夢の羅列<スナック・成れの果て>
つづき。
スナックの看板は「成れの果て」と読めた。
この災害時にどうやら営業しているようだ。
それなら誰かいるだろう。私はドアを開け、階段を降りた。
降りている間になぜか私は数人を引き連れていた。
夢の中のことなのであまり気にしないでほしいが、
確かに私は独りでドアを開け、階段を降りかけたが、
降りている最中に数人を連れていたのだ。
私たちは7〜8人でゾロゾロと暗い店内を案内されるまま歩いた。
黒い合皮のソファを囲んだボックス席に座った。
知り合いといっても、今、目覚めてから考えればまったく知らないのだが、
夢の中では知り合いということになるであろう男3人と女3人くらいで席に着いた。
注文をウエイトレスが取りにきた。
めいめいが注文し、最後の一人の女性が「酎ハイ」と言った。すると、
ウエイトレスは、酎ハイはメニューになく、
レモンハイや梅酒ハイならある、と答えた。
だいたいそんなもの頼むなよ、と私は思いながらも、
レモンハイのレモンを抜けば酎ハイだろ、とウエイトレスに説明しようとしたが、
なんか突然に歯が抜けたかのように口がモゴモゴして声にならなかった。
ウエイトレスはカウンターのバーテンダーの方へ戻っていった。
手持ち無沙汰に見回すと店内はかなり暗かった。
前の席の顔は見えるが、少し離れた知らない客の顔はもう黒かった。
小さなキャンドルのような照明があちこちに置かれ、それだけが店内を照らしていた。
しばらくしてウエイトレスが酒を持ってやってきた。
水割りやビールなどをそれぞれのコースターに置いた。そして、
先ほどの酎ハイを頼んだ女に話しかけた。
「ほら、あれ、憶えてますか。けっこう評判いいんですよ」
ウエイトレスの指差した方を見ると、カウンター席の横の壁際に
背の高い木製のコートハンガーのようなラックがあり、
そこに一枚の長く大きなスカーフのような布が下がっていた。
つづく。
つづき。
スナックの看板は「成れの果て」と読めた。
この災害時にどうやら営業しているようだ。
それなら誰かいるだろう。私はドアを開け、階段を降りた。
降りている間になぜか私は数人を引き連れていた。
夢の中のことなのであまり気にしないでほしいが、
確かに私は独りでドアを開け、階段を降りかけたが、
降りている最中に数人を連れていたのだ。
私たちは7〜8人でゾロゾロと暗い店内を案内されるまま歩いた。
黒い合皮のソファを囲んだボックス席に座った。
知り合いといっても、今、目覚めてから考えればまったく知らないのだが、
夢の中では知り合いということになるであろう男3人と女3人くらいで席に着いた。
注文をウエイトレスが取りにきた。
めいめいが注文し、最後の一人の女性が「酎ハイ」と言った。すると、
ウエイトレスは、酎ハイはメニューになく、
レモンハイや梅酒ハイならある、と答えた。
だいたいそんなもの頼むなよ、と私は思いながらも、
レモンハイのレモンを抜けば酎ハイだろ、とウエイトレスに説明しようとしたが、
なんか突然に歯が抜けたかのように口がモゴモゴして声にならなかった。
ウエイトレスはカウンターのバーテンダーの方へ戻っていった。
手持ち無沙汰に見回すと店内はかなり暗かった。
前の席の顔は見えるが、少し離れた知らない客の顔はもう黒かった。
小さなキャンドルのような照明があちこちに置かれ、それだけが店内を照らしていた。
しばらくしてウエイトレスが酒を持ってやってきた。
水割りやビールなどをそれぞれのコースターに置いた。そして、
先ほどの酎ハイを頼んだ女に話しかけた。
「ほら、あれ、憶えてますか。けっこう評判いいんですよ」
ウエイトレスの指差した方を見ると、カウンター席の横の壁際に
背の高い木製のコートハンガーのようなラックがあり、
そこに一枚の長く大きなスカーフのような布が下がっていた。
つづく。