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ドイツ世論の変化

2016年05月21日 | 社会、読書
各種の調査で
世界の多くの国が親日的、
つまり「日本が好き」とか「日本は世界によい影響を与えている」といった結果が出る中で
ドイツの日本への好感度が低いことが気になっていた。

そんな時に見つけたのが
川口マーン惠美氏の「シュトゥットガルト通信」だった。
ドイツ在住の川口氏が自分で見聞きしたドイツ事情を分析していて
例えばドイツのメディアが偏向しており
日本に関する報道では常にチャイナの主張に沿っているとの解説もあった。


極右政党って何?で我が国メディアの「レッテル貼り」を指摘したが
ドイツでも同様であるという。
それにもかかわらず、ドイツで右派愛国政党が支持を大きく伸ばしていることについて
5月6日の「シュトゥットガルト通信」で解説されている。

ドイツの愛国政党AfDの特徴は
「反ユーロ、反難民、そして反イスラムだ。その代わりに、ドイツらしさやドイツ文化を尊重しましょう、伝統や家庭を大切にし、あまり中絶をせず、もう少し子供を産みましょう、というようなことを主張し、党大会で国歌を斉唱する、ドイツでは珍しい党。」
だという。
ドイツでは珍しいにしても、至極真っ当なことを言っている。

最近の地方選挙でAfDが躍進した。すると
「この躍進のあと、政治家とメディアのAfD攻撃はさらに激しくなった。彼らに言わせれば、AfDは排他主義で、軍国主義で、難民問題を利用して国民の不安を煽る悪辣な政党だった。このままでは民主主義が破壊される云々。」

安倍政権に対するサヨクの非難とあまりにもそっくりなので
思わず笑ってしまった。
理性的に議論をしたら負ける時には、
レッテル貼りと印象操作で相手を攻撃するという常套手段だ。
逆に言えば、事実に基づいてしっかり議論したら負けると自覚しているということ。
我が国の国会でも民進党(偽)がレッテル貼りに走っていることは
既に多くの国民に知られている。

掲載する写真の選択などでの印象操作も日本のメディアと一緒だ。
メディアは決して中立ではなく、
意図を持って世論誘導を画策しているかもしれないことを
常に忘れずにいたい。

以下、川口氏の記事を転載する。赤字は私が施した。

5月6日 シュトゥットガルト通信
反ユーロ、反難民、そして反イスラム……ドイツで「極右」政党が急激に支持を広げている
もう手遅れ!? 価値観の大転換が始まった


ドイツのためのもう一つの選択
ドイツの新党AfDは、フランスのマリーヌ・ル・ペン氏率いる「国民戦線」の、まさしくドイツ版といった政党だ。"Altanative für Deutschland"の略で、直訳すると、「ドイツのためのもう一つの選択」。2013年2月にベルリンで結成された。
ドイツの前回の総選挙(2013年9月)では、生まれてまもないAfDの得票率は4.7%だった。ドイツには5%条項があるので、議席を取るには及ばなかったが、まだ海のものとも山のものともわからぬ新党としては、他党を警戒させるに十分な得票率だったといえる。
そのAfDが今、思いもかけぬ大発展を遂げている。
AfDの特徴は、反ユーロ、反難民、そして反イスラムだ。その代わりに、ドイツらしさやドイツ文化を尊重しましょう、伝統や家庭を大切にし、あまり中絶をせず、もう少し子供を産みましょう、というようなことを主張している。党大会で国歌を斉唱する、ドイツでは珍しい党だ。
ただ、この党は、誕生以来今まで、他のすべての政党とメディアから、ひどい扱いを受けている。ニュースでは、必ず党名の前に「右派ポピュリストの」という枕詞が付くし、全方向からの攻撃とネガティブキャンペーンにさらされ続けているのである。
しかし、そんな不遇にもめげず、着実に支持者を増やしてきたのが特長といえば特長。
今年3月、そのAfDの人気の高まりが、突然、可視化された。バーデン・ヴュルテンベルク州、ラインランド・プファルツ州、そして、旧東独のザクセン・アンハルト州で州議会選挙が行われ、3州すべてでAfDが躍進したのだ。
ドイツには16の州(うち3つは特別市)があり、それぞれが州政府を持ち、州の首相と大臣がいて、かなりの自治権を行使している。国政(連邦政治)に対する影響力もそれなりに大きい。

AfDを選んだ有権者はどうなるのか
この躍進のあと、政治家とメディアのAfD攻撃はさらに激しくなった。彼らに言わせれば、AfDは排他主義で、軍国主義で、難民問題を利用して国民の不安を煽る悪辣な政党だった。このままでは民主主義が破壊される云々。
しかし、だとすると、AfDを選んだ有権者は、反民主主義者か、あるいは、極右に誘導された愚かな人々のどちらかということになる。

ちなみにザクセン・アンハルト州では、AfDの得票率は24.3%で、1位のCDU(29.8%)に肉薄した。投票率も61.1%と悪くない。堂々4分の1近い票を得た政党を、反民主主義のポピュリストと悪口雑言で片付けるのは無理がある。しかしメディアはその無理を押し通した。AfDに票を投じた人々は、バカにされたと感じたのではないだろうか。
この州の選挙結果がことのほか興味深かったので、ちょっと触れたい。
1位がCDUで2位がAfD ということまでは述べたが、複雑なのは、3位に左派党が入っていたことだ。これまで国民政党と言われていたCDUとSPD(社民党)は、両党とも極端に票を減らし、SPDに至っては4位で、いっそ退場したほうがよいほどの大敗だった。
CDUは州の政権を取るために連立相手が必要だが、2位のAfDは極右だからイヤ、3位の左派党は極左だからイヤ。残るは残兵SPDだが、これだけでは過半数に届かない。そこで、今や瀕死の緑の党まで引っ張ってきて、3党連立とした。
考えてもみてほしい。CDUとSPDと緑の党の連立政権を! この3党が連立できるなら、政党にはもう意味がない
そもそもここの州民は、少なくともSPDと緑の党には、きっぱりと引導を渡したのである。しかし、出来上がった州政府は、州民の意思を無視したものであった。これは変則民主主義なのか?
一つだけ確かなことは、AfDが民主主義であろうが、反民主主義であろうが、連立してくれる党は絶対に現れないだろうということ。一党で過半数を取らない限り与党にはなれない党である

「メーデー行進」の混乱のなかで
さて、そのAfDが、4月30日と5月1日の2日間、シュトゥットガルトにおいて初めての全国党大会を開いた。党要綱を編むのが目的だ。
実は5月1日というのは、ベルリンとハンブルクで暴動の起きる日だ。暴動の起きる日というのは変な言い方だが、「メーデー行進」と称した極右や極左のグループがかならず大混乱を起こすのが、ここ30年の伝統行事のようになっている。敷石をはがして投石し、危険な花火で敵を狙い、車に火をつけ、タイヤを燃やし、店を略奪する。デモ隊にも警官にも怪我人が出る。
政治的な意味はなく、ただ暴れたいだけの愚連隊がドイツ中、いや、ヨーロッパ中から集結する。デモの中心地になる地域では、商店は前日にショーウインドーに板を打ち付け、警察は厳重な警戒態勢に入る。当日は他の州の機動隊も応援に駆けつけて、千人単位の出動となる。
なぜ、これを禁止できないのか理解に苦しむが、民主主義は「集会の自由」を保証しているのである
その愚連隊が、今年はAfDがいるのでシュトゥットガルトも面白そうだと思ったらしく、ここで暴れることに決めた。集まった数1500人。AfDへの抗議などというのはただの口実で、いつもどおりの投石、放火、器物損壊。普段は穏やかな私のドイツの故郷、シュトゥットガルトが、あわやベルリンのようになりかけた。
しかし、当地の機動隊は、ベルリンやハンブルクほど寛大ではない。あっという間に600人を拘束したというから、愚連隊もさぞびっくりしただろう。いずれにしても、こんな騒ぎの中で、AfDの党大会は開催されたのである。
大きなテーマはいくつかあるが、一つは左傾化したドイツ社会の是正だとか。党代表の言によれば、「左派、赤(SPDを意味する)、緑に汚染された68年世代のドイツからの脱却」。68年世代というのは、日本でいう全共闘世代のことだ。今でもすぐにデモに行きたがるドイツ版「団塊の世代」である。
もう一つは、イスラムに対する態度を決断すること。2010年、ドイツの統一記念日のスピーチで、当時のヴルフ大統領が「イスラムはドイツの一部だ」と言い出し、物議を醸した。それから5年後、昨年の難民騒ぎのあと、メルケル首相が窮地に陥り、結局、トルコの助けを求めることになったとき、彼女は、ヴルフ大統領の言葉を引っ張り出して、「イスラムはドイツの一部」説に賛同した。
今回、AfDはそれを否定し、「イスラムはドイツには属していない」と明言した。彼らの要綱には、回教寺院における尖塔の建設の禁止(これはスイスでも禁止された)、また、外国人イマームが反ドイツ的な説教をしている回教寺院への助成金のカット、女性の顔全体を覆うベールの禁止などが盛り込まれたようだ。
また、直接民主主義の推進、難民受け入れの停止、反グローバリズム、そして、貧乏人の救済なども強調されている。

確実に価値観の転換が起こっている
翌5月2日のそれについての各メディアの報道は、常にも増して独善的だった。「めちゃくちゃ」「混乱」「無意味」とバカにするものから、「プロパガンダ党大会」と罵るものまで多種。
使っている写真は、なるべくおバカそうな党員が写っているものを選んでいるらしく、多くが見苦しい。ドイツ国民がヒトラーのプロパガンダにのめり込んでいった当時の熱狂写真との類似点を醸し出したいのではないかと、私には見えた。
私は、別にAfDにシンパシーを感じているわけではないが、メディアの報道は公平ではないと思う。政党がAfDの悪口を言うのはライバルだから仕方がないとしても、メディアはもう少し中立に報道すべきではないか。
そんななかで、Spiegel誌のオンライン版に載っていたコラムは、少し毛色が違っていた。
ジャーナリスト、ヤコブ・アウグスタインは、「国民のあいだで価値観の転換が起こり始めている」と指摘する。SPDと緑の党が弱者の感情を無視して、金持ちのための党になってしまっていることにも責任があるという。AfDはすでに成長の軌道に乗っているというのが要旨だ。今頃、気付いてももう遅い。タイトルはズバリ“too late”。
ただし誤解のないように言っておくと、この記事はAfDを擁護したものではない。まさにその反対であるが、少なくとも、情勢を冷静に分析しようと試みている。こういう記事なら、読者も独自に考えを巡らせ、判断をすることができるだろう。悪口雑言の記事はもう飽き飽きだ
先日、音楽会で舞台のはねた後、ちょうどその日に演奏していたオーケストラのメンバーと、ひょんなことから話し込んでしまった。州選挙の前だったので、話が政治のことになり、彼いわく、「私はメルケルのファンだったが、彼女の最近の政策には怒りを感じる。次の選挙ではもうCDUには投票しない」とのこと。
そこで私が、「どこに投票するか聞いても良いか」と問うと、一瞬躊躇して、「今より左に触れることはない。CDUはすでに左すぎる」と言った。それ以上は聞なくてもわかる。答えはAfDだ。とは言え、この音楽家が極右だとも、AfDのプロパガンダに騙された頭の悪い人だとも思えない。
そのとき、「そうか、AfDは、メディアの作戦が功を奏し、支持者が大きな声で支持を表明できない党になってしまったのだ」と気が付いた。


SPDの元政治家、ティロ・ザラツィンが新刊を出した。タイトルは『ヨーロッパ、通貨、教育、移住――なぜ政治はこれほどしばしば失敗するのか』。
ザラツィン氏は2010年まではドイツ連邦銀行の理事を務めていた。ところが、2010年に空前のベストセラーになった『ドイツが消える』で、イスラムからの移民がドイツを弱体化させると主張したため、大変な騒ぎになり、連銀の理事の職もクビになったし、SPDからも除名されそうになった。
しかし、彼はその後も意見を変えず、今回の本でも同様のことを主張しているのだが、今はもう誰も騒がない。それどころか、同書はまたベストセラーだ。ドイツでは本当に価値観の転換が起こっているのかもしれない。

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