほどに幸も不幸も振り幅が激しかったに違いない。
栄光の頂きに輝き、またその分、挫折も人並みではなかったことは想像に難くない。

その彼女が人生の黄昏時において愛の歌をさらっと歌う。そこが素晴らしい。


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夢の羅列<盆の船>

2016-08-28 20:20:26 | Dreams
夢の羅列<盆の船>


つづき。

スカーフは店内で雪の湖を私に見せた。

それは青くどこまでも透明な湖で、私は雪を踏みしめていた。

静かな漣を見ているとどこからか大きな盆のような円い小舟が2艘、流れてきた。

小舟にはそれぞれネコたちが5匹ずつほど乗っていて、
皆が丸い大きな目で私をじっと見ていた。

あ、家の戸口のところにいた新しい子ネコたちも乗っている。

皆が鳴きも笑いもせずに私を見ている。

ネコを呼ぼうとしたが声が出なかった。
ノドが詰まってしまったかのように声が出ないのだ。

力を入れれば入れるほど声はまったく出ないのだ。

そうしているうちに盆の船は遠ざかっていく。

雪は白い。水は青い。昼なのか夜なのか。

仕方がなく私はネコに手を振った。

おしまい。

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夢の羅列<沈黙思考展開>

2016-08-21 18:30:28 | Dreams
夢の羅列<沈黙思考展開>


つづき。

私は女にそのシベリアの白鳥のシルクだという大判のスカーフの値段を尋ねた。

「8万8千円」

また微妙なというか妥当というか適当というか有りがちというか、
そんな絶妙かつ巧妙なプライシングである。

たしかにスナックの副業で販売するヒザ掛けにしては高いが、
しかしそこはシベリアの白鳥のシルクである。
北の極限にして厳寒の地において鍛えられた究極の天然繊維である。
スカーフのように薄く軽い生地なのに、ヒザにかければたちまち暖炉の温もりである。
そしてひとたび肩にかければすでにアナタは南国の風に抱かれ夢見心地の桃源郷である。

だいたいが羽毛製というからには絹織物の英名であるシルクではないはずなのに、
羽毛のシルクであるという断言と確信と理解の強要は決して8万8千円の値段に対して
恥ずかしくないどころか、確固たる自信を持ってそして胸を張って微笑みさえ添えて
尋ねた者に告げることのできる揺るぎない背景の強さを持っていた。

「安いね」私はそう答えた。

酎ハイ子は私の理解に大変満足した表情をして、グラスをそっと口につけた。

私は考えた。
シルクは蚕の吐いた糸を紡いで作るのだが、これは羽毛を紡ぐということか。

羽毛を紡ぐなどと聞いたことがないが、
現代の紡績技術でなら出来ないこともないかもしれない。
あの薄い生地でそんなに暖かいのなら、軍需にもなるかもしれない。
とくに装備を薄く軽く小さくと考える登山者たちには必需の品であるかもしれない。
いや、普段の生活でも育児やら何やらこの軽さと暖かさの兼ね合いは需要があるよなあ。

考え込んでいるのを見て女は、
私が買うことを迷っているのだと思ったらしく、
ウエイトレスにスカーフを広げて見せるように小声で伝えた。

しかし私が考えていたのは技術的なことと、その素材の革新性であった。

出すところへ出せばそれこそ爆発的に売れるのではないか。
まあどれだけ売れるにしても私は他にやることがあるから手出しはしないが。

この女、自分の抱えた商品の価値をわかっているのだろうか。
「成れの果て」などというスナックで委託販売とは、
どうも大事なことが欠けているような気がした。

ウエイトレスが歩いていくのが見えた。
数メートル先のラックまで着くと、スカーフを手に取った。
そして電気的なキャンドルライトの光の横で布の端の片側を指からおとした。
同時に布を摘んだ両手を高く上げた。
慣れた手つきである。そうしないと裾が床に着いてしまうのだろう。

それまで二重に軽く柔らかに畳まれていたスカーフは
音も質量もない雪崩であるかのように暗い店内の小さな灯りに白く広がった。
そこに私が目にしたのはどこか雪の湖であった。

つづく。
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夢の羅列<鳥シルク>

2016-08-18 19:18:39 | Dreams
夢の羅列<鳥シルク>


つづき。

ウエイトレスが言うには、あれはヒザ掛けのようなもので、
酎ハイの女が以前この店に<委託品>として置かせてもらったということである。
つまり、酎ハイ子はそういった品物を扱う職業ということになるだろう。

店内を寒く感じた女性客などにその布をヒザや肩にかけてもらい、
その良さを体験させ、もし欲しいという希望があれば、
店は酎ハイ子に連絡をし、新しい品を届けてもらう、ということらしい。

そうすると「あれ憶えてますか」という問いかけは、かなりおかしい話しになるが、
まあそこは夢のスナックである。記憶も願望も潜在意識もゴチャゴチャなので、
私もこの場面について何の意味があるのか、まったくわからない。

正直なところ、辻褄の変な話しを書くもの少し面倒だし、
それなら読むのも苦痛であると思われるが、
ここを省いてしまうと、夢を記述する意味もなくなってしまうので、ごめんね。

先にスカーフのような、と形容したのは、
遠目に見てどうも光沢のある薄い生地に見えたからだった。

ヒザ掛けならもう少し厚みがあった方がよさそうなものだが、
「あれシルク?」と酎ハイ子に尋ねると、
「そうなの。シベリアのシルクで、白鳥の羽根なのよ」
「?????????」

それがたとえ夢の中であっても私は返す言葉が見つからなかった。

シルクで鳥の羽根とは?

しばらく私はフリーズ状態に陥った。
そしてようやく言葉を見つけた。
「で、いくら」

言葉がそれしか思いつかなかったし、どうしても値段が気になった。

つづく。
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夢の羅列<スナック・成れの果て>

2016-08-17 19:09:23 | Dreams
夢の羅列<スナック・成れの果て>


つづき。

スナックの看板は「成れの果て」と読めた。
この災害時にどうやら営業しているようだ。
それなら誰かいるだろう。私はドアを開け、階段を降りた。

降りている間になぜか私は数人を引き連れていた。

夢の中のことなのであまり気にしないでほしいが、
確かに私は独りでドアを開け、階段を降りかけたが、
降りている最中に数人を連れていたのだ。

私たちは7〜8人でゾロゾロと暗い店内を案内されるまま歩いた。
黒い合皮のソファを囲んだボックス席に座った。

知り合いといっても、今、目覚めてから考えればまったく知らないのだが、
夢の中では知り合いということになるであろう男3人と女3人くらいで席に着いた。

注文をウエイトレスが取りにきた。

めいめいが注文し、最後の一人の女性が「酎ハイ」と言った。すると、
ウエイトレスは、酎ハイはメニューになく、
レモンハイや梅酒ハイならある、と答えた。

だいたいそんなもの頼むなよ、と私は思いながらも、
レモンハイのレモンを抜けば酎ハイだろ、とウエイトレスに説明しようとしたが、
なんか突然に歯が抜けたかのように口がモゴモゴして声にならなかった。

ウエイトレスはカウンターのバーテンダーの方へ戻っていった。

手持ち無沙汰に見回すと店内はかなり暗かった。
前の席の顔は見えるが、少し離れた知らない客の顔はもう黒かった。

小さなキャンドルのような照明があちこちに置かれ、それだけが店内を照らしていた。

しばらくしてウエイトレスが酒を持ってやってきた。

水割りやビールなどをそれぞれのコースターに置いた。そして、
先ほどの酎ハイを頼んだ女に話しかけた。

「ほら、あれ、憶えてますか。けっこう評判いいんですよ」

ウエイトレスの指差した方を見ると、カウンター席の横の壁際に
背の高い木製のコートハンガーのようなラックがあり、
そこに一枚の長く大きなスカーフのような布が下がっていた。

つづく。
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夢の羅列<冠水フリンジーズ>

2016-08-15 20:02:40 | Dreams
夢の羅列<冠水フリンジーズ>


つづき。

王様のことはすっかり忘れて私は冠水した道路を足取りも重くしばらく歩いた。
それにしても街中が水浸しであった。

途中、女が二人連れで、しかし何事もない様子で反対側から歩いてきた。

二人とも若く、なぜか、いやなぜかではなく、まあ人の好きずきだが、
フリンジのたくさんついた革のコートを着ていた。

ひとりのコートは黄色で、もうひとりはごくライトなブラウンか。
ベージュに近いと言ったほうがわかりやすいかもしれない。

二人とも頭にはインディアンだか何だかわからないが、
妙に色の鮮やかなバンドを巻き付けていた。

そんな二人がヒザまで水に浸かったまま何事もないかのように私とすれ違った。

私はつい声をかけそびれた。二人の雰囲気に躊躇したのだ。まあ夢の中だし。

冠水の原因を知りたかったのだが、二人は私を見るでもなく通り過ぎた。

普通、これだけの災害であれば通行人同士、情報を交換しようという
何か切実な雰囲気を出しているものだが、二人には微塵もなかった。
これからそんなスタイルの集まりでもあって、皆でキメて踊りそうであった。
ヒザまで濡れているのに。

それに私もあのフリンジのコートまでは許容できるが、頭のベルトはちょっと怖い。

まあいいさ。そのうち状況もわかってくるだろう。

またジョボジョボとしばらく歩いた。

するとスナックの看板が目についた。

看板は「成れの果て」と読めた。この災害時にどうやら営業しているようだ。
それなら誰かいるだろう。私はドアを開け、階段を降りた。

つづく。
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夢の羅列<ハエの王様>

2016-08-14 18:34:00 | Dreams
夢の羅列<ハエの王様>


つづき。

ふとドアの右横に都合良く虫取り網が立てかけられているのが見え、私は手に取った。

ハエも1匹なら可愛いのだが、こんなにいると生理的に無理がある。
しかし、網なんかいつ買ったのか。まったく憶えがない。

「はっ」と私はヒザ下辺りで網を振った。

ハエはひと塊に群れて飛んでいたため、一気に網に入った。まさに一網打尽である。

網をくるっと返し、逃げられないようにして、さてどうしようか。

とりあえずそのまま激しく振り回してみた。気絶くらいはするだろう。

1分間くらい強く振り回したら、弱ったのか死んだのか、ハエの塊は動かなくなった。

よし、ゴミ袋にでも入れて捨てようと網から出し、コンクリの上に置いた。

なんだまだ生きているのか。ジジジ……などと羽音がする。そして、

私がじっと見ている目の前でハエは10数匹の塊のまま20cmほどふわっと浮き上がった。

驚きとともによく見ると、
なんと一匹だけが懸命に羽ばたいて他のハエたちを脚で抱えたまま飛び上がり
どこかへ逃げようとしているのだ。なんという根性。なんという生命力。

私はこれを見て、ふと先の大戦の南方戦線にて、まるでサイボーグのような
戦闘力と生命力をもって日本はおろかアメリカにおいても伝説と化した、あの
渋谷センター街入口の大盛堂書店創業者、舩坂弘を思い出した。

いや、これはまさしく蠅の王様ベルゼバブに違いない。
蠅に読み方が似ているというだけで蠅の王などと呼ばれた異教の神ではあるが、
ミルトンの失楽園においては、ルシファーに一歩下がりながらも、
男が男に惚れるというような、男子かくあるべしというような発言を遺している。

しかしさすがに群れを抱えては王様も高くは飛べないようで、
ごく低空をゆっくりゆっくり飛んでいく。

現実なら私はその強靭な1匹に免じて、いや免じるほど私も偉くはないが、
まあ一応免じて、そのまま逃がすところなのだが、夢の中の私は
本来の人間的冷たさをストレートに顕すようで、それに
ゆっくりゆっくり飛んでいく何かを網を手にしたまま見逃せるだろうか。
私はあっさりと王様たちを捕まえた。

さて、これをまたどうしようか。
まあ水だな。それしかないな。
でも水に濡れたハエの塊をその後に処理するのもイヤだしな。
もうこのまま竿を折って、網ごと捨ててしまおうかな。

コンクリートジャングル育ちの虫や自然に馴染みのない軟弱な思考では
せいぜいそんな方法しか思い浮かばなかった。

そんなことを考えているうちになぜか足元が冷たくなってきた。

「えっ?」

下を見ると冠水しているではないか。道路が一面、水である。

すでにヒザ上くらいまで冠水している。

ハエどころではない。私は網から手を離した。
網は王様および家来たちとともにどこかへ流れていった。

つづく。
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夢の羅列<ネコの家族>

2016-08-13 19:46:01 | Dreams
夢の羅列<ネコの家族>

夕方、戸口の外にネコが数匹、私を待っていた。

ネコたちは私の家か、それとも両隣の家、もしくは少し離れた家あたりから、
毎日、気ままにエサをもらっている。

今年の4月に生まれたのは2匹で、もうすっかり大きくなっている。
家族としては、その前に生まれたであろうサビ茶を入れると4匹。
たまに子猫2匹の父親が混ざると、5匹である。

エサを持って私はあらためてドアを開けた。
いくつもの目が私を見ている。
私がもう少し外に出ると塀に遮られていた視界が開けた。
「えっ?」
なんだ、まだいるじゃないか。
私の握った拳くらいの子猫が、イチ、ニー、サン、……、ロク。
6匹が12のつぶらな瞳で私を見つめていた。しかも、

なんか変なネコではないのも1匹混ざっているのだ。

なんだこいつ、フクロウか。よくわからない。

「おいおいおいおい。いつの間に誰が産んだんだよ。」

私は気持ちの整理をつけるために家に入り、一旦ドアを閉めた。

「どうなってんだ」

いきなりネコがあんなに増えるなんて、そんなことないはずだ。

しかし、まあ増えたのなら、それはそれで仕方がない。

私は再度ドアを開けた。

「シーン」何もいない。

また少し外に出て、路地を見渡したが、1匹も見えなかった。

なんだ、夢か。などと夢の中で私はつぶやき、家に入ろうと振り向いたところ、
ドアの左横辺りにハエが10数匹飛び回っていた。

「なんだ、気持ち悪りーな」

つづく。

続編最後まで読んでも一切のオチも盛り上がりもありません。
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夢の羅列<雨の駅前パーキング>

2016-08-11 17:05:47 | Dreams
最近、
左手の親指の腹になぜか切り傷が何度も出来る。

カミソリで慎重に浅く血が出ない程度に15ミリほどスーッと引いた感じの傷。

真相はまったくわからない。

ヒゲを剃るにはジレットの5枚刃だから、こんな風に切れることはないだろう。

ふと気がつくといつの間にか傷が増えているような気がする。
昨日もなんとなく痛みがあるから見たら少しだけ血が出ていた。

今見ると、左の親指の腹に左下から右上に4本くらい同じ角度で、
つまりそれぞれ平行に、小さなブルーインパルスが飛び去ったみたいに切れている。

寝ている時に誰か、全裸白髪のお婆さんみたいな妖怪が忍び込んできて、
「キッキッキッキッ」などと笑いながら切るのだろうか。

それにしてもよく眠れる。完全熟睡だ。暑さもまったく関係ない。

寝ている時に殺されてもきっと気がつかないで、朝に目を覚ましてしまうかもしれない。



夢の羅列<雨の駅前パーキング>


そんな夢の中で、
私は独り駅前に立っていた。

けっこう大きな駅で、中央線の阿佐ヶ谷や高円寺程度ではない。たとえば立川、大宮、あれくらいの規模の駅とその周辺の佇まいであった。新宿渋谷ほどではなかった。

冷たい雨が降っていた。
駅はスクランブル交差点を渡ったすぐ向こう側に見え、電車はビルを縫うように高架を走っているようだった。

私は先ほど駅を出て、交差点を渡った駅前のビルの前に立っているだった。

ビルの1階はゲームセンターだった。
大きな黄色のキャラクターの、例えるならモンスターズインクのあのブルーのキャラクターがイエローに変わったような感じの毛むくじゃらの、これは何だろう。何かをこいつにぶつけて点数を稼ぐようなゲームなのか、そんな人間より大きい筐体が店頭に目に付いた。

人は交差点にも通りにもゲームセンターにもたくさんいた。雨の午後の五反田駅前くらいには人が流れていた。

私が何をしているかというと、このゲームセンターのすぐに横のパーキングに車を駐めていたのだった。

ドアを開けて後席に荷物を降ろした。
新品のZIPPO、10個入りが4箱。地方のお土産の箱が数箱。なんだかわからない紙袋がふたつ。そしてビニールでボールのように包まれた、これは何だ。なんか鶏肉を丸く包んだような生な感じ。おっと子猫の死骸じゃないか。

子猫が目を開いたままビニール袋の中で丸く死んでいた。腐ってはいなかったがどうにも水っぽい。先に書いたが、ドリップがずいぶんと出てしまった鶏の胸肉を丸く包んだ感じである。ビニールがぷつんと破れたりしたらひどく嫌な日になりそうだ。私は夢の中で少し驚いたが、そっと座席の上に置いた。

さて、これらを自宅に運ばなければならない。

このまま車で運べばまったく問題ないのだが、なぜか私は躊躇していた。出来れば荷物をひとつにまとめて自転車の荷台に載せて運びたいと思っていた。その理由は、

どうもこのパーキングはたまたまここに駐めた場所ではなく、ここが私の常用駐車場であるらしく、荷物を自宅に降ろして、またこの雨の中をここまで戻ってこなければならないからのようであった。自転車で帰ればそれで終わりの作業が、車だとこの地点から一往復半を強いられるわけだった。だから自転車で帰りたい。しかしそれには問題はいくつかあった。

この荷物の量では小さな荷台に載るだろうか。それ以前にどうやってこのバラバラな荷物をまとめるというか。大きな箱をドラッグストアからでももらってくるか。ところがもっと重大な問題があった。自転車をどこに置いたかまったく憶えていない。駅の反対側の人気のあまりない空き地だったような記憶はあるのだが、私は現実にも小さな脳みそなのに夢の中ではもっとあるかないかの量なので、駅前の、ゲームセンターの横の、ドアが半開きの地味なセダンの前に立って長らく考え込んでいたが、ちっとも結論は出なかった。今日中にはこの雨は止まないだろう。

人は影のように暗く通り過ぎる。
夢の街のネオンに色彩はあるのか。夕暮れは賑やかだが、どこか薄ら寒い。
ゲームセンターからの音は入り口から漏れて私を落ち着かせない。
箱を探すべきか。いや先に自転車を捜すか。
おいおいおい。そんなことより、家はどこだったか。
子猫も早くどうにかしないと。
それにしても雨が冷たい。
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映画「悪人」感想

2016-08-10 19:40:04 | Diary
先日のつづき。

結論というか前提を先に書いてしまうと、映画だけを観てこの物語を語るということは無理があるだろう。

小説の映画化は2時間くらいの尺に合わせるため、いろいろな伏線とその帰結を省いたり、ほんの短いイメージ的なシークエンスに大きな意味があったりするのにそれを端折ったりするから、原作の最大公約数的に作られた映画だけを観てあれこれを言っても、まあ言葉の遊びになりかねない。ただし疑問に思った部分はいくつかある。

満島ひかりの演じる峠で殺された保険外交員の女、石橋佳乃についてである。彼女のお父さん役を柄本明、お母さん役を宮崎美子が演じたわけだが、裕福でなくとも実直な二人は地方の小さな理容院を営み、少なくない愛をもって娘を育て、やがて娘は九州地方の都会、福岡で就職する。さてこの親のどこに瑕疵があって、あのように裏表のある娘が出来上がるのだろうか。

たしかに今時の若い娘といえばあのように物事をあまり重く考えないという感じではあるし、彼女に感じた裏表がそんなに悪いかといえば、まあそんなでもなく、誰にでもありそうなことなのだが、しかしあの親からはこんな娘にはならないだろうという私の経験則がある。何が不満で、またはいつから、あの品性のあまり高くない感じを心に宿したのだろうかと私は首を傾げざるをえない。私個人の理解の整合性がつかないのだ。

そんな表面だけを取り繕っても、つい出てしまう嫌らしさを満島ひかりは、私に多少でも嫌悪を抱かせるほどに好演していたということの証明でもある。詳細な説明は省いているので、観ないとどこが嫌らしいかはわからないけどね。

またそのうちつづく。
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映画「悪人」

2016-08-08 19:32:10 | Diary
映画「悪人」を今さらだが初めて観た。

以前からなんとなく観たいと思っていたが、機会とタイミングが合わなかった。

これは原作の小説が先にあり、映画になったのは2010年であるらしい。

まったくの前知識なく観たわけだが、なんとなく想像していたストーリーとは全然違っていることはすぐにわかった。私の想像では、妻夫木聡は生まれつきの殺し屋のような役で、深津絵里もきっと情報部員かなにかの役ではないかと思っていたが、妻夫木は解体屋で、深津はスーツの販売員であった。というより、この作品はひとつの社会派ドラマでありました。何が情報部員か。少し恥ずかしい気持ち。

舞台は九州。出会い系サイトを介して疎外感と焦燥、または空虚感を持て余す若者たちが意味と無意味をそれぞれに求めて夜に出会う。ある日の夜、心ない言葉によって切迫した妻夫木は峠道で保険外交員の女、満島ひかりの首を締めて殺してしまう。

事件後、妻夫木は帰宅するが、また出会い系サイトに絡む女、深津絵里からメールが入る。深津は紳士服チェーンの販売員で、まるで地元から出たことのないような地味な女であったが、このまま何も変わらず時間だけが過ぎて人生が終わってしまうことへの焦燥感にかられ、出会い系サイトを通じて妻夫木に連絡をとったのだった。

無垢と鈍感と無防備を併せ持つような深津は、すでにその時には殺人者であった妻夫木と昼間の駅前で待ち合わせた。深津はデートを楽しむつもりだったが、妻夫木は会ってすぐにホテルへと誘う。深津は驚くが、断る理由もなく、またそれを望む気持ちも心の底にあったため、安ホテルへと二人で入る。

やがて事件は焦点が絞られ、犯人妻夫木が特定される。妻夫木は自首をするため警察署の前で深津と別れるが、深津が寸前で妻夫木を止め、二人は逃避行へと走り出す……。

私の感想はまた後日に。
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夢の羅列<夏の日のサムライ列伝>

2016-08-04 19:50:12 | Dreams
夢の羅列<夏の日のサムライ列伝>


夢の中で、なんだかよくわからないが、
江戸時代の侍を何人もひとりずつ紹介された。

その方法は、
目の前に侍がいて、「ああ、こんにちは」というより、
私が彼らの紹介番組をテレビで観ているという雰囲気で、
侍の映像とナレーターの音声を私は視聴していた。

侍の名前がひどく変わったものが多く、例えば、
「村鍛冶乃長河原秀彦」とか、

「源次郎貞次天橋立春右衛門」とか、

もちろん、上の名前は夢で紹介された名前ではなく、
今、適当に創作したものであるが、だいたいこんな長い感じであった。

名前からして物々しいのか、庶民的なのか、よくわからない感じがした。
しかし番組としては地味ながらよく出来ていたような気がする。

それぞれの名前の由来における出来事や、殊勲の数やらをナレーターが語り、
大げさな演出もなく、淡々と紹介してゆくのを私は観ていたわけだが、
ほとんどを憶えていない。

しかし、毎度思う事は、なんでこんな夢を見るのか、
目覚めてからその予兆や脈絡を考えたが、まったくわからない。

夢の中で、私はそれが夢であることをわかっていたようで、
夢の中であるにもかかわらず、
「リアルだなあ」と感嘆していた記憶がある。

昔の侍の顔などまったく知らないのに、
次々とその知らない顔が詳細な映像で映し出されるということは、
いったいどういうことなのだろうか。

知らない、会った事もない侍たちの顔を眺めながら、
「全然知らないなあ」と文字通りに思った。
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夏の日のプリンター

2016-08-03 19:16:16 | Diary
プリンター。

インクジェットのプリンターって、
作業途中なんかに何かに悩んでいるかのような間があって、
そしてその悩みを自己解決するかのような時間が流れて、

それで吹っ切れたようにカシューカシューとヘッドが動いたかと思ったら、
「インク残量がありません」とか表示されて、

「おいおい」と思う。

まあ予備のインクはたくさんあるから困らないのだが、
もっと細かく詳しく「今○○をしていますよ。これで悩んでいますよ」と、
表示されるときっと気持ちが良い。

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夢の羅列<純真ダブルドリップカフェ>

2016-08-02 19:17:23 | Dreams
夢の羅列<純真ダブルドリップカフェ>


夢の中で、
私は知り合いと4人でカフェに入った。

テーブルに座り、初めて来た50坪ほどの店内を見渡すと、
ブラウン、ベージュ、ホワイトを基調とした内装はなかなか落ち着いて好ましかった。

私はこの店をまったく知らなかったが、
昨日今日に出来た雰囲気ではないな、と思った。

たしかこの店では変わったコーヒーの淹れ方をするメニューがあるらしい。
それを飲んでみたくて、今日ここへ来たのだった。

「いらっしゃいマセ」

ずいぶんと背の低い店員がやってきて、注文を私たちに訊いた。

「ダブルショットのエスプレッソをアイスで、ホイップクリームを浮かべて」

知り合いの男が悪くない注文をした。

一見すると子供みたいな店員が私の方を向いた。

「えーっと、メニューの名前を知らないんだけど、
たしかダブルドリップのコーヒーがあるでしょ。なんだっけ」

座った私よりも背の低い店員はテーブルの高さあたりで目をパチクリとさせた。

(……おいおい。パチクリしてんじゃねーよ。オマエ店員だろ?)

私は内心そう思ったが、あらためて、

「あのさ、ちょっと変わったドリップするコーヒーがあるでしょ。それ」

……パチクリ、パチクリ。

(あ、そういう店か)

障害者。もっとポジティブな呼び方を知らないから障害者と呼ぶが、
この店はどうやらそのような人を従業員に使う企業姿勢であるらしい。

私は冷静になって目の前の、いや下のパチクリ君をよく見た。

(なんだコイツ。アリーマイラブのあのすぐ泣く子供弁護士じゃねーか)

<参照 Josh Ryan Evans>

あの子供弁護士はべつに頭は普通だったし、障害があったのかも知らないが、
このパチクリの子はちょっと自分だけの世界があるように見えた。

まっすぐ私を邪心のない目で見つめている。

私たちが「見ている」と書くと、相手の様子を伺うという意味が籠められるが、
この場合は、ただ見ている。純粋に私を見ている。そんな感じだった。

またそれは「見透す」という何か権威のようなものでもまったくなく、
生まれて初めて見たものが<私>であったかのように私を見ているのだった。

もしも誰かにじっと観察されたら私はきっとそれをあっさり中断させてやるのだが、
ただ見つめられる。それも虚ろな目でなく、純真な光の宿った目で見つめられる。
その対象となることには恥ずかしさを感じても、怒りは微塵もなかった。

なぜ恥ずかしいのか。

それは私がけっして純粋ではないからだろう。簡単だ。
全部ではないにしろ、一部が汚れていると自分で知っているからだ。
だから完全に真っ白な目を向けられると自分の姿に恥を感じるのだ。

かといって、その汚れが罪であるとも言い難く、
もし罪であるなら彼の目を私はきっと恐れたに違いない。
だから夢の中であっても私が純真な目に羞恥を感じたことは、逆説的に
私にそれほど罪はないということではないか。

いやある。ここはひとつ断言しておこう。
しかし罪を憎んで人を憎まずと言うではないか。

ブロンドの髪が柔らかそうで、いい子いい子してやりたくなったが、
れっきとした店員にそんなことも出来ないだろう。しかも、
ちょっとしたことでコイツはすぐに泣くから対応は慎重に、だ。

「えっと、コーヒーね。ホット。ホットコーヒーをひとつください」

私の注文を理解したのか、キラキラとした目で「うん」と頷くと、
小さな背中を見せてカウンターの方へ戻っていった。

ほんの短い出来事だったが、
私は本来の希望を果たせなかったが、
けっこう幸せな気分だった。
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