平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

Netflixオリジナルドラマ「地面師たち」~よくできた脚本! 面白い作品はネット配信の中にある!

2024年08月28日 | 推理・サスペンスドラマ
 Netflixオリジナルの『地面師たち』
 土地取引の詐欺師たちの物語である。
 彼らは土地所有者の偽者を立て、書類を偽装し、土地購入を持ちかける。
 被害者は契約書を交わし土地代金を払うが、蓋を開けてみると……騙されていた!

 本当に面白い物語で、全7話を一気に見てしまった。
・詐欺の過程のディティール
・その過程で起きるトラブル
・そのトラブルをどうクリアするか?
・被害者側も不動産取引のプロで、交渉でおこなわれる駆け引き
・タイムサスペンス
・迫る警察の捜査
・登場人物すべてに設定されたバックボーン。
 ハラハラドキドキで本当によく出来た脚本だった。

 たとえば、新人刑事・倉持 玲(池田エライザ)にこんな描写がある。

 以下、一部ネタバレあり。

 聞き込みで、あるアパートを訪ねた玲。
 女性の顔に殴られた痕があり、DVだと判断。
 コンビを組んでいる先輩刑事の下村辰夫(リリー・フランキー)は「やめておけ」と言うが、
 玲はもう一度アパートを訪ねて、出て来た男を格闘技で組み伏せる。
 すると殴られた痕のある女性が「何すんのよ!」とキック、パンチで挑んでくる。
 どうして? 助けに来たのに? と思いながら玲は女も組み伏せる。
 真相はこうだった。
 痕のある女性はプロの格闘家だった。前日試合があって顔が腫れていた。
 つまり玲の早とちりだったのだ。
 同時にこの描写で、玲というキャラクターを見事に描いた。
・DVを見過ごせない正義感あふれる女性
・プロの格闘家を組み伏せるほどの格闘術の持ち主
・早とちりの猪突猛進キャラ
 ワンシーンでキャラを描く。
 これがプロの脚本なんですね。

 地面師のボス・ハリソン山中(豊川悦司)は劇中、映画『ダイハード』の撮影エピソードを披露していた。

 悪役ハンス・グルーバーが高層ビルから落下するシーンの撮影。
 ビルから落下させることはできないので、撮影では背景の合成を使い、
 ハンス役の役者さんには20メートルくらいの所から落ちてもらう。
 下にはもちろんクッションがある。
 では、このシーンを『ダイハード』の監督はどう撮ったか?
 ハンス役の役者には「5、4、3、2、1で落とす」と話していた。
 だが、実際は「5、4、3」で落とした。
 この方が、不条理に困惑する、ハンスのリアルな表情を撮れるからだ。

 さて、この撮影エピソードを披露した地面師のボス・ハリソン山中は
 ある人物をビルから突き落すのだが、もちろんハリソンがやることは──
 ………………………………………………

『地面師たち』は全7話。
 脚本が面白いと一気に見てしまうんですよね。
 同時にこういうドラマを見ていると、地上波のドラマが安っぽく見えてしまう。
 時代はもうネット配信の時代。
 面白いものはネット配信の中にある。
 イッキ見の楽しさを知ってしまうと、一週間待たねばならない地上波ドラマがだるくなる。
 というか地上波ドラマは一週間待つことを前提に作られている。
・1話完結
・シリーズを貫く縦糸の物語、謎がある。
 このフォーマットは古くなった気がする。
 今は「ええっ、ここで終わるのかよ!?」「次どうなるんだ?」の時代だ。

コメント
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