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映画「悪人」感想

2016-08-10 19:40:04 | Diary
先日のつづき。

結論というか前提を先に書いてしまうと、映画だけを観てこの物語を語るということは無理があるだろう。

小説の映画化は2時間くらいの尺に合わせるため、いろいろな伏線とその帰結を省いたり、ほんの短いイメージ的なシークエンスに大きな意味があったりするのにそれを端折ったりするから、原作の最大公約数的に作られた映画だけを観てあれこれを言っても、まあ言葉の遊びになりかねない。ただし疑問に思った部分はいくつかある。

満島ひかりの演じる峠で殺された保険外交員の女、石橋佳乃についてである。彼女のお父さん役を柄本明、お母さん役を宮崎美子が演じたわけだが、裕福でなくとも実直な二人は地方の小さな理容院を営み、少なくない愛をもって娘を育て、やがて娘は九州地方の都会、福岡で就職する。さてこの親のどこに瑕疵があって、あのように裏表のある娘が出来上がるのだろうか。

たしかに今時の若い娘といえばあのように物事をあまり重く考えないという感じではあるし、彼女に感じた裏表がそんなに悪いかといえば、まあそんなでもなく、誰にでもありそうなことなのだが、しかしあの親からはこんな娘にはならないだろうという私の経験則がある。何が不満で、またはいつから、あの品性のあまり高くない感じを心に宿したのだろうかと私は首を傾げざるをえない。私個人の理解の整合性がつかないのだ。

そんな表面だけを取り繕っても、つい出てしまう嫌らしさを満島ひかりは、私に多少でも嫌悪を抱かせるほどに好演していたということの証明でもある。詳細な説明は省いているので、観ないとどこが嫌らしいかはわからないけどね。

またそのうちつづく。
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