アントワープオリンピック。
四三(中村勘九郎)たちの闘いは『結果報告会』という形で描かれた。
つまり、オリンピックは『結果』だけを求められるフェイズに入ったのだ。
結果を出せなければ、責任を問われる。
「国際舞台で赤っ恥をかいた!」「非国民!」と罵られる。
ここには『世界平和の理想』も『国を越えた友情』も『選手の努力・奮闘に対する賞賛』もない。
まあ、二階堂トクヨ(寺島しのぶ)や記者たちは第三者で、四三たちの努力や奮闘を見て来たわけではないので、こうなってしまうのはある程度、仕方のないことなのだが。
そんな中、スヤ(綾瀬はるか)は叫ぶ。
「せからしか! 金栗選手は負けとらんたい!
しまいまで走ったとでしょうが!
42キロ、日本人で初めて完走ばしたとでしょうが!
16位、ばってん、うちにとっては大勝利。金メダルたい!
金栗四三は金メダルたい!」
というわけで、金メダルを獲って皆にスヤを紹介するという四三の夢もこのような形になってしまった。
ていうか、英国に入る時の入国審査でバレてしまった(笑)
「君、金栗じゃないの? 君、池部なの?」
治五郎先生、面白い!
役所広司さんって、こういうユーモラスなやり取りをやらせると絶品ですよね。
同時に現実とは、思い描いているように上手くいかないものなのかもしれない。
劇的というのはドラマだけのもので、現実は案外、平凡でグダグダ。
これが脚本・宮藤官九郎さんのリアリズムでシャイさの表れなんだろうけど、ドラマに劇的なものやカタルシスを求めている視聴者には物足りない。
史実だから仕方ないのだが、もし、ここで四三が金メダルを獲っていればドラマとして弾みがつく。
スヤがいくら「せからしか!」と叫んでも、視聴者にはモヤモヤが起きる。
テレビの前のお茶の間は普通の家庭が多いだろうから、家にも帰らず、職も捨ててマラソンにのめり込む四三に共感しにくい。
せめてメダルでも獲ってくれれば受け入れられるのだが、それもない。
金栗四三は主人公として非常に難しい人物であることは確かだろう。
小ネタはこんな感じだった。
『マラソンバカ・金栗四三の心を射貫いた女性』
① 冷水ぶっかけ女w
② 女高師のじゃじゃ馬w
③ ミルクホールの女w
スヤは美川(勝地涼)のことを覚えていなかった!w
前々回、あれほど「美川に言ってもしょうがなかばってん」を繰り返していたのにw
美川は自分が四三とスヤを結びつけたと思っているのにw
さて、ドラマとしては治五郎先生と永井道明(杉本哲太)が一線から撤退。
次回は四三の髪がふさふさになるようだし、ドラマは新しいフェイズを迎えるのか。
四三(中村勘九郎)たちの闘いは『結果報告会』という形で描かれた。
つまり、オリンピックは『結果』だけを求められるフェイズに入ったのだ。
結果を出せなければ、責任を問われる。
「国際舞台で赤っ恥をかいた!」「非国民!」と罵られる。
ここには『世界平和の理想』も『国を越えた友情』も『選手の努力・奮闘に対する賞賛』もない。
まあ、二階堂トクヨ(寺島しのぶ)や記者たちは第三者で、四三たちの努力や奮闘を見て来たわけではないので、こうなってしまうのはある程度、仕方のないことなのだが。
そんな中、スヤ(綾瀬はるか)は叫ぶ。
「せからしか! 金栗選手は負けとらんたい!
しまいまで走ったとでしょうが!
42キロ、日本人で初めて完走ばしたとでしょうが!
16位、ばってん、うちにとっては大勝利。金メダルたい!
金栗四三は金メダルたい!」
というわけで、金メダルを獲って皆にスヤを紹介するという四三の夢もこのような形になってしまった。
ていうか、英国に入る時の入国審査でバレてしまった(笑)
「君、金栗じゃないの? 君、池部なの?」
治五郎先生、面白い!
役所広司さんって、こういうユーモラスなやり取りをやらせると絶品ですよね。
同時に現実とは、思い描いているように上手くいかないものなのかもしれない。
劇的というのはドラマだけのもので、現実は案外、平凡でグダグダ。
これが脚本・宮藤官九郎さんのリアリズムでシャイさの表れなんだろうけど、ドラマに劇的なものやカタルシスを求めている視聴者には物足りない。
史実だから仕方ないのだが、もし、ここで四三が金メダルを獲っていればドラマとして弾みがつく。
スヤがいくら「せからしか!」と叫んでも、視聴者にはモヤモヤが起きる。
テレビの前のお茶の間は普通の家庭が多いだろうから、家にも帰らず、職も捨ててマラソンにのめり込む四三に共感しにくい。
せめてメダルでも獲ってくれれば受け入れられるのだが、それもない。
金栗四三は主人公として非常に難しい人物であることは確かだろう。
小ネタはこんな感じだった。
『マラソンバカ・金栗四三の心を射貫いた女性』
① 冷水ぶっかけ女w
② 女高師のじゃじゃ馬w
③ ミルクホールの女w
スヤは美川(勝地涼)のことを覚えていなかった!w
前々回、あれほど「美川に言ってもしょうがなかばってん」を繰り返していたのにw
美川は自分が四三とスヤを結びつけたと思っているのにw
さて、ドラマとしては治五郎先生と永井道明(杉本哲太)が一線から撤退。
次回は四三の髪がふさふさになるようだし、ドラマは新しいフェイズを迎えるのか。
いつもありがとうございます。
>落語に喩えるならば「重厚な人情噺」ではなく「小咄」を多元的につないで行くスタイルなのでしょうね。
これ、的確な宮藤官九郎論ですね。
こんなに的を射た言葉、初めて見ました。
おっしゃるとおり、宮藤官九郎の文体って、小咄を織り交ぜた落語なんですよね。
テンポと語りの妙で見せていく。
思い起こせば、タイトルも『オリムピック噺』ですし、明治、大正、昭和のオリンピックを落語の文体で語ろうとしている。
だから志ん生。
ドラマの根幹・基本を完全に見落としていました。
次回はシマがクローズアップされるエピソードになりそうですね。
今作はシマが主人公だったらよかったのに、と思っていたので、楽しみです。
「結果報告会」に関しては、僕も「挫折の話」を見たくないので、この形が正解なんでしょうね。
デカスロンに参加した野口が「突出した能力のない平均点の君にふさわしい」と言われたのも、おかしかったですね。
これはむしろ作劇上の作戦でしょう。
ストックホルムの時も二階堂トクヨは批判的に質問していましたし、新聞記者たちの態度も同じでした。
アントワープであったことの描写を思い切って省略していましたが、私はこれが正解だったと思います。
もしもアントワープ五輪をストックホルム並みの密度で描いてきたならば、正直言って私はテレビのスイッチを切るかチャンネルを変えていたところです。
「挫折の話」はもう沢山!
今回ばかりは宮藤官九郎氏の軽い「文体」が救いになっていたように思います。
ストックホルムでの戦友三島弥彦との再会や、私費でわざわざ応援に駆けつけてくれた永井先生の話などベタだけど心温まるエピソード、そして四三の「結婚バレ」の小ネタなどで、あくまでも「明るく」「軽く」つないでいました。
>『マラソンバカ・金栗四三の心を射貫いた女性』
では、野口の予想する本命が「 女高師のじゃじゃ馬w」=トクヨだった、というのもお笑いだったと思います。
宮藤流の「文体」、落語に喩えるならば「重厚な人情噺」ではなく「小咄」を多元的につないで行くスタイルなのでしょうね。
志ん生のナレーションが「投げやり」と言った瞬間、四三の足下にやり投げの槍が飛んできたのも「小咄」でした。
四三が女子スポーツに前途を見出す重要な場面でしたが、ドイツのやり投げ女子選手は今日とほぼ同じショートパンツ姿でしたね。
日本ではシマが着物の裾を少したくし上げただけの姿で走っていましたし、「最も先進的な」二階堂トクヨとその門下生たちでさえチュニックで優雅にダンス。
まずはこの落差が一悶着の種になりそうです。