20230529
先日、各種用事で、
新宿の西口から三丁目の地下をフラフラと往復し、
「新宿も最近は何がなんだか新々宿だな」
などと自分ではうまいことを言ったつもりで独り歩いていると、
移動中のその場所ごとに思い出すことも多々あり、
「ふーん、はーん」
とすっかり年寄りじみた声が出てしまう今日この頃。
さて京王や小田急の下を歩いていた時に、
そういえばスバルビルがなくなって、
下にあった「新宿の目」が撤去されたらしいが、
その跡はどうなっているのだろうか?
ふと小さな疑問が湧いた。
しかもその目の跡はすぐ先である。
よし見に行こう。
この地下ロータリーも今になくなるんだろうな。
オレが生きているうちはあるのかな。
地下ロータリーの中央の柵に沿って、
ホームレスたちの荷物らしきものが
びっしりと並んで置いてあるのが見えた。
この副都心に来るたびに様変わりする姿に驚くが、
「新宿の目」は子供の頃からの付き合いである。
なくなったのなら、その跡をこの目で見てやることが
けじめというものである。
何か自分が誰よりも新宿を愛していたような勘違いを覚えつつ、
その小さな使命感に少しだけ燃えながら、
都庁方面に向かって歩いていくと、
あっさりと変わらない姿があの角に見えた。
スバルビルの解体にともない目は撤去されたと思い込んでいたから、
ちょっと驚いた。
「なんだ、あるじゃん」と私は雑踏の中で声が出たと思う。
「新宿の目」
夜は怪しく光るらしい。いや光ったらしい。
最近も夜に光るのかどうか知らないし、
光っている姿を見た記憶もあるような、ないような。
以前にもここに書いたが、
いつの間にかJRの中央改札がなくなって、
西と東が太くつながり、
こんなとこに階段あったっけ?
そんな箇所がいたる所で昨今目につくようになった。
今と昔の差異を
ぐじぐじと思い返している私の感傷を
この新宿の目の古くて汚れたガラスの中に、
無表情に置き去りにしたまま、
都市は上に下にと盛ったり掘ったり、
拡大を続けていくらしい。
E V O L U C I O