平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「光る君へ」第32回「誰がために書く」~これがおまえがおまえであるための道か。これが俺の惚れた女だったのか。

2024年08月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 伊周(三浦翔平)がふたたび力を持ち始めている。
 定子(高畑充希)への思いを引きずっている一条天皇(塩野瑛久)を利用しているのだ。
 一条天皇も伊周に傾きつつある。

 伊周の台頭に道長は苦悩している。
 帝は聴く耳を持たず、ダメだと言っても伊周を人事で強引にねじ込んで来る。
 かといって伊周を力で排除したくない。
 力で排除すれば父・兼家(段田安則)と同じになるからだ。
 居貞親王(木村達成)は一条天皇を排して自分を帝にしろ、と言っているが、道長は乗り気でない。
 なので道長の頼みの綱は彰子(見上愛)。
 是が非でも一条天皇の目を彰子に向けなくてはならない。

 一方、彰子。
 一条天皇に思いを寄せつつあるようだ。
 前回、彰子は瓢箪に顔を描く練習をしていた。
 彰子は一条天皇と敦康親王(池田旭陽)の間に入りたかったのだ。
 今回は火事の時、一条天皇のことを気にかけて逃げずにいた。
 次回は、一条天皇が読んでいる物語を自分も読んでみたいと言うらしい(予告)。

 この状況下、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)は死の床で語った。
「ようやく光を手に入れましたな。これで中宮様(彰子)は盤石です」
「何も怖れることはありません。思いのままにおやりなさい」
 晴明の言う「光」とはまひろ(吉高由里子)のこと。
 まひろが彰子を変え、道長の地位を揺るぎないものにするのだろう。

 まひろと『源氏物語』は道長と彰子にどのような光をもたらすのか?
 ……………………………………………………………

 サブタイトルは「誰がために書く」
 清少納言(ファーストサマーウィカ)は定子のために書いた。
 まひろは道長の依頼を受けて彰子と帝のために書いた。
 だが、その後、まひろは誰かのために書くことをやめ、自分のために書くことにした。
 降って来るイメージ、湧いてくる言葉、勝手に動き出す登場人物──
 書かずにはいられない。書くことが楽しい。
 ここには現実の利害関係などまったくない。
 政治も生活のために稼ぐということもない。
 少なくとも書いている間だけまひろは自由になれる。
 こんなまひろを道長はゆったりと眺める。
「これがおまえがおまえであるための道か?」
「これが俺の惚れた女だったのか」
 何と素敵な男女関係。
 まひろといる時だけ道長は政治を忘れて穏やかな気持ちになれる。

「あれは朕への当てつけか?」
『源氏物語』に対する一条天皇の反応はまずこれだった。
 だが、一条天皇は聡明でもあるので、ここで拒絶しない。
 書き手が漢籍や歴史などに通じた博学な者であることを読み取り、
 その博学な者が自分に何かを訴えていると気づいた。
 続きを読めば、その訴えが明確になると考えた。
 帝は諫められることを求めている?
 おそらく、まひろが伝えたいのは「帝も人間である」ということなんだろうけど。
 さて帝は『源氏物語』にどうハマる?
 次回、帝に会ってまひろは何を語る?

 彰子の女房として出仕する際、為時(岸谷五朗)は言った。
「帝に認められ中宮様にお仕えするおまえはわが家の誇りである」
「身の丈のありったけを尽くして素晴しい物語を書き、帝と中宮様のお役に立てるよう祈っておる」
「おまえがおなごであってよかった」
 伏線回収である。
 まひろは為時から「おまえがおとこであったら」と何度も言われて来た。
 弟・惟規(高杉真宙)は最後の言葉の時だけ、ツッコミを入れない。

 父娘のいいシーンだと思うが、僕は『赤毛のアン』の愛読者でもあるので、
『赤毛のアン』のアンとマシューを思い出してしまった。

コメント (2)
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