夕べ12時を過ぎてからはカウンターに女性歯科医のSちゃんと他の三人のお客さん、そしてスタッフのY君とMもみんな20代で、60代の俺は厨房の中から出て行きづらかったけど、今日はその反対で、八時過ぎに来店してくれた脚本家のHさん、常連の演出家のSちゃんは60代、映画監督のHさんは50代、俳優事務所社長のTさんは40代、女性陣も俳優事務所社長のSさんは60代後半、同じくNさんとキャスティングマネージャーのTさんは50代前半、銀座ママのSさんは40代後半と年齢層がグーンとアップした為、俺は何の違和感もなく皆の間に溶け込み、お酒を奢られていた。それにしてもみんな元気だ。それぞれ肉体的には衰えがあったり、持病を抱えていたりするが、精神的にはまだこれから一丁やったるでと云う気迫が漲っている。尤も精神的に元気じゃなかったらウチみたいな酒場に来たり出来ない訳で、その意味からもウチの店に来続けるか来なくなるかが、元気度のバロメーターだ……なんて脅迫じみた勧誘。帰宅して録画してあった『B』を見る。このドラマはHさんの脚本。数年前国営放送でやっていて、今映画版が上映されている『H』と云うドラマも彼の脚本だったが、彼の脚本は最近では珍しく骨太で、みんな面白く見ている。こんな人がテレビの脚本を書いていられるとしたら、まだテレビドラマも捨てたもんじゃない。