平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第6話「悪い知らせ」~時はすでに佐殿を越えています。佐殿がいなくても板東武者は戦います

2022年02月14日 | 大河ドラマ・時代劇
 敗戦そして逃避。
 皆、心が折れている。

 父・時政(坂東彌十郎)は
「先が見えた。佐殿と手を切るにはいい機会。北条が生きのびる手立てを考えよう」

 三浦義村(山本耕史)も
「もはや勝てないいくさ。佐殿に見切りをつけるしかない」

 頼朝(大泉洋)も「もういくさは嫌じゃ」と弱音。

 これらに対して義時(小栗旬)は諦めない。
 弱音を吐く頼朝に対しては、
「生き残ったのは天に守られているからです」
「時はすでに佐殿を越えています。佐殿がいなくても板東武者は戦います」
 これが主人公なんですね。
 主人公の言葉が人の心を変え、物語を展開させる。
 実際、頼朝の心は動いた。
「お前たちだけで何が出来る? このいくさをするのはわしだけじゃ」
 そして自分のために戦ってくれる者たちに
「いくさはまだ始まったばかりじゃ!」

 義時が諦めなかった理由のひとつは、兄・宗時(片岡愛之助)の言葉だろう。
 兄は西国の者に左右されない板東武者だけの国を造りたいと言った。
 父・時政も「三郎(宗時)がやりかけたことをお前が引き継ぐのだ」と言った。

 これらの言葉で義時は自分を見出した。自分のなすべきことを覚った。
 重荷を背負っていく覚悟も持った。
 青年はどんどん成長していく。
 ……………………………………

 源氏を担う武将たちの伏線も張られていた。
 三浦義村と畠山重忠(中川大志)の間で生まれた確執。
 きっかけは和田義盛(わだ よしもり)が重忠に矢を射たことだった。
 梶原景時(中村獅童)は頼朝を洞穴で発見したのに見逃した。
 梶原景時は「平家物語」で名場面を演じる武将ですよね。
 教科書で読んだことがある。

 そして女の闘い。
 政子(小池栄子)VS八重(新垣結衣)
 ギャグパートだったが、その後、八重は千鶴丸が殺されたことを知る。
 おそらく八重の心は父から完全に離れただろう。

 登場人物たちがさまざまな思いを抱いて歴史を綴っていく。
 これが大河ドラマだ。


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2 コメント

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義時の「軸」 (TEPO)
2022-02-14 15:59:50
>父・時政は「先が見えた。佐殿と手を切るにはいい機会。北条が生きのびる手立てを考えよう」
>三浦義村も「もはや勝てないいくさ。佐殿に見切りをつけるしかない」

節操のなさを殊更に強調して描くことにより、例によって「ずっこけ喜劇」仕立てとなっていますが、大枠としてはむしろリアリズムだろうと思います。
この時期、北条を含め板東武者たちは「頼朝を担ぐか、見捨てるか」の間で揺れている。
「頼朝への忠義」など、本音ではどこにもありはしない。
彼らと頼朝とはまさに互いに利用しあう関係。

いつも話題にする番宣特番で、大泉洋さんは「北条ファミリーとの間には楽屋でも距離があった」と笑いながら話しておられました。

>義時が諦めなかった理由のひとつは、兄・宗時の言葉だろう。

宗時は早期に退場し、「ポンコツ」だけの存在であるように見えて、これまで「丸投げ・無茶振り、尻拭い」に受動的に流されてきただけの義時に、その後の生き方の「軸」を与えたという作劇は見事でした。

「板東武者だけの国」のてっぺんに北条が立つ。そのために頼朝は必要。

史実に照らしても、義時は、この兄の遺志を受け継いだ「軸」から生涯ぶれることはないだろうと思います。
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主人公は理想のために戦う (コウジ)
2022-02-15 08:59:00
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>大枠としてはむしろリアリズムだろうと思います。
そうですよね。
おそらく彼らの軸は、いかに生き残るか?
「理想」というのは弱くて、状況が変わればたちまち吹っ飛んでしまうものなんですよね。
「大義」も立場や状況が変われば変わってくるもの。
幕末、朝敵になった徳川がいい例です。
そんな中、唯一、動機として強いのは「怒り」や「憎しみ」。
これはリミットを越えると行き着く所まで行ってしまう。
「血」「血統」のつながりも動機としてあり得ますが、この時期一番強いかもしれませんね。
いずれにしても人が生きるとは厄介です。

義時の動機は「理想」に近いですよね。
その理想とは宗時の「板東武者だけの国」を作る。
もちろん屈辱・忍従や兄を殺されたことによる平家への怒りはあるでしょうが、それよりも理想の方が動機として強い。
主人公は「理想」のために戦う。
そしてこの軸はぶれない。
これが主人公なんですよね。
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