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夢の羅列<ヌードについての変な話・p-2・終> 20170827

2017-08-31 22:23:18 | Dreams
夢の羅列<ヌードについての変な話・終> 20170827


つづき。

だから村に戻ってきたのだった。

擦り切れ果てた心と身体を
この生まれた場所なら少しでも癒してくれるだろうと思い帰ってきたのだった。

女は都会でのことは何もかも忘れようと思っていたのだったが、
思い出してしまった今はもう凍った翳が心に張り付いてしまったように
身体が芯から冷え、心はもう溶けることはないと思えるのだった。

作り笑いすらも出来なかった。

ただでさえ浮いた存在の私が冷たくしたら村の人たちはどんなふうに感じるだろう。
きっと私は孤立して、疎外感に苛まれ、いつか感情を失くすのではないか。

男を見ると口がパクパクと動いていた。
何かを喋っているのだろう。
しかし何も聞こえない。

男は、都会でも故郷でも居場所のない私の暗闇を暴き出して、
その私を裸にして、ニコリともしない女を撮影をして、
いったいそこに何が写るのだろう。

哀れさか。愚かさか。それとも大きく開いた傷だけを冷たく写したいのか。
むしろそれは卑猥さか。

そんなことをして誰に得があるのだろう。
誰が喜ぶというのだろう。

私はもちろんもっと傷つく。
写真を見る人も嫌な気持ちになるだろう。
この男にしても楽しいことなどないのではないか。
誰にも得がないと思えるこの撮影をすることに何の意味があるのだろうか。

そこまで女が考えた時に、村の老人が前を通りかかった。

「お、○○ちゃん。ハダカ撮んだって。ダーメだよ、そんな暗い顔してたら。
田舎なんだからサ、もっと楽しくやんなきゃ。もっとパーっと、ほれパーっと。」

おわり。
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夢の羅列<ヌードについての変な話・P1> 20170827

2017-08-29 19:12:53 | Dreams
夢の羅列<ヌードについての変な話・P1> 20170827


私の夢の中のどこか緑の多い丘に、ある村があり、ある日ある女がそこに帰ってきた。

まだ若いその女は、都会に住んでいたのだが、帰省したのだった。

女が帰ったことを知った村のある男が女のところへ行き、
都会の匂いが十分に残る女にヌードの撮影をしないかと勧めた。

村に帰っても他にやることもなかった女はなんとなく承諾した。

しかし男はさらにこんなことを要求した。

撮影をするにあたっての心構えとして、
まずは村の人たちと話しをせず、なるべく冷たい態度で接して欲しい。

そして、都会で経験した嫌なことを思い出して私に全部話して欲しい。

嫌な経験を私に話しをしたら、それを一つ一つもっと二人で彫り下げて考えてみて、
その時の状況を再現する必要もあるだろう。

女の表情が曇った。

女はブランコに乗りながら男の話しを聞いていたが、
なぜヌード撮影をするのにそんな面倒なことが必要なのだろうと疑問に思った。

女が顔を伏せて考え込んでいる間にも男は、
女の心の暗いところをもっと引きずり出すことだけに興味があるらしく、
こんなことも必要、あんなことも大事だ、と長々と説いた。

たしかに嫌なことばかりだった……。
女は思い出したくないことを次々に思い出し始めた。

慣れない都会での生活は憧れで膨らんだ希望を完全に潰してしまっただけでなく、
騙され、奪われ、汚され、そして慣らされ、ついには粉々にした。

だから村に戻ってきたのだった。

つづく。
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夢の羅列<夕暮れカブ> 20170820

2017-08-26 16:00:53 | Dreams


夢の羅列<夕暮れカブ> 20170820


ふと目を覚ますと、私は車の中にいた。

うっかり車で寝てしまったらしい。

辺りを見回すと、ここはどうも駅前のロータリーのようだ。

右斜め前に酒屋のトラックが停まっていて、あれは配達中なのだろう。
荷台のアオリが降りている。

いやーそれにしてもすっかり寝てしまった。

何時間かな。えーと、3時間くらいか。ひどいな、オレ。

7時20分には(どこかに)戻らなければいけないはずなのだが、もう6時40分じゃないか。

まだなんとか薄明るいが、あと数分で真っ暗になってしまうだろう。
もうここを出なければ。

それにしても頭が寝起きでクラクラする。少し待つか。

いや、あの酒屋のトラックが変な場所に停めているから、
この車との車間が狭く、危ないな。

よし、とにかく発進しよう。もう少し広いところまで行ってから考えよう。

すると車はなぜかスーパーカブに変わっていて、
私は寝起きでまだ三半規管がおかしいものだから、フラフラと走り出した。

夕暮れの駅前を出て、私はどこへ行こうというのか。カブで。

おわり。
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夢の羅列<ねんねこ> 20170820

2017-08-21 22:29:41 | Dreams


夢の羅列<ねんねこ> 20170820


夢の中で私は、
人の家を訪問し、その居間の窓際の棚の上に猫を見つけた。

猫は黒のいわゆるハチワレで、何か言いたいことがあるのか、私に向かって鳴いた。

私が抱き上げると、「ブーブー」と喉を鳴らし、私を嫌ではないらしかった。

それで私は猫を背負い、上からねんねこ(綿入れの半纏)を着て、しばらく猫をあやした。

それからその姿のまま外に出て、家の前の路地で家の娘たちが遊んでいたらしき
ママゴトのシートの上に正座をして、家主の電話が終わるのを待った。

娘たちの姿は、どこかへ遊びに行ったのだろう、なかった。

私は手持ち無沙汰で、正座をしたまま右を見ると家の玄関があり、
扉は横にガラガラの格子柄の引き戸で、道よりも3段ほど高くなっていた。

表札が戸に付いていて、読むと「金森」と書いてあった。

しかし少し離れたところで電話をしている家主はどう見ても白人男性であった。

まあ人には、いろいろあるものさ。

そして私も背には猫。上からねんねこ。しかも道の上のシートに正座。
まるでママゴトのお母さん役であるかのようだ。

まあオレにも、いろいろあるさ。

おわり。
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夢の羅列<虎プール> 20170818

2017-08-19 18:49:06 | Dreams


夢の羅列<虎プール> 20170818


夢の中で、
私はどこか広い場所で動物たちと大行進をしていたのだが、
詳細は忘れてしまった。

「動物大行進」という感じだけを憶えている。

そして、やはり広い場所、これは校庭だろうか、その真ん中に平屋建ての倉庫があり、
私はその校庭内を歩いていたのだが、遠目に虎がいるのが見えた。

猫が好きで、虎も好きだが、
虎はいくらなんでも危険であるから、私は倉庫に飛び込み、ドアを閉めた。

倉庫は15畳くらいで、四方に窓ガラス、サッシはスチール製で、
青いペンキがヘタクソに塗ってあった。

虎が窓際にやってきて、中にいる私に牙を剥いて威嚇した。

これはマズイ。

虎が本気で私を襲おうと窓ガラスに体当たりをしたら、簡単に割れてしまうだろう。

そんな私の心配を加速させるかのように虎は外で「ウゴー、ウゴー」と鳴いている。
虎が空腹であるのなら、なんとしてでも中に侵入してくるだろう。

とうとう虎が倉庫の屋根に飛び乗った。

当然、私の目線も天井に移ったのだが、なんと、そこにも窓があったのだ。
天窓である。しかも割れている。

あっ、と思ったがもう遅く、虎が部屋に落ちてきた。

ドボーン、と音がして、なぜか倉庫の中はプールに変わっていて、
私も水の中、虎も水の中、端にいる私に向かって虎は太い手で泳いで近づいてくる。

こりゃもうダメか。

虎の顔はもう目前にいて、「ハァーハァー」息が荒いのは気が立っているのだろう。

ああ、もうダメだな。とあきらめた途端、虎は犬のハスキーに変わって、
私の顔をベロベロと舐め始めた

なんだよ、オマエか。驚かせるなよ。

おわり。
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Janis Joplin/Ball and Chain/Monterey

2017-08-17 20:57:56 | youtube
今日付けで上のインフォメーション・ページに貼ってある動画は、
1967年にアメリカのモンタレーで行われたポップフェスで歌うジャニス・ジョプリン。

ジャニスは同年にバンドのヴォーカルとしてデビューしていたが、
このフェスでのパフォーマンスにより全米から注目されるようになる。

曲はたしかビッグママ・ソーントンがオリジナルの「ボール・アンド・チェーン」で、
ジャニスのブルージーな歌唱法が
ソーントンから強く影響を受けていることがよくわかる。

曲の終りにママス・アンド・パパスのキャス・エリオットが
ぶっ飛んだ様子で思わず呟いている映像が残っている。

ジャニスの最初のこのバンド、Big Brother and The Holding Companyの、
粗い演奏が私はけっこう好き。

私はそんなにジャニスに詳しくはないが、感想としては、
このライブのテイクは喉の調子があまり良くないと思う。

調子が悪いのか、彼女自身がまだそんなに声が出る能力段階ではなかったのか、
もう無理無理シャウトしているという感じで、
この後に出るアルバム「チープスリル」から始まる圧巻の歌唱とは質が明確に違う。

このフェスには、前年にイギリスで衝撃的なデビューを果たしたジミヘンが
凱旋帰国としての演奏をフェスのトリに行っている。

やはりイギリスから来たザ・フーのピート・タウンゼントがジミのところへやってきて、
「オレたちは楽器を壊すしかないんだからさ、先にやらせてよ」と頼んだとか。

イギリスに渡ったジミヘンの演奏を初めて聴いたジェフ・ベックが、
圧倒されて廃業を考えたというほどにジミのテクニックが革命的であっただけでなく、
加えて歯で弾いたり、ギターを壊すパフォーマンスまでもジミは行ったので、
同じ破壊芸で名を売ってきたタウンゼント(もちろんバンドは一流)が
先に演奏したい、先にギター壊したいと思ったのは当然で、
結局、ザ・フーはジミより先に演奏しギターも壊したが、
後にステージに上がったジミが演奏の最後に今でも語り種になっている
ギターにジッポーオイルをかけて燃やすというパフォーマンスを見せたため、
軍配はどうやらジミに傾いたとか、傾かなかったとか。
その映像を見ると観客はだいぶ引き気味ではあるが。

燃やされた悲劇のギターはその後、なぜかフランク・ザッパの手に渡り、
ザッパはそれを直して、しばらく使ったとか、使わなかったとか。

ジャニスにしてもジミにしても、
それまではふたりのように歌う、もしくは演奏する、ということがなかった。

白人女性がブルースコンプレックスも露にシャウトするなどということはなかった。

カントリーやハワイアンのための楽器であったストラトキャスターで
あんな爆撃機のような音を出す人もいなかった。

トレモロアームにしても、それを考え出した人がジミの使い方を見て、
「そんな使い方をする為のもんじゃない」と激怒したとか、しないとか。

時代時代に突如、ある才能が爆発的に噴出し、進化を一気に進めてしまう。
才能のやりたいことと、他者の見たいものが合致し、それは
受け手の希求や期待よりも少しだけ前にあり、
大衆の理解を得られる範囲で革命的である場合、また、
それが作為的でない時、たとえ一瞬の輝きであったにせよ、
多く人の心に残り、いつまでも人はそれを語ることをやめないのではないか。

以上、曖昧な記述の部分は私が当時それを目撃したわけではなく、
どっかで読んだことばかりだから。
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夢の羅列<図書館ジャンプ> 20170812

2017-08-13 19:05:26 | Dreams
夢の羅列<図書館ジャンプ> 20170812


夢の中で、
私は図書館に行き、少年ジャンプを借りてきたのだった。

現実生活では、最近は図書館にもあまり行かなくなってきたし、
マンガを読むことなどは、もうまったくないのであった。

それで私は夢の中で家に戻り、ひと眠りしてからジャンプを読もうと、
廊下に置いた椅子というかプールなんかにあるデッキチェアに横になった。
なぜ廊下なのかはわからない。涼しいからか。

すぐに目が覚めて、テーブルのジャンプを手に取ると、
図書館のレシートのような紙が挟まっていて、それをよく見たら、
この少年ジャンプは借りたものではなく、販売されたものになっていた。

価格は200円であった。

まあそりゃそうだよな。
こんな雑誌まで、借ります返します、だのやってられないよな。

それで今回、なぜこの漫画雑誌を読むことになったのかというと、
私の古い友人の作品が初掲載されたからだった。
つまりデビューということであるが、もちろん夢の中の話である。

と、ここで夢の話は終り。

ところで、
マンガというものをもう20年近く読んでいない気がするが、いや15年くらいかな。
それに読みたいという気も起きないのだが、もしもう一度いま読むとするなら、
うーんなんだろ。「男組」かな。
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夢の羅列<ポルシェ温泉-最終回> 20170730

2017-08-09 19:36:49 | Dreams
つづき。

出口までの急なスロープをようやく上りきった挙げ句に行き止まりとは……。

ああ、もう早く帰りたい。

何かがおかしいから、一旦眠ってリセットしたい。

私はすでに熱を放ち始めたコンクリートのスロープをトボトボ戻りながら、
自分のベッドに倒れ込み、好きなだけ微睡むことだけを夢想していた。

今日も暑くなりそうだ。

昨晩から続く良くも悪くも針の振り切れない不明瞭な出来事と、
この酷暑を閉じ込めたような無機質なスロープとで心は停止したようだった。

感受性も閉ざされ、想像力も絶えたようだった。
好奇心の影すらなく、動機の欠片も見つけられず、そして意欲は死んだ。

もうタクシーに手を挙げることさえ、そんな意思表示さえ私には出来ない気がしてきた。

なら歩いて帰るか。
家は右だったか、左だったか。
だいたいここはどこなのか。
こんな温泉のあるような所にオレは住んでいたのだったか。
いろいろわからなくなってきた。

高い壁に左右を囲まれたスロープの終わりは少しカーブしていて、
そこを過ぎると視界が開け、駐車場が見えてきた。
あ、人がいる。
10人くらいが並んで私を見ている。

ああ、あの白人の家族ではないか。どうやら皆、私に微笑んでいるらしかった。

子供カールもちゃんといた。まあ、それならよかったか。

おいおい、ドイツ軍もいるじゃないか。
やけにデカい軍服姿の3人が親しみを込めた感じで私を見ている。

しかし、どうやら、私を優しく見守る、という感じではなく、
「頼りにしてまっせ」という感じである。

10人ほどの団体が「あ、添乗員さん、来た来た」といった雰囲気である。

どうしようかな。走って逃げようかな。だいたい関係ないしな。

でも、みんな笑いながら追いかけてきそうだな。

走って逃げる……か。

ちょっと面白そうだな。

逃げて、追いかけて、ハアハアいって、
そしたらみんなで、そば屋でも入って、ビールでも飲むか。
子供はジュースだ。もちろんバヤリース。
それからカツ丼と盛りそばでも食って、
店の前でなんかテキトーに別れを言って、オレは帰る。

ゾロゾロついてこないように時々、後ろを振り返りながら歩いて帰って、
エアコンのスイッチを入れてからシャワーを浴びる。
そして冷えた部屋でブルースをデカい音で聴きながら眠る。

目が覚めたらコーヒーだな。
何がいいか。

ケニアか。ケニアのフレンチがいいかもしれない。
でもマンデリンしかなかった気がする。

マンデリンのミディアムローストか。
それならジャズだな。
それも熱いのじゃなくて、軽いやつがいい。
「なんちゃって感」のある似非っぽいのが目覚めにはちょうどイイ。

おわり。
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夢の羅列<ポルシェ温泉-p4> 20170730

2017-08-05 17:52:37 | Dreams


夢の羅列<ポルシェ温泉-p4> 20170730

つづき。

行方不明の子供カールの家族たちに指示を出し終え、
よし、オレはまずスタッフを見つけて状況を説明しておこう。
そして館内にアナウンスしてもらって、情報を集めよう。

私はそうした基本的なことをまず済ませてから、
今度は館内を走り回って子供カールを捜しまわった。しかし、
どうにも見つからないのだ。

受付にも戻ってみたが、まだわからないという。

一度捜した場所もあらためて捜してみたが、いない。

時間が経ったから最悪のケースも考えられる。
あそうか。誘拐を心配するなら、これはもしかすると出口で
見張っていたほうがいいのかもしれない。
私はそう考え、玄関に向かって廊下を走った。

途中、ロビーを抜けようとしたら父カールが目の端に止まった。

あの野郎。なんかいちご牛乳みたなのを飲んでやがる。

私はもうロビーで止まらなかった。そのまま受付まで走り抜けた。
文句を言う気にもならない。
ああ面倒くさい。もう帰ろう。あいつら日本を日本人を舐めてやがる。
私は靴を履いて、駐めた車へと向かった。しかし、

今度はポルシェがない。まったく見当たらないのだ。

あんな事故車をよく狙うなとも思ったが、ないものはないのだから仕方がない。

仕方がない。タクシーで帰ろう。

私は験を担ぐことを自分のためにはしないが、
今回ばかりはなぜかあのポルシェが面倒を連れてきたような気がした。
もうポルシェもカールもどうでもいいや。放っとけ。

私はパーキングの出口へとすっかり悪い人相で歩いた。

駐車場の出口へのスロープは上り坂だった。それもかなり急である。

入った時は普通に道路からスッと入り、上りも下りもなかったわけだが、
出る時だけなんでこんなに上らなければならないのだろう。

と思ったら行き止まりだ。

なんだこれ。トラップか。

つづく。
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夢の羅列<ポルシェ温泉-p3> 20170730

2017-08-03 19:59:29 | Dreams
夢の羅列<ポルシェ温泉-p3> 20170730


つづき。

私のいる場所へと廊下をゾロゾロ戻ってきた家族のあの白人の男に訊くと、
男の子はカールという名だという。
他にも娘たちが3人くらいいて、横にいるのは奥さんか、
そしてグランパ、グランマ、みたいな一団である。

3才ほどの子がいなくなったのに、皆そんなに慌てる様子もなく、私は苛立った。
とにかくこんなに混雑した場所で子供の姿を見失うなんてオマエたちはアホすぎる。
日本人にはいい人が多いが、当然ながら悪い奴も必ずいるのだから。

と思ったが、そんなことを今言っても仕方がないから、とにかくすぐに捜せと、
つたない英語で言おうと口を開いたら、まあ夢の中のことなのでうまく口が動かず、
「バヒョヒョヒョ〜ン」と言葉ではなく変な音が出た。

まるで馬の寝言みたいな感じで、私はそれが可笑しくて廊下で笑い出してしまった。
おそらく現実のベッドの上でも私は眠りながら笑っていたに違いない。
それくらい可笑しかった。

とはいえ、とにかく今はカールだ。

父親の名を訊くとカールだという。まあそんなことはガイジンにはよくあるだろう。
カール・シニアとかカール・ジュニアとかである。
それなら目の前の少しボケ気味のグランパもきっとカールに違いない。
訊いてほしそうな顔を私に向けるが、この状況に面倒だし、
きっと得意そうに「私もカールだ。私の父もカールだ。そもそも……、」
などと言い出しかねない。
だから名前を訊いてやらない。
それに私の性格の悪さがこういう時にはっきりと出てくる。
人の思惑をあっさりと切り捨ててしまうのだ。
そんなことよりキミタチ早く捜しに行けよ。

見つかっても見つからなくても30分後に受付に集まれと。
玄関ロビーのインフォメーションカウンターだと。
じいさんばーさんはもうそのへんで座っとれと。

つづく。
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夢の羅列<ポルシェ温泉-p2> 20170730

2017-08-01 16:50:22 | Dreams
夢の羅列<ポルシェ温泉-p2> 20170730


つづき。

温泉のパーキングに車を駐めた。

たまには朝から温泉もいいだろう。

この温泉は都市型のもので、ビル全体に大小いくつかの浴槽があるらしかった。
中に入ると朝からけっこうな人で、裸や浴衣姿やらがそこらじゅうウロウロしていた。

私も受付からロッカーを目指して廊下を歩いていくと床にサイフが落ちていた。

拾ってみるとそれはサイフではなく、ドイツ軍の身分証明書であった。

さすがにドイツ製らしく厚い黒の革製で、鷲のレリーフが威厳を漂わせていた。

こんなもの拾ってもなあ。なんか面倒に巻き込まれてもなあ。

ちょうどその時、外国人の家族が廊下を歩いてきた。

拾った証明書を一団の長だと思える男にかざして見せると、
白人の男は「知らないよ」と首を横に振った。

それならオレも知らないし、と床に戻した。

これから温泉に入るというのに、
ドイツ軍なんかに付きまとわれたら、たまったものじゃない。
だいたいドイツ軍も日本の治安の良さに気が抜けてるんじゃないのか。

まあすぐに捜しに戻ってくるだろう。

落ちてる物は落ちていた場所に置いておく。これが鉄則である。
変に気を利かして横の壁や何かの上に置くと、捜しにきた持ち主が見つけにくいのだ。
さて気を取り直して温泉温泉。

この場所に留まっていた先ほどの外国人家族たちも別の浴槽に向かっていたのだろう。
あらためて動きだした。

ところが一番小さな男の子だけが取り残されていて、
私が家族の方向を指差しながら声をかけるといきなり家族と反対方向へと走り出したのだ。

私は慌てて家族を大声で呼び止めた。そして子供の走り去った方へと走ってゆき、
姿を捜したが、あの金髪の3才くらいの子供はもういなかった。

つづく。
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