平成エンタメ研究所

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「らんまん」最終回~オタク、妻、母、実業家──寿恵子を演じきった浜辺美波さん、お見事でした!

2023年09月30日 | その他ドラマ
 朝ドラ「らんまん」が最終回を迎えた。
 万太郎(神木隆之介)を始めとする登場人物たちが花を咲かせる物語だった。
 万太郎は3200種あまりを紹介した「植物図鑑」をつくり、全国に植物愛好者を育てた。
 綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)は新しい酒「輝峰」をつくった。
 波多野泰久(前原滉)は「イチョウの精虫」を発見し、
 藤丸次郎(前原瑞樹)は細菌学・醸造学を切り拓いた。
 その他、万太郎の周囲の人々はそれぞれに花を咲かせた。
 撒いた種は花となるのだ。
 まさに「らんまん」!
 ……………………………………………………………

 そんな中、抜群の存在感を見せたのが万太郎の妻・寿恵子(浜辺美波)だろう。
 寿恵子は当初、「八犬伝」オタク、「滝沢馬琴」推しとして登場した。
「八犬伝の剣士たちの活躍を見守る野原の草になりたい」と話すようなオタクぶり。
 これで視聴者の心を掴んだ。
「八犬伝」オタクはさらに加速し「自分も冒険の旅に出たい!」と言い出すことに。
 結果、ドレスを着て鹿鳴館デビュー。
 そして万太郎と出会い、次のような夢を抱くようになる。
 滝沢馬琴が盲目になっても「八犬伝」を書き上げたように、万太郎に日本全国の植物を収録した「植物図鑑」を完成させてほしい!

 このあたりから寿恵子は現実的になり、夢が具体的になっていく。
 万太郎の夢のために内職をし、質屋通い。
 峰屋に託された1000円を惜しげもなく石盤印刷機購入に充てる。
 新橋にある叔母の料亭で中居として働き、
「八犬伝」講談で政府や財界の要人の人気者になり、渋谷に料亭を開く。
 関東大震災などもあって渋谷は注目される街になり、店は大繁盛。
 しかし、万太郎が標本を研究に没頭できる場所、膨大な標本を保管できる場所を確保するために渋谷の料亭を売り、大泉に引っ越し、植物研究所をつくる。

 寿恵子、あっぱれ! 豪傑である!
 寿恵子だけでもひとつのドラマが成立しそうで、寿恵子が第二の主人公と言われる理由はここにある。

 そして、ここで注目したいのが浜辺美波さん。
・八犬伝オタク
・自分も冒険の旅へ、と考えてしまう空想と現実の区別のつかない女の子
・内職、質屋通いする妻
・二男二女の母
・職業婦人、実業家

 これだけの人物を見事に演じ分けた。

 これまで僕は役者・浜辺美波さんをそんなに評価していなかった。
 演じる女の子は探偵であっても、医者であっても、復讐する女性であってもどれも同じ。
 どれも「浜辺美波」が見え隠れする。
 だからかつらとコミック的なキャラクターで「浜辺美波」を消せる「賭ケグルイ」は浜辺美波作品の中で唯一面白かった。
 しかし、今回の「らんまん」では見事に寿恵子を演じきった。
 特に9/22(金)の万太郎の肩に寄りかかる寿恵子は見事だった。
 背中と表情で、これまでふたりが歩んで来た歴史とふたりの愛情を表現していた。
 この肩に寄りかかる寿恵子は最終回のラストカットでも見られる。

 偉そうに語ってしまうが、「らんまん」は浜辺美波さんを開花させた気がする。
 浜辺さんの次回作が楽しみだ。


※関連記事
「顔に特徴がない」「不器用がすぎる」浜辺美波が乗り越えた2つのコンプレックス《『らんまん』視聴率トップに立つまで(文春オンライン)
 同じようなことを考えていた人がいました。


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