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夢の羅列<初夏の混乱オブリガード>20170421

2017-04-29 13:12:37 | Dreams
夢の羅列<初夏の混乱オブリガード>20170421


つづき。

私は家に帰って来た。残念ながら、まだ夢の中である。

国道の露店だのレシートだのホットケーキだのと、なんだかひどく疲れてしまい、
私はドアを後ろ手に閉めた途端、すぐそこの床で横になってしまった。
コーヒーとか仕事とか計画とか、もう何もする気がなく、とにかく眠りたかった。

だから私は夢の中で眠った。
冷たい床が心地よかった。
なんとなくどこからか風が緩く抜けていくのが嬉しかった。

ところが、しばらくすると、そんな初夏の安らかな眠りを妨げるように、
「ピンポーン」
チャイムが鳴った。
なんだよ。誰かが来たようだ。

私は身体が疲れて動かないのと、どうせこんな時間に来る奴といえば
どうでもいいやつしかいないとわかっているので、起きずにいた。

まだドアの向こうに気配があり、間を置いてまた
「ピンポーン」

荷物が届く予定も今日はないし、いったいなんだろう。

ああ面倒だな。

いやそういえばこの間、夜に家中真っ暗にしてボーッとしていたら、
同じようにチャイムが鳴って、出てみると、男が立っていて、
それがひどく驚いた顔で、
いかにも、真っ暗で不在だと思ったら居た、といったような顔で、
「何?」と私がわざと低い声でぞんざい応えると、
「イ、イ、イ、伊藤様ですか」となどと怪しいことを言う。

無言で5秒間ほど男の顔をまじまじと見てやってから、
「残念。違うな」と私はドアを閉めた。

違うに決まってる。表札が出てるんだから。

そうか。それに最近、無言電話がかかってくるしな。
あれも怪しいな。

いや、しかしあの無言電話はなにか違う感じか。

なんというか、節度のある無言電話という感じで、もしくは、
常識的かつ礼儀を知った無言電話というか、
一日に二度かかってくることはまずないし、
受話器をとるとすぐに切れるし、
深夜とか早朝とか、迷惑な時間には絶対にかかってこないし……。

それにしても、まだドアの向こうに気配がしている。

起き上がる力はまだないのだが、身体を少しずらせば、
ドアの通風口から外が見えることに気づき、私は少し動いた。

現実の私の家のドアにはポストも通風口もないのだが、
夢の中のドアにはそれが付いていた。

ドアの中央、やや下にポストがあって、その下に通風口があった。

通風口はドアにはめ込まれた幅20センチほどのブラインドのような構造で、
ポストもなぜか素通しで、私がやや下方から覗くとその二つから外がよく見えた。

柔らかい午前の光を背にして男が一人立っていた。

私はそれを見て急激に目覚め、飛び起きた。

よし、こいつの顔をよく確認しておこう。
確認したぞ、忘れないぞ、と相手に思わせることも大事なことである。
ガチャッとドアを開けた。

そこにいたのは知らない男だった。
齢は、うーん、20代後半から35くらいか。
顔は日系インディアンといった感じ
そしてなぜか詰め襟。もちろん黒。

なんだコイツ。なんで詰め襟。私は相手が変な奴すぎて言葉が出なかった。

少し間があって、男は驚いた様子もなくこう言った。

「こんにちは。私はブラジルから来ました。○○さんの紹介で、
しばらくこちらでお世話になることになりました。よろしくお願いいたします。」

「お願いします!」「お願いします!」「お願いします!」

男たちの太い声が一斉に閑静な住宅街に響いた。

おいおい。インディアンの後ろにまだ詰め襟が3人も並んでいるじゃねーか。

私は正直、絶句した。
夢の中とはいえ、あんまりである。

なんだよブラジルって。日系ってことか。
○○はたしかに知り合いだが、なんでこんな急に、しかも連絡もなしにか。
なにが「しばらく」だよ。
こんなブラジル応援団みたいなのとしばらく生活なんて、とてもじゃないが、無理だ。
しかし○○の紹介が本当だったら、顔をつぶすことは出来ないし。

私は混乱した。アイワズィンコンフュージョンである。

むしろオレがしばらくここを出て、こいつらに貸しておけばいいのか。
いや逆だろう。
どこかタコ部屋みたいなのを借りてやって、この応援団を詰め込めばいいのか。

だいたい、しばらく、ってどれくらいだ。

常識をあまり持ち合わせていないとはいっても、あくまで日本人のオレの感覚と、
あいつらラテンの感覚と、その差が怖いな。

どうしようか。いったんドアを閉めるか。
そして開けたら、全部夢だったなんてことかもしれないし。

フォーカスの甘い朝の光景。男の肩越しに淡い日差し。
遅い花も散り、気がつけば緑の装い。

雨が降って、それから夏か。

おわり。
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夢の羅列<田中ホットケーキ>20170421

2017-04-23 19:48:45 | Dreams
夢の羅列<田中ホットケーキ>20170421


つづき。

二階に上がるとそこはサウナではなく眼鏡店であった。

あれ、ここは私があの男のためにコンタクトレンズを注文した店ではないか。
奥に店長が見えたので、私は近づいて、彼にキャンセルは可能かを尋ねた。

私がせっかくここで代金までを払っておいたというのに、
あの知り合いは勝手に他の店でレンズを買い、しかも代金を私に請求するのである。

私は注文した物をキャンセルするとか、買ってから事情により返すとか、
相手もしくは品物に瑕疵がない場合、そういったことが好きではないので、
大変に気が進まなかったが、
もし店側にまったく損失が出ないのであればキャンセルをしたいと思った。

朝の馬込の国道に散ったレシートの記憶によればたしかレンズ代18000円也とあった。

私はコンタクトレンズがいくらぐらいするものなのかよく知らないが、
夢の中では18000円ということで、しかも都合よく今、店にいるのである。
キャンセルが可能か不可能かを尋ねることは私のポリシーに反するものではなかった。
少しでも相手に戸惑いがあれば、あっさり諦めるとして。

店長は、それでは今調べますと言って、奥のパーテーションの陰に見えなくなった。

待っている間、私は手持ち無沙汰で、ちょうど横にいた知らない客に話しかけた。
若い彼は先ほど視力検査を受けたらしく、その結果によるメガネを買ったという。
それならこれからはよく見えていいね。と私が彼に言うと、

いいえ。ここの店長によると私の視力は矯正が不可能で、
メガネをかけても視力は変わらないのです。と答えた。

「えっ?それなのにメガネを買うのは意味があるのか。おかしいだろ」

「それが、よくわからないんです」

オマエ何言ってんの。よくわからないって。
簡単なことだろ。目が悪い━メガネをかける━よく見える━金を払う。だろ。
見え方が変わらないならメガネがあってもなくても同じじゃねーか。

そうか。あの店長、人がよさそうな顔をして、そういうことやるタイプか。
それなら話が早い。最初からそう言ってくれよ。遠慮がちになるところだったよ。

私は彼が店のカモにされているような気がしてきて、店長が出てきたら問いつめようと決意した。
視力が変わらないのならメガネは不必要で、つまり購入することは無意味ではないか。
店長は見たところ弱そうだし、よし徹底的にやってやろうと私は燃えた。

そこに店長が何かの皿を手に現れた。
サービスのホットケーキだという。
二人で食べてくださいとのこと。

はっ?このひと皿をこの知らない奴と一緒につつけというのか。

私は現実であれば、こんな眼鏡店でホットケーキを出されても食べるわけもないし、
しかも知らない男と一緒にひと皿を食べ合うなど決してしないのだが、
そこは夢の中。まあ袖振り合うも多生の縁というし、私は素直にフォークを手に持った。
切れ端を口に入れるとメイプルシロップがピュアなものではなく、砂糖の味がした。

しかしなんだな。意味のないメガネなんか買わされて、
キミもはっきり断る勇気を持たなきゃダメだな。
などとすでに先ほどの徹底的になどという攻めの気持ちも
シロップの甘さにすっかり失せた私は、
目の前でモグモグしているいかにも生きるのに不器用そうな若い男に
暗に自分のことは自分でやれよ、と諭したりして、
さてこれを食ったらすぐに帰ろうと考え始めていた。

コンタクトレンズも、もういいや。
18000円でこのホットケーキを半分食べたと思えばけっこう面白いだろう。
朝の馬込。売れない商売。アホ面。風に散った数字。そしてホットケーキ。
もうなんでも来いだ。オレはここでフォークを置いて外に出る。そして
通勤の人たちとは逆に歩いて電車に乗って家に帰る。そして
最高のコーヒーを淹れて目を瞑って飲む。そして
今後のオレの未来のフューチャーの計画をなるたけ壮大に偉大に華麗にぶち立てて、
寝る。
目が覚めたらコンタクトも未来の計画も全部きれいに忘れている。
どうだ。完璧だろう。

私が右手にまだフォークを持ったまま、そんなとりとめのない考えを巡らせていると、
なぜか突然、芸人アンガールズの田中?がフォークを手に現れて、
あのいつものグデグデの調子で、
ボクにもケーキをくださーい、と私たちがまだ許可もしないのに食べ出した。

もうなんでもいいやと思っていたところだし、
後は二人にまかせて、よし私は帰ろうと席を立とうとしたら、
田中が食べる度に彼の手の小指の下あたりが皿に触るのが見えて、
「オマエ、皿に手が入ってるぞ」と、まあ本当はもうどうでもいいのだが、
一応、注意した。
いや、注意したというより、目撃したので伝えた、くらいのことであったが、
田中は異常に強く反応し、そんなー。触ってませんよー、とやけに否定した。

だから私も収まらず、
「ほら、オマエよく見ろよ。手にシロップがべっとりついてんじゃん」
私が指摘すると、田中は手を返して、
「あー、ゴメンナサイ。あー、やってしまったー」とテーブルにグデクデした。

……なんだこの夢。

つづく。
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夢の羅列<無常は国道アクセサリー>20170421

2017-04-21 21:14:02 | Dreams
夢の羅列<無常は国道アクセサリー>20170421


私は夢の中で、国道沿いの歩道にいた。
雰囲気としては、第二京浜、馬込駅付近かなという殺風景な感じであった。
そして朝であった。

私はここでアクセサリーを路上販売するというのである。
熟考を重ねて、通勤途中の通行人をターゲットにしたのである。

二時間ほど営業したが、まったく売れなかった。
「売れねーな」とつくづく思った。
せわしない通勤途中にアクセサリーに対しての消費意欲など皆無なのである。
全世界を呪ってやろうかと思ったが、やめた。

そこへノコノコ顔の知り合いがやってきた。
知り合いといっても夢の中での、である。

コンタクトを買ったと私に告げた。

そういえば、この辺に不慣れな彼のために私はある眼鏡店で
彼のコンタクトレンズを処方箋通りに注文をし、代金も払っておいたのだった。

ところが彼の説明を聞くと、
まったく違う店でコンタクトレンズを買ったというのだ。しかも
レンズ以外にもいろいろ買ったらしい。
私が今後、必要であるだろうという彼の推測による品々までを
親切心で買い揃えたというのだ。

そしてレシートの束を取り出し、彼は私に「後で払ってくれ」と請求した。
もちろんコンタクトレンズの代金も入っているというのだ。

私は何がなんだか、ああここにも理解不可能なやつがいると半分諦めた。
するとそこに風が吹きつけてきて、私の手からレシートが飛び散った。

レシートとはいってもそれは、彼が自分のために買った品と私の分とが一緒に
印字されていたため、私に請求する分の数字だけを小さく切り離したほんの
1センチ四方ほどの紙片ばかりであったので、つまり紙吹雪のように歩道に散った。

二重の支払いと意味のない買い物。目の前に立つアホ面の訳の分からない奴。
しかも朝の路上に儚く散った数字の欠片。

私は無常感に襲われ、その場に立ち尽くした。

しかしすぐにトイレに行きたくなり、
私はほんの少し躊躇したが仕方がない、目の前のビルに入った。
階段をトントン二階に上がると、そこはどうやらサウナのようであった。

つづく。
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夢の羅列<25の超越の光>20170415

2017-04-16 19:03:30 | Dreams


夢の羅列<25の超越の光>20170415


夢の中で、
私は初夏のゲレンデにいた。

もちろん雪がないからスキーなどは出来ないが、
家族連れや若い男女たちがこの広い場所に遊びに来ていた。
私はそんな暖かな光景をぼんやりと眺めていた。

ところがそこに突然、爆音が遠くから響いてきて、やがて二台の車が目の前に現れた。

V8の7リッター以上はありそうなアメ車と、もう一台はこれも5.6リッターのメルセデスで、
どちらも相当なチューンが為されているのだろう。
静寂を引き裂くような排気音が山の空気をビリビリと振動させている。

二台は私の前で派手に方向転回をし、それぞれが逆向きに配置された。そして、
その間に大きな赤いビニールシートが畳まれた状態でつながれた。

これからそのシートを車で引っ張り、大きく広げようというらしい。

車とシートの間を若いスタッフたちが走り回っている。

ビニールのシートといっても私から見て長さは100メートルくらいはありそうだ。
幅はどうだろう。これも40メートルほどもあるだろうか。

新品ではなく、使用感のあるシートは離れて見てもしっかりとした厚みがあるようで、
あれなら全部で数トンの重さはあるだろう、などと私は推測していた。

並の体育館よりも大きい面積のシートをゲレンデに広げて、
いったい何をするのだろうかと
私はこの降って涌いたような出来事から目が離せなくなった。

すると突然、ぱらぱらと通り雨が降ってきて、
シートが濡れるのを嫌い、スタッフが車に指示をして一旦それを畳ませた。
そして、それならちょうどいいからと、ここではなく、もっと場内の奥の
遊んでいる客がいない場所へと車とシート、スタッフたちは移動した。

私も興味は尽きず、一緒に奥へと歩いてついて行った。

雨は止んで、スタッフと車がまた手際よくシートを広げた。

草の生えた緩やかな斜面に鈍い赤のビニールシートが奇妙な光景を作っていた。

そして今度はスタッフたちが拡声器を使って若者の客たちを集め始めた。

雪のないゲレンデに来たものの、広いという他は何もないことに飽きた若者たちが
突如始まったイベントらしきこの巨大なシートと、二台のマッスルカーの排気音に
興味津々と言ったふうで、私が少し離れて見ている間に200人くらいが集まってきた。

スタッフは集まった若者たちに、このイベントの趣旨と
これから皆で何をするのかを丁寧にわかり易く説明を始めた。

曰く、これはアートとコミュニケーションを
同時に体験してもらうイベントであるらしい。

客は何をするかというと、まずは整列をしてもらい、
シートの2メートルおきほどの各所に結ばれた紐を
各人が手に持つことから始まるとのこと。

一人が必ず一本の紐を手に持つわけだ。

そして、その紐をスタッフの指示によって隣の人の紐と結び合い、
また今度は次の人の紐とさらに結び合い、その結び方と組み合わせ方により
あのただの平らなシートは巨大な赤い蜂の巣のようになるというのである。

つまり最終的には200人がこの巨大なシートに全員包まれてしまうというわけだ。

ふーん、と私は少し首を傾げつつ離れて見ていたが、そこにスタッフが一人走ってきて、
「すみませーん。見学だけはご遠慮ください」と慇懃にしかし内実は無礼に言った。

現実であれば間違いなく私はゴネるが、ここは夢の中、
むっとしただけで、私は短髪でTシャツのスタッフに尋ねた。

「これはなんというイベントなのか」

「はい。25の同率の声というイベントです」

まだ若い男の迷いのない目の奥に何か澄み切っていない危うさを感じ、
そして男の背後に他のスタッフたちが走り寄ってくるのが遠目に見えて、

「わかった、わかった。オレは若くないからな」

私は素直そうに言って、一旦は彼らの言うことを聞くことにした。
若さと迷いのなさと、それが集合体であった場合、かなりの面倒くささがあるからだ。

私はイベントから遠ざかり、下の方へと歩いた。

まずは管理事務所に行き、使用許可もしくは占有許可などが提出されているのか、
そしてどこの誰が主催をしているのか、などを調べてこよう。

まあいくらなんでもあの人数をシートに包んだまま
どこかへ連れ去ってしまうということはないだろう。しかし、
閉鎖された空間では効果的なマインドコントロールが出来るからな。

とくに酸素が少ないという状況では人は少なからず変性意識状態に陥り
人の言葉が無意識下まで到達し易い。
対抗や防御の意識が低下し、心の奥底へ簡単に声つまり思想が入ってしまいかねない。

そんなことを考えながら歩いていると、知り合いの女性に声をかけられた。

「おお、何してんの。あれ?見てきたけど、今、排除されたとこだよ」

女性は一緒にいた弁護士だという男とやはりあのイベントについて
話をしていたところらしかった。

「なんだかねぇ、25の同率の声とかいうイベントらしいよ。だいぶ怪しいな」

弁護士がそれに応えた。
「ははあ、そうですか。それならやはりあれはカルトのようですね。
25の超越の光という新興のカルトが最近、各地で騒ぎを起こしています」

そういうことか。それじゃあけっこう危ないな。さてどうするか……。

終わり。

画像は昨年の制作品 (販売済み)
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夢の羅列<友人とバス停>20170408

2017-04-08 18:20:54 | Dreams
夢の羅列<友人とバス停>20170408


夢の中で最近知り合った友人のアパートにいる。
学校の帰りに寄ったのだ。

学生にありがちな乱雑な部屋ではあったが、妙に落ち着く昭和の光景であった。

そろそろ帰ろうと、私はカバンに自分のものを入れ始めたが、
どうにもなかなか揃わない。

これを入れれば、あれを忘れて、
あれを入れれば、今度はこれを忘れて、
全部詰めたと思っても、やはり何かが足りない。

そんな夢の中特有のまどろっこしさにグズグズしていたが、
やっと帰り支度は出来上がり、
バスでどこかへ行くという彼と二人で木造の階段を下った。

外に出た。

途端に私はウォークマンを忘れたことに気がつき、
部屋に取りに戻りたいと思ったが、
さんざん待たせたことを考えると、それも言えず、
まあ明日にでもまた来ればいいか、と思った。

幹線の国道の歩道を歩きながら彼は言った。

「オレ、病気でさ。これからイラン人の医者に行くんだよ」

話を聞くと、どうやら難しい病気であるらしく、しかし、
日本の医者ではなかなか治癒せず、
すがるような気持ちでイラン人の医者に行くのだという。

シリアスな話なので、私も明言は避け、大変だな、などと応えたが、
私はイラン人というと、陽気でかなりテキトーな知り合いしかいないので、
少し心配になった。

バス停に着いた。
彼はベンチに座り、もう私など忘れたかのように行き交う車を眺めている。

私は自宅へ向かって少し歩き、そしてふと振り向くと、
他の客に混じって座る彼の周りの風景と同じような灰色の顔が見えた。

おわり。
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夢の羅列<巨大トラックそして私は仕入れ担当>20170402

2017-04-04 18:36:29 | Dreams
夢の羅列<巨大トラックそして私は仕入れ担当>20170402


夢の中で私は、
駅の向こう側に用事があったことを思い出し、朝に出かけた。

天気がよくなかったので傘を持った。

駅を右横に過ぎるとそこからは長い下り坂である。

登校中の女子学生たちに混ざって私は歩いた。

坂を下り始めるとひどく追い風が強くなってきた。

強いどころではなく、危険を感じほどであった。

私はふとこの風で傘を開くとどうなるのだろう、と思い、
ばっと傘を開いてみた。すると、

はたして私は帆掛け船よろしく坂を風力にて進み始めたではないか。

ほっほっほっ、これは快適快適。

両足を前に投げ出したまま、かかとをズルズルと引き摺りながら、
人が走るくらいの速度で坂を下っていった。

女子高生たちが私を見て笑っている。

下まで着くと、もう面白いことは何もなく、私はまた歩いた。すると、

50メートルほど向こうに巨大な宅配便のトラックが停まっているのが見えた。

巨大も何も、それは5階建てのビルほどもあり、
往復路2車線いっぱいに停まっているのだった。

タイヤの直径がおそらく5メートルくらいあるのではないか。

つまり地面から車体の底までがゆうにその半分、2.5メートルくらいはあり、
タイヤは道幅いっぱいに接地しているので、要するに、
他の車やら自転車やら歩行者たちは、その下を通るのだった。

おいおい、こんなの見たことねーな。大丈夫か。

私はそうは思ったものの、怖々なんとか車の下を通り抜けた。

すぐに右手に食料品店が見えてきて、私はそこに用事があったのだった。

食料品店といっても、もう店のやる気も、客の買う気もないという
店舗終末期の様相を呈した店で、売るものはとにかくすぐに腐らないもの。

一番売れるのが夏のアイスの類いで、それ以外ではタバコや駄菓子といったところ。

私が店に入ると、婆さんがすぐに出てきて、あまり芳しくない顔を私に向けた。

この店としてはけっこう大量に仕入れをした駄菓子を問屋に返品してほしいと言うのだ。

どうやら私はこの店の仕入れを任されているらしく、
しかし、今の時期で一番売れるのが駄菓子なんだけどな、と思い、そう言うと、

駄菓子があると子供が集まって、うるさくて仕方がない、と婆さんは言うのだ。

私は夢の中で、どういった理由によって、
こんなどうでもいいことで文句を言われるのだろうか。

なんだこの夢。

おわり。
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夢の羅列<春は死の予兆>20170402

2017-04-02 17:43:02 | Dreams
夢の羅列<春は死の予兆>20170402


車のディーラーへ行き、ストーブを買ってきた。

なぜ車屋でストープなのかは、夢の中のことなので今さら不思議でもない。

玄関を開け、買ってきたばかりの箱を開くとベージュ色の本体が出てきた。
石油ストーブである。

とはいっても、もう世間は4月である。これはいわゆる春とも云うはずだ。
花も「いっちょう咲いてみるか」というものである。

少しばかり使用するとその後に灯油を抜いたり、掃除をしたりするのも面倒だ。
新品のまま次の冬までしまっておこう。そう思い、私は箱の上部を閉めた。

そして床に置いたまま、ほんの僅かな時間、私は何かをした。その後、
さて、しまうか、と箱に手をかけたら、おいおい、箱から煙が出ているではないか。

「えっ」と目を疑ったが、あきらかに内部で発火しているようである。

ほんの一瞬、頭の中が空白になり、はっと気がつくと、もう火が出てきた。

ここで消すか、外で消すか。

考えている間はない。ここは玄関の目の前だ。外に出そう。

私は、まずは玄関を開け放ち、それから、
例えばコピー用紙一枚が燃えているほどの火が出ている箱を両手で持ち、
コンクリの上に下ろした。

上着を脱ぎ、火を包むように覆うと、火はあっさりと消えた。

……しかしなんで火が出たのだろう。

買ってしまったものにあまり文句を言いたくないのだが、
さすがにこれはあんまりである。

ストーブを1階にしまってから、2階で私がもし昼寝でもしたら、
夢の中で私は間違いなく焼死である。

はて夢の中で死んだらどうなるのか。

私はそんな経験がないからわからないが、どうだろう。

夢の墓にでも閉じ込められてしまうのか。

それとも一旦は目覚めて、もう二度と夢に戻れなくなってしまうのだろうか。

現実の世界で、もうやることがないわけではないから、選択をするなら、
まあ夢に戻れないという方がいいだろうな。

四月は一番残酷な月、と書いたのはエリオット。

おわり。
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