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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

龍馬伝 第44回「雨の逃亡者」

2010年11月01日 | 大河ドラマ・時代劇
 まず、お元(蒼井優)が生きることが出来たのがいい。希望もありましたし。
 僕は人が死んで何かを訴えるというのはあまり好きでないんですよね。

 さて今回は連立方程式。

・英国人水夫殺害の海援隊にかけられた疑いをいかに晴らすか。特に長崎奉行所は龍馬を捕まえることを前提に動いている。
・キリシタンお元をいかにして救うか。

 龍馬(福山雅治)は英国公使館を動かした。
 ここは上手い。
 僕はドラマや映画を見ていて自分ならどう解決するかと考える時があるが、英国の利害を説き、公使館を動かすことは思いつかなかった。
 もっとも<下手人が福岡藩の人間であると簡単に判明してしまったこと><英国公使が龍馬の言葉で簡単にシェイクハンドしてしまったこと>は疑問であるが。
 現実はドラマほど簡単ではない。

 面白いのは弥太郎(香川照之)。
 「おまんのせいで、お元の生涯、わしの土佐商会もわやくちゃになったぜよ」
 すべてを龍馬のせいにしている。
 見方を変えれば、次のように見ることも出来るんですけどね。
 すなわち……
 「幕府がキリスト教を禁止しているからお元が苦しみ、幕府が力をふるっているから土佐商会は自由に商売出来ない」
 敵意を<幕府>に向けることも出来るのに、弥太郎にはその発想がない。
 ここが弥太郎の保守性であり、限界。

 ただ弥太郎の最初のせりふにあったとおり、この時代、幕府は自由な<発展の妨げ>でしかなかったんですね。
 現在で言えば<抵抗勢力>、官僚の<既得権>。
 だから幕末も<規制緩和>や<大胆な改革>が必要だった。

 このようにドラマは時代の反映。時代を映す鏡。
 考えてみれば、長崎奉行が龍馬を捕まえるという目的のために十分な捜査もせずに海援隊を悪としたことは、大阪地検の特捜検事が自分のシナリオどおりに事件を立証するために証拠を改ざんしたことと同じ。

 最後にお元の蒼井優さんの演技よかったです。
 恐怖で必死に海岸を這いまわり、ラストは龍馬に「みんなが笑って暮らせる国が出来たら戻ってくる」とさわやかに言う。
 武市や高杉の時といい、この作品はそのラストで役者さんにいい仕事をさせますね。
 ただし、キリスト教信者がお元のような言動をとるかどうかは疑問。
 僕が理解している<キリスト者>であれば、求めるのは<神の国>であり、追われるのは<神の試練>、助けられたのは<神の恩寵>と考えるのではないか。
 お元の意思は<神>でなく<龍馬>に向かっている。
 この辺はリアルなキリスト者を描いていない気がする。

※追記
 先程<幕府は発展の妨げ>と書きましたが、僕は<滅びゆく徳川>に感情移入してしまう立場です。
 確かに幕府は発展の妨げで、滅ぶのは歴史の必然だったのでしょうが、僕は東京育ちでもあり、「薩長横暴だぞ」という部分がある。
 戊辰戦争などでも官軍に抗した奥羽列藩同盟の諸藩を応援してしまう。
 大河ドラマで会津や仙台藩を主人公にしたものをやってもらえないだろうか。


コメント (2)
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