平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

どうする家康 第27回「安土城の決闘」~本音をぶつけ合う家康と信長。ふたりは強い絆で結ばれている

2023年07月17日 | 大河ドラマ・時代劇
「くだらん? わしの妻と子を殺したことをくだらんと申すか!?」

 今まで腹のうちを見せなかった家康(松本潤)が本音をぶちまけた。
 信長(岡田准一)はこれを望んでいたのだ。

 身内も家臣も誰も信じられない信長。
 周囲は皆、畏まり、おべっかを言うが、面従腹背、内心では何を考えているか、わからない。
 まわりはすべて敵に見える。
 結果、信長は孤独だ。
 そんな信長を救っていたのが、直言・諫言してくれる家康だった。

 本音でぶつかって来た家康に対して、信長も本音を披露する。
「俺はどれだけ殺して来たか……この報いは必ず受け入れる。
 俺は誰かに殺される。だが俺は覚悟ができている。お前はどうだ?」
「恨め。憎んでもいいから俺のそばで俺に仕えろ」
 ………………………………………………………………

 権力者は『裸の王様』になりがち。
 だから「王様は裸だ」と言ってくれる存在が必要なんですよね。

 そして反対者を力で抑えつけなければならない。
 結果、人から恨まれ、憎まれる。
 信長にはそれを引き受ける覚悟があった。
 だが、家康は優しすぎるから恨まれ、憎まれることに耐えられないだろうと語った。

 これに対して家康は別の方法で天下を治めてみせると語った。
 別の方法とは、瀬名(有村架純)が考えた「慈愛」と「経済的豊かさ」による統治だろう。

 家臣から「心が壊れてしまった」と評された家康だが、「やさしさ」は捨てていなかったようだ。
 その証拠に、安土に行く前、家康はウサギの木彫りを袋に入れ、懐にしまった。
 家康の中で瀬名はまだ生きている。
 瀬名は家康の物の考え方の中核になっている。

 そして家康には、家康の「信長殺害」や「安土行き」について、ああでもないこうでもないと議論してくれる家臣がいた。
 一方、信長にはそうした家臣がいない。家康以外……。

 信長は死にたがっているのかもしれないなぁ。
 不信のかたまりで孤独だし、罪の意識もあるようだし、疲れ切っている。
 いくさで天下統一をするのは簡単だが、その後の統治の方が大変だ、とも語っていた。
 信長は自分のやるべきことは終わったと覚り、次に託す者を探したいたのかもしれない。
 だから家康に覚悟を問うた。

 家康と信長のぶつかり合い、実に見事でした。
「瀬名の言葉」と共に「信長の言葉」も今後、家康の中で生きていくだろう。


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2 コメント

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信長・家康・光秀・秀吉 (TEPO)
2023-07-17 15:27:04
>信長は自分のやるべきことは終わったと覚り、次に託す者を探したいたのかもしれない。
>だから家康に覚悟を問うた。

信長は、家康にその覚悟があるのなら討たれてやるつもりで本能寺に入ったというわけですね。
築山事件の帰結としての家康の憎しみにもかかわらず、信長と家康とが心の奥深く「強い絆で結ばれている」とする展開はたしかに見事でした。

「麒麟が来る」の「本能寺」でも信長は自分が討たれることを半ば納得していました。
ただし、「麒麟」の時の相手は光秀でしたが本作では家康。
家康が「本能寺の変」を起こしたとしても不思議はないほどに計画が練られていましたが、史実は動かさないと思うので「光秀の横取り」という形になるのでしょう。
光秀にしてみれば、信長は一度のしくじりも許さないので「自分は終わった」と感じており、「腹を切る」つもりだと言っていました。
「どうせ死ぬのなら乾坤一擲!」という動機は非常に分かりやすいのですが、それだけに信長も家康もその可能性に気づかなかったのか、と少しツッコみたくはなりますが。

秀吉は、自分が手を汚すつもりはないが、そろそろ誰か―最有力候補は家康―が信長を殺害する可能性があると見て「中国大返し」の準備をしていたということのようで、まずは穏当な解釈。
そうした秀吉の卓抜な戦略眼もまた、信長にとっても家康にとっても「想定外」だった、ということなのでしょう。
現在のところ、本作が描く秀吉は品性のかけらもない徹底した利己主義者ですが、「(ずる)賢さは天下一品」という人物像のようです。

「力」をもって家康の前に立ちはだかってきた信玄、信長とはひと味違い、次なる「壁」である秀吉の鍵は「知略」ということになるのでしょう。
しかし、それに加えて秀吉像をさらに深堀りしてゆくのかが今後の見どことかと思います。
信長を失って…… (コウジ)
2023-07-18 08:57:08
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>信長と家康とが心の奥深く「強い絆で結ばれている」とする展開はたしかに見事でした。
愛と憎は裏返し。
次回の「本能寺」で信長を失った時、家康は喪失感に囚われるんでしょうね。
信長の死で憎しみの感情は失われ、残ったのは信長への思い。
信長とは人間観も人生観も違いますが、信長が重荷を背負っていたのは確かですし、家康に足りないものを諭していたのも事実。

家康は何を思い、信長は本能寺で何を語るのか?

光秀に関しては「来たのはお前かよ?」って感じかもしれませんね。
信長としては、家康が来るのを期待していたのでしょうから、ちょっと拍子抜け。
「光秀に横取り」された家康に対しても「やっぱりお前は甘いな」と苦笑いするのかもしれません。
光秀の謀反を見抜けなかった自分にも。
いずれにしても「是非もなし」

秀吉に関しては、大河史上、最低最悪な秀吉が描かれつつありますね。
どこまで描ききってくれるのか、楽しみです。

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