平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

天地人 第14回「黄金の盟約」

2009年04月06日 | 大河ドラマ・時代劇
 第14回「黄金の盟約」

 金で敵を釣る。
 他の武将たちが異を唱えた様に<義>を世に示す上杉として許されることなのでしょうか?
 これでは現実主義者の信長や拝金主義者の秀吉と同じ。
 前回の領地と引き替えにした交渉まではまだ許容範囲だった。

 しかし今回の対応は?
 第12回で「生き残るために強い方につく。金をくれる方につく」という斎京三郎右衛門(高杉亘)の考えを否定したのは他ならぬ兼続(妻夫木聡)。
 ところが今回は自らが否定したことをやっている。
 これでは斎京三郎右衛門は「言ってることとやってることが違う」と怒るのでは?
 ブレまくりの兼続。
 もうひとつ、金を使って相手を説得するのでは策がなさ過ぎる。
 誰もが思いつかない策を使って事態を打開するのが軍師。
 「謙信公は信玄公の窮地にあり、塩をお送りしたことがございまする」と言って黄金と塩をいっしょに論じたのは単なるレトリックの遊び。
 謙信の場合は<義>の行為だが、兼続の場合は<買収>。

 またまたこの作品で何を描きたいのかわからなくなってきた。
 僕は<義>という理念で人が争い、生き死にするのは嫌いだが、この作品で<義>を描きたいのなら、兼続は斎京三郎右衛門の時の様に<義>で闘ってほしかった。
 黄金を使うにしても別のレトリックで説得してほしかった。
 この辺、原作ではどの様に描かれているんだろう?

 ドラマとしては武田との同盟がなった時の景虎(玉山鉄二)側のリアクションを入れてほしかったですね。
 景虎、華姫、遠山、それぞれのリアクションが違うはず。
 これで自らの運命を覚る景虎。
 兼続を恨む華姫。
 景虎を見限ろうとする遠山など。
 そこがドラマになるはず。
 菊姫(比嘉愛未)との婚儀の話はずっと後でも構わない。

 さてテキストとしてブレブレのこの作品、どこへ行く?



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6 コメント

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不適切な省略 (TEPO)
2009-04-06 14:34:02
>またまたこの作品で何を描きたいのかわからなくなってきた。

全く同感です。
私は「義とは何ぞや」なる難問に立ち入ることは敢えて避けてきましたが、大方の視聴者は、仰る通り桑取の回での「金が全てではない」というラインで辛うじて気を取り直したばかりのところだと思います。そこに敢えて「黄金」を持ち出すからには何らかの工夫(「別のレトリック」)が必要だった筈。

>この辺、原作ではどの様に描かれているんだろう?

原作なのか脚本なのか正確なところは知りませんが、とにかくドラマになる以前のある段階まででは、兼続の前に初音が現れて高坂弾正の死を伝えた上で、追加献金の策を示唆したことになっているようです。
これならある程度理解できます。そして初音の提案を聞いた兼続に「敵を買収する」とうことに対する抵抗感と直面させ、大いに(実際のドラマで景勝に悩ませただけの時間を注ぎ込んで)悩ませて欲しかったところです。そうすれば兼続の行動にもかなり説得力が出たことでしょう。何の逡巡もなしに献金策を提案するようでは、兼続は破れかけた自分の策に固執しているだけにしか見えません。

他人に入れ知恵されたのでは「知将の名が廃る」とでも思ったのかもしれませんが、「義の名が廃る」危険の方が大きかったはず。脚本家なのか演出家なのか、物語を放送された形に確定させた人は、自分の家族なり友人なりに「他人の目」で物語を見てもらい、一般的な視聴者が話をどのように受け止めるのかチェックしてほしいところですね。

あと、秘密四人組の首領である仙桃院が華姫に秘密を漏らしたのも疑問符ですね。来週の御館乱終結を睨んでの事なのでしょうが、物語の説得力を弱める危険要因にならなければよいのですが。
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初音を使えば (コウジ)
2009-04-06 16:58:11
TEPOさん

いつもありがとうございます。
なるほど初音を使えばクリアですね。
おっしゃるとおり初音の提案に兼続が悩めばいいわけですから。
そして悩んだ末、一時的に誇りを失っても生きることを選ぶという流れの方がキャラとして統一感がありますよね。
この作品の兼続は兼続なりに悩んでいるのでしょうが、あまりにも簡単に葛藤を乗り越えすぎる。

あとはおっしゃるとおり、来週の御館の乱の収め方ですね。
<仙桃院が華姫に秘密を漏らしたこと>もそうですが、<兼続が自分のせいで今回の乱を起こしてしまったことを悩んでいる>という父の言葉も引っかかりますね。
そうなると景虎が死んで兼続はどんな気持ちになるのでしょう?
何しろすべては自分が原因と考えているわけですからね、どう転んでもスッキリ感がない。
難しい描写になると思います。

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ですよね~~。 (Nolly Chang)
2009-04-08 00:50:17
こんばんわ。
本当ですよね・・。
「いきなり黄金」って他局の番組じゃあるまいし。
そんなに生き延びて越後を守りたいなら、景虎と和解したほうが筋が通る・・と思いました。
兼続が今回の内乱を巻き起こしたというのは、視聴者の多くも思っていると思いますし。
なんだか、武田を買収してまで、景勝をなんとか当主にしたいだけというふうに見えました。
遠山の暗躍をもっと描いて、兼続が動かざるをえない状況づくりにすればよかったのに。
なんだか・・・。
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前提が (コウジ)
2009-04-08 12:26:13
Nolly Changさん

いつもありがとうございます。
>景虎と和解したほうが筋が通る。
まさにそのとおりですね。
それに景勝が当主という前提事態がウソですからね。
ウソが発展して本丸占拠になり、どんどん事態が複雑に後戻りできない状態になっていく。
その情況を作っているのは他ならぬ兼続。
それで今さら兼続が自分の責任と言われても……。
またおっしゃるとおり遠山(背後にいる北条)という明確な悪が必要ですね。
これまでもそれには触れられているのですが描き込みが足りない。
さて次回どの様にまとめられるのか、それが楽しみです。
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遠山の活躍不足 (TEPO)
2009-04-08 20:27:41
Nolly Changさんのコメントにまたもや得心で、まさしくここに問題の核心があったのでは、と思いました。

たとえば「赤穂物」の場合、吉良上野介役が憎たらしければ憎たらしいほど物語は説得力を持ってきます。そうでなければ、事件は後先考えぬ内匠頭の単なる暴発に過ぎないことになります。
遠山役の螢雪次朗さんの雰囲気はなかなかに悪役が上手そうにお見受けました。彼がもっと憎々しげに目立って活躍してくれれば、御館の乱をめぐる私たちの不満はあらかた解消されていたのではないかと思います。
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明確な悪 (コウジ)
2009-04-09 11:02:28
TEPOさん

おっしゃるとおりですね。
エンタテインメントには明確な悪が必要ですよね。
そのあざとさを避けたことが、全体的な描き込み不足になっているのでしょうか?
主人公の対立図式は明確にした方がいいですよね。
あとは首尾一貫性も。
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