前の職場から10年勤続記念の置き時計を拝受、ずっと壊れたと思い込み部屋の片隅
でホコリを被っていた。
あれから30年、手にしてみるとシンプルで綺麗なまま。
家の、家族の、諸々の色々な思いが蘇り、リサイクルに出す前にと汚れを払い、裏蓋を開けた。
ひょっとすると電池切れか、動いたー。
一部屋に一つの時計があったことから、この時計は部屋の一部となって存在感を無くしていた。
物の存在を忘れ、感謝することを忘れ、活動して来た軌跡を忘れ、時計の存在を忘れ、
時の記憶すら忘れようとしていた。
もう一度活躍を、とテーブルのPC横にあの置き時計を据えた。
物は物でありながら、その裏にある時が流れて来た感情の起伏を見失うことへの反省とし、
時々目をやることにした。
今日から再稼働。