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イスラム教再考

2021年04月24日 | 社会、読書

イスラム教の論理 飯山陽著 新潮社 2018年2月
イスラム2.0 飯山陽著 新潮社 2019年11月
イスラム教再考 飯山陽著 扶桑社 2021年3月

イスラム教については、昔学校で「世界三大宗教の一つである」と習いました。
・7世紀に預言者ムハンマド(習ったときはマホメット)が神のお告げを聞いた。
・神はアラーで一神教
・神のお告げを書いた経典がコーラン
その程度のことしか知りませんでした。

アメリカが9.11同時多発テロ後にイラクを武力攻撃し
混乱の中で「イスラム国」が出現しました。
その頃からイスラム教ってよく分からないなあと思いつつ気になってきました。

半年ほど前にイスラム研究者の飯山陽(いいやまあかり)氏のことを知りました。
3月に最新刊「イスラム教再考」が発行された機会に著書三冊を読み
イスラム教について基本的なことが理解できて
よく分からなかった部分がスッキリ整理できました。

イスラム教では
・コーラン(神のお告げ)とハディース(預言者ムハンマドの言行録)が全ての規範となる。
・ムハンマドは最後の預言者であり、上記の経典は永遠に書き換えられることは無い。
・イスラムとは服従を意味するアラビア語で、人間は神に服従するために神が創られた。
・いつか世界は終わり全ての人に神の審判が下され、天国か地獄に行く。
・天国に行くには唯一の神であるアラーの教えに従い善行を積みなさい。

アラーの教えはコーランとハディースに書かれていて
具体的な問題に対しての答え(解釈)を示すのが
コーランとハディース(膨大な文書)を学んだイスラム法学者達です。
コーランは神のお告げであり論理的に練り上げられた文書では無いため
幾通りもの解釈が出来る場合があります。
その場合はどの解釈が正しいかという判定は、人間にはできません。
決められるのは神だけということです。

「イスラム国」のテロ攻撃や異教徒への残虐行為もコーランに基づいています。
・騒乱が無くなるまで、そして宗教のすべてが神のものとなるまで戦え(第8章39節)
・預言者よ、不信仰者と偽善者に対してジハードし、厳しく対処するがいい。かれらの住まいは地獄である(第9章73節)
・不信仰者に従うな。彼らに対しては大いにジハードせよ(第25章52節)
()内は引用したコーランの箇所です。

ジハードは聖戦と訳されます。
「イスラム法の第一法源、第二法源はコーランとハディースです。ですからイスラム法ではもっぱら、ジハードは血を流して行う異教徒との戦争であり、それはイスラム教徒一般に課せられた義務にして、最善の信仰行為だと規定されています。」
イスラム教再考 41頁

一般の信徒は死ぬと墓の中で最後の審判の時まで待たなければなりません。
しかしジハードで死んだ信徒は、最高の善行により直ちに天国に迎え入れられます。
自爆テロ、時には夫婦や子供まで一緒の自爆テロは、
こうした教えを知れば「なるほど」と分かります。

イスラム教徒はイスラム教徒としか結婚できませんし、
生まれた子供は生まれながらにしてイスラム教徒となります。
また棄教は死罪とされています。

女性については、一言で言えば「男に劣る存在」と位置づけられています。
男の性欲を満たし、多くの子供を産むことは義務です。
妻は夫に求められたら夜の営みを拒んではなりません。
結婚相手は父親が決め、15歳に満たなくても結婚させられます。

全世界にイスラム教徒は18億人いて、今後も増加すると言われています。
世界中をイスラム教徒で満たし、イスラム教に則って統治する。
その実現を目指すのがイスラム教徒の正義であるなら
異なる価値観を持つ人々として対応する必要があります。
ヨーロッパで移民による治安の悪化が問題となっていますが
移民の大半を占めるイスラム教徒が現地に溶け込むこと無く
イスラム法に従って並行社会を形成したことがその原因です。

人権、法の支配などは私たちにとっては普遍的価値ですが
そうではない人達もいるのです。
相手を知ること、価値観の異なる人々がいると認識すること。
最低限それが必要だと思います。
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