先ほど、ブラジルのイエローブルボン・フレンチを濃いめに淹れて飲んだ。
フレンチは、
温度と抽出量に注意すれば「これぞコーヒー」という美味さになりえる。
それで、濃いコーヒーを飲みながら思ったことは、
やはりこんな美味いコーヒーには葉巻だよなあ。だった。
もちろん、今ここに葉巻はないのだが。
私は煙草を吸わない。
もう15,6年ほど前にやめた。
当時、吸うなら両切りだった。
ショートピースかゴールデンバット。
それ以外は吸った気がしなかった。
ピースは高級な香りと味が楽しめたが、バットは安くてもしっかりとした味があった。
ゴールデンバットは私が止めた頃、たしか110円だったかなあ。
しかし近所で、なかなか売ってなくてね。
それから、煙草を止めてずいぶん経ってから、やはりコーヒーには葉巻だな、と思い、
けっこう高い葉巻を買って、独り当時の工房の地下室で吸っていたのだが、
いや、あのね、味は美味いよ。コーヒーにも最高に合う。しかし、
もうあの後味が受け付けなかった。舌にいつまでも残るニコチンとタールが。
結局、自然消滅的に葉巻も吸わなくなったのだが、気がついたことがひとつあった。
葉巻にインスタントのコーヒーは絶対に合わないということ。
今は製法もよくなって、インスタントでも慣れればけっこうそれなりに飲めるのだけど、
葉巻に合わせることは無理。なにしろ不味さが際立つ。
やはり、レギュラーをフレンチかイタリアンのローストで、濃く甘く淹れて楽しみたい。
昨今流行りの浅煎りではあの煙をしっかりと受け止めきれないだろう。
濃いコーヒーというと、それならスターバックスなどのエスプレッソかと思われるが、
いや、あれは味の変化が早いから、あまりお勧めできない。
葉巻はサイズによるが、1時間くらいは楽しめるわけで、
それに合わせるとなると、やはり、
ネルドリップ、点滴抽出、30グラムで120ml、3分以内。そんなところではないか。
この方法なら味は長持ちするし、冷めても美味い。
濃さに飽きたら熱湯を注げば、また違った風味が立ち上がるのだ。
……何を書いているのかわからなくなってきた。
書きたいのは葉巻の話ではなく、煙草の話だった。いや、ゴールデンバットの話だった。
いや、そうではなく、バットの話だった。
これを今書いているのは私の部屋なのだが、右の手が届くところに窓がある。
それでね。以前から窓というか雨戸というか、そのへんからキーキーキーキーと、
何かが擦れる音がすることがあって、それはアルミを擦ったような音だったから、
私はおそらく雨戸ではなく、サッシが風で微振動して鳴っているとずっと思っていた。
そういうことは少なからずあるから。
建物とか何かのオブジェクトとか、その構造が風とかの周波数にぴったり合ってしまって、
共鳴してしまうという現象。
音がする度に窓を開けてみたり、触ってみたり、揺らしてみたり、すると音は止むので、
まあそんなこともあるよ、とあまり深刻に考えないで今日まで過ごしてきた。
まあ、もうだいたい予想はついてきたと思うが、
今日、先ほど、またキーキーキーキーと音がするので、
窓を開けて、ふと戸袋の奥を見たら、
バットがいた。コウモリが2匹、戸袋の暗さに潜んで鳴いていた。
小さい。
手のひらに乗るくらい。
これは迂闊に雨戸を動かしたりできないな。
こいつら、暗くなったら出動するのかね。
まあ適当にやってくれとも思うが、しかし、
戸袋の中を汚すからなあ。
ゆっくり考えよう。
おわり。
画像はうちではありません。