荒木村重(田中哲司)を始めとする織田家家臣が思考停止になっている。
播磨に派遣されてきた織田信忠もそう。
彼らが第一に考えるのは、信長(江口洋介)の意向。
自分で考えることもしないし、播磨の状況を一番良く知っている秀吉(竹中直人)の意見に耳を貸そうとしない。
だから尼子が守る上月城を見捨てて、別所の三木城を攻める。
信長は絶対権力者でカリスマ。
こういう人物のもとで統率される組織は確かに強いんですけどね。
何しろ逡巡することがないから、勢いで他のモタモタしている敵をどんどん駆逐していく。
アレキサンダーしかり、ナポレオンしかり、ヒトラーしかり。
だが、トップが狂い始めて方向を間違うと一気に崩壊に向かう。
こうした織田家に敵対する毛利が、毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の合議制であったことは興味深い。
合議制の良い所は、仮にひとりが間違ったとしても、別の意見が出て修正がきくことだ。
この体制には優柔不断になったり、作戦がどっちつかずの中途半端なものになったりというマイナスがあるが、合議制の遺訓を残した毛利元就は、独裁カリスマ体制の危うさを認識していたのだろう。
また、今回特筆すべきは、秀吉と信長の溝だろう。
以前、秀吉は「信長の考えることは手に取るようにわかる。だから先読みして、かゆいところに手が届く対応が出来る」と豪語していた。
だが、さすがの人たらし秀吉も、信長の考えを読めなくなってきたようだ。
今回、上月城をめぐる信長と秀吉の判断は180度違ってしまった。
「上月城を見捨てよ」と語る信長と
「上月城を見捨てれば播磨の者は織田を見限りまする」と主張する秀吉。
ここにはふたりの人間観の違いが表れている。
すなわち<人間を信じない信長>と<人間を信じる秀吉>の違いだ。
信長は、前回播磨が分断した時点で、播磨の人間がふたたび帰順することはないと考えている。
仮に帰順したとしてもまた裏切る。だから不安要素は取り除き、恐怖と力で押さえつけるべきと判断している。
一方の秀吉は、童話『太陽と北風』で言えば、<太陽>方式。
人の心をやわらげ、溶かし、味方にしていく。
今回、秀吉が職隆(柴田恭兵)、光(中谷美紀)を人たらしで味方にするシーンと、荒木村重に人たらしが通用しなかったシーンが描かれたが、村重の心は頑なだ。
信長を怖れ、その意向を第一に考える村重には、秀吉の人たらしなど通用しない。
自分で考えることを忘れ、信長のロボットと化した村重の姿は、すこし痛々しい。
播磨に派遣されてきた織田信忠もそう。
彼らが第一に考えるのは、信長(江口洋介)の意向。
自分で考えることもしないし、播磨の状況を一番良く知っている秀吉(竹中直人)の意見に耳を貸そうとしない。
だから尼子が守る上月城を見捨てて、別所の三木城を攻める。
信長は絶対権力者でカリスマ。
こういう人物のもとで統率される組織は確かに強いんですけどね。
何しろ逡巡することがないから、勢いで他のモタモタしている敵をどんどん駆逐していく。
アレキサンダーしかり、ナポレオンしかり、ヒトラーしかり。
だが、トップが狂い始めて方向を間違うと一気に崩壊に向かう。
こうした織田家に敵対する毛利が、毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の合議制であったことは興味深い。
合議制の良い所は、仮にひとりが間違ったとしても、別の意見が出て修正がきくことだ。
この体制には優柔不断になったり、作戦がどっちつかずの中途半端なものになったりというマイナスがあるが、合議制の遺訓を残した毛利元就は、独裁カリスマ体制の危うさを認識していたのだろう。
また、今回特筆すべきは、秀吉と信長の溝だろう。
以前、秀吉は「信長の考えることは手に取るようにわかる。だから先読みして、かゆいところに手が届く対応が出来る」と豪語していた。
だが、さすがの人たらし秀吉も、信長の考えを読めなくなってきたようだ。
今回、上月城をめぐる信長と秀吉の判断は180度違ってしまった。
「上月城を見捨てよ」と語る信長と
「上月城を見捨てれば播磨の者は織田を見限りまする」と主張する秀吉。
ここにはふたりの人間観の違いが表れている。
すなわち<人間を信じない信長>と<人間を信じる秀吉>の違いだ。
信長は、前回播磨が分断した時点で、播磨の人間がふたたび帰順することはないと考えている。
仮に帰順したとしてもまた裏切る。だから不安要素は取り除き、恐怖と力で押さえつけるべきと判断している。
一方の秀吉は、童話『太陽と北風』で言えば、<太陽>方式。
人の心をやわらげ、溶かし、味方にしていく。
今回、秀吉が職隆(柴田恭兵)、光(中谷美紀)を人たらしで味方にするシーンと、荒木村重に人たらしが通用しなかったシーンが描かれたが、村重の心は頑なだ。
信長を怖れ、その意向を第一に考える村重には、秀吉の人たらしなど通用しない。
自分で考えることを忘れ、信長のロボットと化した村重の姿は、すこし痛々しい。
私は若い頃から自民党を支持したことはありませんでしたが、昔の-「派閥の連合体」だった頃の-自民党は「まとも」だったと思います。
少なくとも組織の構造として非常に優れていました。
内部に意見の多様性を含んでいたために、アメーバのように民意の動きを一定程度吸収することができたからです。
最近の自民党は変質し、すっかり「翼賛的」になってしまいました。
自民党内でも様々な考え方の人-今は死語となった「jハト派」とか-もいるはずなのですが。
自民党が「一気に崩壊に向かう」のは構いませんが、国民を巻き添えにして欲しくは無いものです。
さて、ドラマに戻って
>信長のロボットと化した村重の姿は、すこし痛々しい。
以前から感じていたことですが、本作では村重についての描写が実に丁寧だと思います。
村重が信長から離反し、官兵衛を幽閉したことは誰でも知っている史実ですが、なぜ彼がそうした挙に出ざるを得なかったのか、という点については知られていません。
本作では、官兵衛と意気投合していた頃の豪放・快活だった村重の変化がよくわかります。
今のところ彼を「ロボット」にしている信長に対する恐怖が臨界点に達したとき、逆の極端に走って離反するのでしょうね。
ところで、光の左京進訪問の場面はいわゆる「フラグ」なのでしょうね。
おそらく左京進は来週死ぬのでしょうが、今までのままだと視聴者には「嫌な奴がくたばって清々した」くらいにしか思われないでしょうから。
しかしそれならばもう少し描き込み-官兵衛にとっては「嫌な奴」でも妹たちにとっては「優しい兄」だった、とかいったエピソード-が欲しかったところです。
村重の描き込みの丁寧さとは格段の違いで、所詮は「安仇」でしたね。
いつもありがとうございます。
自民党、まさにおっしゃるとおりですね。
かつては党内与党と野党、ハト派とタカ派がせめぎあっていいバランスがとれていた。
ところが今は皆が同じ顔。同じ意見。
まるで今回の織田家臣団のよう
村上誠一郎議員がひとりで反対して孤軍奮闘している。
谷垣氏とかにがんばってほしいのですが。
村重に関しては、
>意気投合していた頃の豪放・快活だった村重
が懐かしいですね。
恐怖や力による統率が人を抑圧し、歪めてしまう典型であるとも感じます。
左京進に関しては、織田に抗して戦う理由がよくわかりませんでした。
官兵衛に対するライバル心、嫉妬がその大きな要因なのでしょうが、今回はそれだけではないというニュアンス。
作者としては、嫉妬やライバル心だけの小さなキャラクターにしたくなかったのでしょうね。
次回はその不明な部分が描かれるのか楽しみです。