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夢の羅列<ふたつの短い雨の話・その2>201705

2017-05-27 18:37:47 | Dreams
夢の羅列<ふたつの短い雨の話・その2>201705


夢の中の家にいたが、雨が降ってきた。
雨脚はどんどん激しくなって、部屋中に雨漏りがしてきた。
私はカップや皿や鍋をあちこちに置いてなんとか凌いでいたが、
大きな落雷とともについにバケツをひっくり返したような雨漏りになり、
布団も本も何もかもびしょびしょのずぶ濡れになってしまった。
面倒なことになったなと思ったが、まあ全部捨ててしまってもいいしな。

夢の羅列<ふたつの短い雨の話・その1>201705

2017-05-26 20:00:42 | Dreams
夢の羅列<ふたつの短い雨の話・その1>201705



夢の中の雲の道を、
アザレア色のドレスの女性が歩いてきた。
彼女は鼻歌まじりに綿雲の畑に種を蒔いていた。
ザー、ザー、ザーと種の音が聞こえる。
ふいに冷たい風が私の顔を駆けていった。
少し開いた窓の外は通り雨。

Luz Casal/ルス・カサル/At Blue Note Tokyo. 2017.5.14

2017-05-21 17:24:51 | Diary
ちょうど先週の日曜日14日に青山のブルーノート東京へ、ルス・カサルの初来日公演を観に行ってきた。当日の昼過ぎまで彼女の来日をまったく知らずにいたのだが、チケットはあっさりと買えた。

彼女はスペインの国民的歌手といわれていて、もともとはロックやポップのジャンルで活躍していたが、1991年の映画「ハイヒール」で彼女の歌った「Piensa En Mi」が注目されてから徐々に伝統的な歌曲を歌うようになり、また大きな病気と手術を経て、さらにその傾向は強く表れ、2009年にラテンアメリカの各代表曲をカバーした「La Pasion」の日本版が去年に発売されたことで、今回初来日を果たした。というところか。正直なところ、あまりよくは知らない。日本で例えたら、渡辺美里がジャズアルバムを出したというニュアンスに近いだろうか。ぜんぜん違うかもしれない。

彼女の情報はそれほど多くないし、あってもスペイン語かフランス語だから、なかなか詳しくはなれない。フランス語での説明が多いというのは、これもよく経緯を知らないが、彼女はフランスでも大人気であるらしいのだ。確かに動画をあちこち観ているとフランス語の歌も歌っているし、フランス語を話していることもある。だから彼女の歌うシャンソンも悪くない。

それでライブ当日だが、私はあまり期待はしていなかった。だいたい日本になんか絶対に来ないと思っていたし、病後により体力もそんなにないだろうし、長旅の疲れと、一日2回のステージの私が観たのは2回目であったから、喉も消耗して声も弱いのではないかと、過剰な期待を持たず、私は地下鉄に乗ったのだった。

ところがぜんぜん、悪い予想は覆されて、声も強弱ともよく出ていたし、元気そうで、楽しそうで、とにかくよかった。ああこの感じならまだまだいけるな。これからが楽しみだなと私はすっかり安堵した。彼女を日本に呼んだリスペクトレコードという会社の人にお礼を言いたい。本当に日本にくるなんて思っていなかったのだから。

真っ赤なドレスのルス・カサルはなんといってもエレガントで、しかもチャーミング、そしてキュート。なんというか、ステージで歌っている時にはちょっと怖い顔をしていたりするのだが、そうでない時の仕草や表情がとてもかわいい時があり、元来、明るい人なんだろうなと思った。

ルス・カサルは日本ではあまり知られていないだろう。私も知らなかった。私はラテン好きなので、ラテンヴォーカルものを検索していた時、たしか1年ほど前にYoutubeで偶然に彼女を知ったのだ。だから、彼女の若い時のロック調の曲を聴いても申し訳ないがピンと来ない。もしロックやポップの動画だけが彼女の情報のすべてであったなら、私の記憶には残らなかっただろう。しかし私がロックやポップを嫌いなわけではない。好きだ。

もちろん、ロックを歌うルス・カサルが好きだという人を否定はしない。人は人。私は私。私の環境や経験、感覚、感受性、思想などから生まれる音楽を聴く角度が、ルスの声と歌唱とラテンの曲調という点と点を結び一直線に貫いたということなのだ。これがロックであった場合、私には少しズレてしまい、それほどの衝撃にはならなかったということだと思う。

このようにあるアーティストの曲を聴いて衝撃を受けることはたまにあっても、その場合、それ一曲だけがよくて、同じアーティストの他の同じ曲調の曲を聴いてもあまり衝撃がないということがよくある。

しかしルス・カサルは違って、ラテン調の曲はどれも良い。全部聴ける。何度も聴ける。声も若い時よりもむしろ深みがあり私は好きだ。最初の方に書いたように、生で聴いてあれだけの声が出せるなら、円熟という意味でまだまだこれからがもっともっと楽しみである。例えば、長年において喝采を浴びてきたバリトンが出せなくなった老齢ジョニー・キャッシュが死の間際にバスの声で出した数曲が私にとって彼の最高パフォーマンスであるように、ルスにおいても今後、大事に声を育ててもらい、円熟を超えた発酵過程を経て、ラテンの最高傑作を残してもらいたい。

ライブ当日に残念に思ったことが二つ。一つは私がスペイン語を理解しないこと。まったくわからない。「オラー」とか「ムーチョ、グラシアス」くらいしかわからなかった。歌詞の意味を辿りながら生歌を聴くのとそうでないのとではおそらく感じるものが6倍くらい違うだろう。アルバム「La Pasion」の選曲もルスのインタビューによれば歌詞に重きをおいて選んだということであるのに。そして彼女もステージ上でほとんどスペイン語で話したし、ラテン系の外国人客がたくさんいたが、彼らの笑いについていけなかった。そして、

なんといってもフルバンドではなかったことが残念だった。ホーンセクションとパーカッションがいなかった。ピアノとベースとドラムというミニマムのバンド編成で、ドラムのひとが「Piensa En Mi」ではギターを弾いていた。

バンドは皆レベルの高い演奏を聴かせたし、それはそれでひとつの完全を成してはいたが、やっぱりね、弾けるホーンと跳ね飛ぶパーカッションが私としては欲しかったし、またルス・カサルはピアノだけでしんみりと歌うのも似合うが、フルバンドの音の煌めきになにしろ最高に合う人で、バンドの厚みにけっして負けない声を持っているのだから。

日本でラテンというジャンルは今はどうなんだろう。まあ今はジャンルが細分化されて、ブームとか国民的という概念も消えたようだし、各々それぞれが聴きたいものを聴きたい時に聴くということなんだろう。私にしてもそうだし。

今、窓から「ケケケケケケケケケケケケケ」とかいう鳥かサルかの声がしたのだが、今まで動物園以外では聞いたことのないような声で、なんだ? いくらなんでもサルじゃないだろうから、鳥か。いやもうすでに幻聴かもしれない。よし、ちょっと見てこよう。それでは。

夢の羅列<白バイp-4・赤い七芒星>20170504

2017-05-19 21:35:47 | Dreams
つづき。

マツコデラックスを初めて見た。やっぱりデカいな。まあ夢の中でなのだが。

私は馬乗りのままマッサージの手を止めてマツコに事の顛末を簡単に説明した。するとマツコはどこからか赤いマジックマーカーを出して私に手渡し、「これで書いちゃいなよ」と煽った。

マッサージが効いたのか、もうグッタリまったく動かなくなった白バイ隊員の顔に私は赤マジックで模様を描き始めた。顔に大きく星を描きたかった。普通の五芒星ではなく、七芒星を逆に配置し線だけで描いた。しかしちょっとかっこよく描きすぎたか。

「魔法陣おじさん」のようになった白バイ隊員は、私が馬乗りから降りてやると、ふらぁーっと立ち上がり、それでは署に行って確認してきます。と言い残し歩いて去っていった。あそうだ。もうひと言、私たちがいざこざしていたすぐ前の店を手で示して、私の家内の実家です。とも言ったのだった。

いったい何を確認するのだろう。私の違反をか。それよりなぜ徒歩で? まあフラフラしてたから徒歩の方が安全か。それにしてもオレの車はどうなったのか。だいたいどこにあるのか。渋谷はどこか。ここはどこか。私は白バイ隊員の妻の実家の店の前でまとまらない考えを巡らせていた。すると、

「いらっしゃーい」と元気のよい声に私は、はっとして、前を見ると店の女将さんが店頭に出てきて、客の相手を始めた。店の前に少し歩道にはみ出して移動式の木枠のショーケースを置いて総菜各種を売っているのだ。

ショーケースというよりも、あずき色木製陳列ガラス棚とでも呼んだほうがしっくりするかもしれない。その上に居酒屋のカウンターのように皿鉢が並べられ、その中で妙に背の高いかき揚げが汁に浸かった料理が私の目に留まった。

醤油とダシの匂いが鼻をくすぐった。そういえば今日はバタバタして腹も減ってきたな。よしあれを買って帰って、夕飯をショボショボ食うか。それで宙を見ながら「シシャノゴトク……。」とでも呟いてみるか。

気がつくと、いつの間にかマツコも行政もいなくなっていた。店は繁盛していた。買うとは決めたものの、なかなか客の間に割り込めそうになかった。西の空に雲が赤く染まりつつあった。気温は暑くもなく寒くもない。当たり前だが人が歩いている。しかし私が歩いて帰るにはおそらく遠すぎるだろう。駅を探すか。いや車で出たのに電車で帰るというのも何かおかしい気がする。いや、気のせいか。

おわり。

夢の羅列<白バイp-3・逮捕デラックス>20170504

2017-05-15 20:20:39 | Dreams
夢の羅列<白バイp-3・逮捕デラックス>20170504


つづき。

染め物屋を出て、まずは住宅街を抜けようと私は高台の線路際から街を眺めた。

ははあ、あのへんが繁華街か。それならあっちへ行ってみるか。と私はその時に思ったが、今これを書きながら、どう考えても首都高速の空中立体ジャンクションなどどこにも見えなかったのに繁華街らしき風景を目指したというのは、まあ夢の中のいい加減な判断によるものだといえるだろう、と思う。

しばらく歩くとだんだん商店やビルが増えてきたが、しかし渋谷という感じではなかった。もっと、なんだろう。上野に近いが寂れているエリアというか、下谷あたりの感じというか、そういうと下谷に悪いのだが、そうか、寂れているという形容ではなく、落ち着いた感じといえばいいのか。そんな感じ。つまりけっして悪い感じではない。生活感があり、地元民ばかりで、騒がしくない、そんな感じか。

突然、背後から呼び止められた。振り返ると白バイである。他に男と女のいかにも行政といった感じの二人が明らかに私を追いかけてきたという雰囲気で立っていた。ああ捕まったか。私は思ったが、しかしこのくらいのこと、いくらでも言い逃れは出来るだろう。それに最悪でもたいしたことはないのだ。「何だ」と私は声に威嚇を込めて返事をした。

白バイ隊員が降りてきて、私の前に立ち、くどくど言い始めた。私も負けずに言い返し、だんだんとお互い冷静さを失いつつあった。ついに白バイ隊員が私を押し倒し、なんと、自転車の空気入れのチューブのようなものを私の口の中に押し込んできた。私は「モガモガモガガガガ」である。先端の金属が歯に当たり痛い。私は怒り心頭に発し、渾身の力を込め身体を上下入れ替えた。

このヤロー。オレはタイヤじゃねーんだよ。私は白バイ隊員に馬乗りになり拳を振り上げた。そして怒りをぐっと込めて振り下ろし、白バイ隊員の顔をマッサージし始めた。ぐにゅぐにゅぐにゅ、さわさわさわ、モミモミモミ。隊員は猫か犬のように気持ちよさそうにアゴをあげ応えた。私は指先に男の顔の油を感じ、気持ち悪かった。私は指先に油っぽいものが付くのが嫌いなのだ。しかも男の顔油。うぇっ。

さすがに怒りはあっても警察官を殴ることに躊躇したのだろう。夢の中の歩道上で私が馬乗りになり白バイ隊員の少しヒゲが伸びかけた油っぽい顔をマッサージしていると声がかかった。

「何してるの? アナタたち」

私が手を止めて顔を上げると黒い服の巨漢の女が心配そうに私たちを見つめていた。マツコであった。そう、デラックスの、である。

つづく。

夢の羅列<白バイp-2・迷路おじいさん>20170504

2017-05-13 21:15:44 | Dreams
夢の羅列<白バイp-2・迷路おじいさん>20170504


つづき。

なんだここは。首都高の路側帯に出ると思っていたのだが、これはどこかの家の中ではないか。それならオレの車はどこへいったのか。そうか開けたドアを間違ったのか。私はすぐに入ったドアから元に戻ろうと振り返りドアを開けた。

あ、また部屋だ。おかしいぞ。私は少し焦った。奥のドアを開けた。また部屋だ。そして次は廊下だ。今度はドアや戸がいくつもある。どうする。どうする。早く車に戻らないと、あの白衣の男に輪留めでもされたら逃げられなくなる。私はイラつくのと焦るのとで、もう手当たり次第にドアを開け進んだ。もう元には戻れない確信があった。迷路かよ。どうなってんだ。おっと木造の階段が見えた。よしこれを上がろう。

階段を上がると短い廊下があり、先の方が明るく見え、そこはおそらく玄関であると思われた。私はとにかく外に出ようと進んだ。よしよし玄関だ。そうか、靴を履いたままだったな。あと3歩か。まあ仕方がないか今さら。私は靴のまま三和土に降りようとした。その瞬間、右側の戸を開け放したままの台所?に人の気配を感じた。

右を見るとダイニングキッチンのテーブルに浴衣姿のおじいさんが座っていて私を灰色の目で見ていた。うっ。私は飛び降りようとしていた脚を停めた。

「シシャノゴトク……モグモグ……。」

???……、ああ、死者のごとくか。履物を履いたまま家から外に出るのは死人と担ぎ手だけだというアレか。私は素直に申し訳なかったと思い、老人に頭を下げた。下げつつもついついその乱雑な部屋の中をさっと見渡した。私から見ればゴミばかりに見えたが、爺さんは食事中で、箸を宙にに停めたまま私を見て、いや私を見つつもその背後の何かを見ているような目で、しかも口にまだ飲み込んでいない飯が入ったままで言った。

「つまり、じゃ。クドいんじゃよ。今時の魚は。……、リズムというものがない。昨日の夜の波の繰り返しをリズムとして記憶しておかにゃならんのに……、ワシャまだ死んどらんしの。ブツブツ」

もう私に話かけてはいない。以前、横浜の台湾料理屋で店の隠居した老婆が、私が食事中にずっと独り言をまるで歌うように端の席で口にしていたが、この老人もそんな感じがした。まあ年寄りなんて皆そんな風だろう。先を急ごう。しかし年寄りからリズムという言葉が出ると何か新鮮に聞こえるな。

目の前の玄関は開いたままだった。私はいったん靴を脱ぎ三和土に降り、あらためて靴を履き、外に出た。路地だった。普通の、どこか、雑司ヶ谷の住宅街かなといった少し昔風の下町感のある風通しのよい路地であった。玄関を振り返った。左横に大きく白い暖簾が張ってあり、朝顔の意匠が見事だった。そこに「染め物○○」と一緒に染めてあり、ああここは染物屋だったのか。じゃああの爺さんは職人か。でもあの齢で。ご隠居かな。いやいや、車だクルマ。急がなくては。

つづく。

夢の羅列<白バイp-1・渋谷そして白衣>20170504

2017-05-11 19:40:36 | Dreams
夢の羅列<白バイp-1・渋谷そして白衣>20170504


夢の中で私は、車を運転し、渋谷へ向かっていた。

渋谷も最近は街の変化が早すぎて、地下地上ともに何が何だかわからなくなっているのだが、夢の中の渋谷も現実以上に近未来の様相を呈していて、駅前には首都高速の立体ジャンクションが空中に何層にも複雑に繋がり、初めてそこを運転する私はけっこうなストレスを感じていた。

片側2車線の左側を大きな右への弧を描きながら進むと先に分岐があり、私としては右へ行きたいわけだが、どうやら黄色のラインということは、もう選択することは出来ず、合法的には左にしか行けないらしい。

現実であればそんなポイントはトラップがあるに決まっているのだから、私はあきらめて素直に左に行くであろうが、夢の中という気の弛みからか、つい右に急ハンドルを切ってしまった。そして分岐を右に入りしばらく走った。わずか一瞬の動作だったし、遠目で目視されないようウインカーもわざと出さなかったから、まあなんとか成功したか。そう安堵していたら、まったくそんな甘いことではなかった。

巨大なビルを貫くトンネルの手前の路側帯に白衣の男が現れて、左に寄せて停止しろと合図を私に出した。私は汚い言葉を車中で吐き散らしたが、どうせ逃げられようもないだろうから指示通りに車を停めた。

白衣は「はい、降りてこちらへ来てください」と言う。集中取り締まりなのか、きっと近くに長テーブルでも出して切符を切っているのだろう。仕方がない。私は降りて男の後についていった。ところが男は建物のドアを開けて階段をどんどん降りてゆくではないか。私は男に追いついて荒い口調で文句を言った。冗談じゃない。鍵だって抜いてこなかったのに、どこへ連れて行こうというんだよ。とにかく車に戻ることを主張し、私はきびすを返し階段を上がった。背後に白衣の声が聞こえたが、もう無視した。

よしよし。追いかけてこなかったら車に乗って逃げてしまおう。私は少し楽しくなり、鉄の階段をカンカンと駆け上った。そしてドアを開けた。なんと、そこはよくわからない民家の部屋であった。つづく。

夢の羅列<港>20170503

2017-05-05 19:08:10 | Dreams
夢の羅列<港>20170503


夢の中で私は、これから車で山の急斜面を駆け上がろうというのである。

かなり急な未舗装路で、脇の大木の太い根がボコボコと露出して、
これは大変な事になったなと躊躇していた。

とはいっても登らなければならず、私は車に乗り込んだ。

もう迷わず行けよ、行けばわかるさ、ということで、
一気に上まで登ってしまおうと私はアクセルを吹かしクラッチをつなぎ発進した。

坂の上までは30メートルくらいだろうか、しかし半分までは一気に来たが、
そこからまたさらに斜面はきつくなって車のスピードががっくりと落ちた。
しかも自分の上半身をハンドルに強く押し付けるほど前にバランスをとらないと
車は後ろにひっくり返ってしまいそうなのだ。

勢いは止まったし、こんな未舗装でむやみに強くアクセルを踏めば、
ヘタをするとタイヤが滑ってスタックしてしまいかねない。

しかし内心ではこのまるで壁のような斜面をこれ以上登ることは
物理的に無理だろうなと半分諦めかけていた。

タイヤが地面を噛む能力と傾斜のバランスが崩れた時に車は停止するか、
ズルズルと後退するか、それとも一気にひっくり返るか、さてどうなるか。

そんなことを考えながら
私はタイヤが空回りしない程度にアクセルを調整することに集中した。

するとタイヤがけっこうなブロックタイヤなのか、しっかりと地面に食い込んで、
車は予想外に、もちろんゆっくりではあるがスルスルと登っていくではないか。
これには驚いた。

峠まで登りきってみると、案外と楽に登れたなという感想であった。

まあそれでも冷や汗かいたゼ、といった感じで私は車から荷物を降ろした。

今度はそれをキャリアーに載せて歩こうというのである。

山の中の整備された公園のような石畳の道を私はキャリアーを牽いて進んだ。

しかし、その石畳の道はアトラクションのように箱庭的な感じではあったが、
高低差があり、分岐ばかりで、これはとても辿り着けないだろうと私は半ば諦めていた。

とにかく目的地と全然違う場所にいるような気がしてならなかった。
まるで何度も同じ道を通っているような気がしていた。ところが、
まあとにかく歩けるだけ、進めるだけ行こうと歩いていると、突然、視界が開けて、
ドーンと港が一望出来る高台に私は出たのだった。

諦めはあっけなく消え去り、眼下に埠頭が広がっていた。

遠い国へと沈む陽は水平線に消えるその間際いっそうに燃え黄金を放ち、
それは光の水切りかのように無数に沖のさざ波を跳ね射して、
敷き詰められた黄玉の道標。
世界の果てに続く星の光河。
港には何隻もの船が薄明かりに浮かび、
その影はこの琥珀の町にまで長く重く伸びていた。

おわり。

夢の羅列<なぜか埼玉>20170503

2017-05-03 20:59:41 | Dreams
夢の羅列<なぜか埼玉>20170503


夢の中で私は、なぜか埼玉にいるらしい。

この「なぜか埼玉」というコピーはたしか歌の名だったか。
埼玉の立ち位置というか存在感というか、
そういったことを大変にうまく言い当てている気がする。

なんとなく埼玉。気がついたら埼玉。わけもなく埼玉。

しっくりこない。

やはり「なぜか埼玉」は秀逸だ。

などと私は夢の中で「なぜか埼玉」に妙に感心しながら歩いていた。

でも埼玉はけっこういいところなんだよね。

まず広い。広いから場所によって全然違う文化様相がある。

東のディープなスポットから西のカントリーまで、いくらでも楽しめるし、
食べ物も海がないから逆に山と畑オンリーの色が濃くて、独特さが残っている。

……まあ、ホントは埼玉をあんまり知らないのだが。

いつだったか、
泥酔して横浜から電車に乗って、気がついたら柏の駅のベンチで寝てたことがあったが、
いや、柏はあれか、千葉か。

今、気になって「なぜか埼玉」という曲を検索して聴いてみたら、
ああこれか。
いい加減な歌詞にいい加減な曲という絶妙なバランスで、けっこう好きだ。
♪右も左もすべて埼玉、というところで思わず笑ってしまった。

それで、
夢の中で私は、なぜか埼玉のどこかの主要駅の構内にいた。

フリーマーケットのようなイベントを見て回っていた。

ウロウロしていると、見覚えのある女性がぬいぐるみのような品を売っているのを見つけた。

「この間、駒沢公園にいたよね」

「ええ、今日は駒沢の予約が取れなくてこちらに来たんです」

「ふーん。けっこう大変だな」

彼女の店はもちろん露店形式であるが、大きな板を斜めに二枚置いて、
そこに手作りのぬいぐるみなどがテープでたくさん止めてあり、とても見やすい。

斜めの板には白い紙が全面に貼ってあり、女性らしい清潔感もある。

私は彼女と板越しにしばらく何かを会話しながら、
なんとなく板に貼られた紙に目をやると、そこに私の名前が書いてあることに気がついた。

あれ、なんだこれ。住所まで書いてあるではないか。

いやいや、これはオレの字だ。オレがたしかここに書いたんだった。

その下にどこかの会社の電話番号が書いてあり、そうか、思い出した。

私はいつだったか、ここではないところで彼女に何かを尋ねて、
彼女は快く答えてくれて、
その時に教えてくれた仕入れ先だか関係先だかの電話番号をここにメモしたのだった。
そして、ついでに自分の名前もと、ここに書いたのだった。

オレ、バカじゃねーの。

おわり。