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「我ら百姓家族」感想

2018-09-09 17:18:18 | 映画

少し前のことだが、
「我ら百姓家族」というドキュメンタリー映像作品が放送されていて、
それを観た感想を少し。

作品は、兵庫県の山間に住む家族を20年近くに渡り取材したもので、面白かった。

学生運動に明け暮れた男が国鉄に就職し、そこでも組合運動に勤しみ、
やがて職場で知り合った女性と結婚をし、夫婦で自然食品の販売を手がけるが、
排ガスを撒いて健康食品を配達することにジレンマを感じ始め、
さらに長男のアレルギー体質もあり、そこから極端ではあるが、
山の中で自給自足の生活を家族で確立しようと移住をする。

数年のうちに自分と妻。長男次男三男。長女。次女三女は双子。家族は総勢8人となる。

畑もやれば家畜も育て、炭を焼き、電気も作ればバイオガスも作り、まさに自給自足。

子供も早朝から一日中仕事に追われ、なかなか学校にも行けず、
父は年端もいかない娘たちにも容赦なく鶏の首を落とすことを命じる。

ところが長男が15歳の時に、妻が夫も子供も何もかもを捨てて離婚し山を降りてしまう。
その時一番下の双子は5歳だったか。

それでも残された家族は自給自足を貫き、長男次男は山男として逞しく一人前に育つ。
しかし三男は山の暮らしを嫌がり、茶髪にし、やがて東京へ出て役者を目指す。

次男が所帯を持ち、近所に自分たちで家を建てる。

父親の理想はこの土地に自分の王国を作ることだったと私には思われた。

正しくは、自分の、というより自給自足が主役で、つまり自給自足の国を作りたかった。
もっというと、自分の考えの正しさをこの土地で証明したかったのではないか。

父親は基本が真面目な人なのだろう。
真面目が過ぎて自分が頑固者になっていることに気がつかない。

成人した末っ子の双子は山を降りて就職をする。
逆に三男は東京での夢に破れ、山に戻る。
山の暮らしが好きだと言っていた長男も結婚をし、山に家族を作る。

父は、近くに息子たちがいるにしても、家では独りになり、
ある日、身体の不調を覚え、病院に行くとガンを告げられる。

双子が帰ってきて、しばし父の世話をする。
ガンは転移をし、片目を摘出する。(もちろん病院で)

しかし医者にもう余命3ヶ月だと告げられ、坊主を用意しろとまで言われ、
本人もほとんど動くことも出来なくなり、介護の苦労というよりも、
終末期の痛みを和らげるためにだと思うが、とうとう入院をする。

もう最期だということで、家族を捨てた元妻が病床に現れ、言葉を交わす。
「同士ですから。お互いがんばりましょう。」と相変わらず左翼的発言の元妻。
「あんただけがんばってください。」となかなかいい返しの寝たきり元夫。

破れた王国の主は天に召され、
後始末を終えるとあの山が好きで山の暮らしを誰よりもよく知る長男は、
彼の家族とともにすぐに山を降り、海辺に移住する。

次男の家族が一番、父の望みに近い暮らしを続けるような気配で、
役者の夢に破れた三男はフィールドアスレチックのスタッフとして山で働き、
双子の娘たちは街で働き、幼少に足りなかった勉強をする様子。
鶏を屠ることができず泣いたあの優しかった長女はどうしたか忘れた。

ここでしっかりと書いておきたいことは、子供たちのポテンシャルが皆高いということ。

学校に行けなかった分、学力は低いかもしれないが、基本性能が大変に高い。

人の一生は、仮説━実験━分析━結論、そしてまた仮説の繰り返しだと私は思っているが、
そこを彼らはよくわかっているような気がする。しかも底力を持っている。

私ごときがこの父、そして家族について何をいうこともないし、その力も権利もない。

制作がフジテレビなので、それなりの「演出」もあるだろうし、
世の中、作用と反作用というバランスがあるわけだし、
「禍福あざなえる縄のごとし」という言葉もあり、今後何がどうなるか、
何がよかったか、何が悪かったか、100年でも経ったらきっと答えも出るだろう。
それまでは誰も予想できないと思う。

生前の映像で、片目を失った身体でようやく起き出し、外に出て、
長年、家族で作ってきた自分の理想郷を、
しかしもう誰も居ない王国の姿を眺める男の背中が印象的だった。

しかし彼はよくやったと思う。

勘違いや間違った部分はたくさんあったにしても、
彼自身は、いい悪いは別にして、やりきったのではないか。

見逃しの三振では決してなかった。
ホームランでもなかった。
なんだろうね。
三塁打タッチアウトというところか。

思い出しながら書いたため、少し記憶違いがあるかもしれない。

おわり。

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