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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

軍師官兵衛 第16回「上月城の守り」~上月を見捨てれば播磨の者は織田を見限りまする!

2014年04月21日 | 大河ドラマ・時代劇
 荒木村重(田中哲司)を始めとする織田家家臣が思考停止になっている。
 播磨に派遣されてきた織田信忠もそう。
 彼らが第一に考えるのは、信長(江口洋介)の意向。
 自分で考えることもしないし、播磨の状況を一番良く知っている秀吉(竹中直人)の意見に耳を貸そうとしない。
 だから尼子が守る上月城を見捨てて、別所の三木城を攻める。

 信長は絶対権力者でカリスマ。
 こういう人物のもとで統率される組織は確かに強いんですけどね。
 何しろ逡巡することがないから、勢いで他のモタモタしている敵をどんどん駆逐していく。
 アレキサンダーしかり、ナポレオンしかり、ヒトラーしかり。
 だが、トップが狂い始めて方向を間違うと一気に崩壊に向かう。

 こうした織田家に敵対する毛利が、毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の合議制であったことは興味深い。
 合議制の良い所は、仮にひとりが間違ったとしても、別の意見が出て修正がきくことだ。
 この体制には優柔不断になったり、作戦がどっちつかずの中途半端なものになったりというマイナスがあるが、合議制の遺訓を残した毛利元就は、独裁カリスマ体制の危うさを認識していたのだろう。

 また、今回特筆すべきは、秀吉と信長の溝だろう。
 以前、秀吉は「信長の考えることは手に取るようにわかる。だから先読みして、かゆいところに手が届く対応が出来る」と豪語していた。
 だが、さすがの人たらし秀吉も、信長の考えを読めなくなってきたようだ。
 今回、上月城をめぐる信長と秀吉の判断は180度違ってしまった。
「上月城を見捨てよ」と語る信長と
「上月城を見捨てれば播磨の者は織田を見限りまする」と主張する秀吉。
 ここにはふたりの人間観の違いが表れている。
 すなわち<人間を信じない信長>と<人間を信じる秀吉>の違いだ。
 信長は、前回播磨が分断した時点で、播磨の人間がふたたび帰順することはないと考えている。
 仮に帰順したとしてもまた裏切る。だから不安要素は取り除き、恐怖と力で押さえつけるべきと判断している。
 一方の秀吉は、童話『太陽と北風』で言えば、<太陽>方式。
 人の心をやわらげ、溶かし、味方にしていく。

 今回、秀吉が職隆(柴田恭兵)、光(中谷美紀)を人たらしで味方にするシーンと、荒木村重に人たらしが通用しなかったシーンが描かれたが、村重の心は頑なだ。
 信長を怖れ、その意向を第一に考える村重には、秀吉の人たらしなど通用しない。
 自分で考えることを忘れ、信長のロボットと化した村重の姿は、すこし痛々しい。

コメント (2)
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