平成エンタメ研究所

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「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」~今季イチ推しドラマ! やっぱ河合優実さんってすごいな……!

2024年07月30日 | ホームドラマ
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』
 NHK火曜ドラマ(夜10時放送)が面白い。

・突然亡くなった父・耕助(錦戸亮)
・ダウン症の弟・草太(吉田葵)
・車イス生活の母・ひとみ(坂井真紀)
 突然大動脈解離で倒れ、その後遺症で下半身不随になってしまった。

 暗いハードなドラマになりそうだが、そんなことはない。
 主人公の七実(河合優実)がこれらの困難を飄々と乗り越えて、家族の絆を紡いでいくからだ。

『不適切にもほどがある』でも思ったけど、やっぱ河合優実さんってすごいな。
 脱力系で肩の力が抜けた演技。 
 彼女がいるだけで世界が変わる。空気が変わる。
 あまりにも魅力的で、彼女から目を離せない。
 …………………………………………………………

 さてドラマを深掘り。
 もちろん七実は自分の境遇に落ち込んでいる。
 車イス生活で娘に負担をかけていることで
 母ひとみが「死にたい」と看護師に愚痴を漏らすのを立ち聞きしたりする。
 でも飄々とアクションを起こして、現状を変えていく。

 たとえば第2話。
 七実はお金持ちになるために大道芸人になろうとする。笑
 七実は「三軍女子」だが、体幹が優れているのだ。
 一流の大道芸人になるためにはアメリカに行って修行することが必要。
 そのために学校の英語教師に弟子入りして英語を徹底的に学ぶ。笑
 結局、大道芸人は諦めるが、培った英語力で、
 英語と小論文だけが試験科目の難関近畿大学の「人間福祉学部」に合格する。
 合格して七実は言う。
「やさしい社会にして、あのカフェの段差をぶっ潰す。これがあたしのやりたいことや」
 死にたいと言っていた母ひとみは合格した七実の顔を見て──
「そっか、わたし、この顔を見るための人生をいただいたんやな」

 たとえば第3話。
 家族で沖縄旅行に行った時の写真が見つかって、七実はふたたびみんなで沖縄に行こうと考える。
 その費用を捻出するため
「引っ越しのバイト」
「道路工事の交通整理のバイト」
「野球場の売り子のバイト」
 を掛け持ちする。
 引っ越しのバイトと交通整理のバイトには同じく掛け持ちしている瀬尾さん(岡野陽一)がいて、
 人生や仕事について、いろいろなことを学ぶ。
 たとえば瀬尾さん、いはく、
「人間には二種類の人間がいる。働く人間と働かない人間だ」
 ちなみに瀬尾さん、野球ファンらしく、七実が売り子をしている球場で必ず観戦している。笑
 七実はビールではなくコーヒーの売り子をしていて、最初はまったく売れなかったが、
 最後には「売れっ子のコーヒー売り」に!笑

 そして何とかお金を貯めて、家族3人で沖縄旅行に。
 思い出の沖縄の海岸で母ひとみと七実はこんな会話をする。
「ほんとうに楽しかったよ」
「そやな」
「明日からまたがんばろうな」
「そやな」
 家に帰っていつもの日常が戻って来ると、七実は「何も変わっていない」と愚痴をこぼすが、
 祖母の芳子(美保純)は言う。
「変わらないとあかんのかいな。変わらんでええ。
 昔もええ、今もええ、一所懸命食べて、一所懸命生きてればそれでええ」
 ………………………………………………

 すごいドラマだ。
 いろいろ考えさせられる、深いドラマだ。
 日常の真実を、人生の真実を、さりげなく切り取って語ってくれる。

 そして七実を始め、登場人物たちはたくましい。
 生きていく力を与えてくれる。


※追記
 七実にはさまざまな師匠がいる。
・第2話の英語教師
・第3話の瀬尾さん
・『ミナト運輸』の配送業者・陶山克哉(奥野瑛太)
・近所のコンビニの店長・持田春太(名村辰)
・旅行代理店の篠宮梓(川﨑珠莉)
 などなど。
 どこにでもいそうな人たちだが、皆プロフェッショナルで自分の言葉を持っている。

 その他、福地桃子さんが演じる七実の友達で「三軍女子」の天ヶ瀬環など、
 味のある人物が多数登場する。
 

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