桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2010・2・20

2010年02月21日 | Weblog
この数日、忙しくて朝刊を読んでいる時間がなかった。でも、今日は少し時間の余裕があったので数日分のたまっていた新聞を広げたら、ある日の死亡欄に脚本家の宮内婦貴子さん逝去の記事が載っていて、呆然となる。四十年前にシナリオ学校に通っていた時に担当講師として書いたシナリオを添削指導していただいてから一度もお会いしたことがなかったのに、何故かその前夜、宮内さんのことを突然思い出してMに話したばかりだったのだ。俺はそのとき宮内さんが亡くなっていたのをまだ知らない。でも、宮内さんの霊が現われて記憶の果てから宮内さんの思い出をMに語らせたのだろうか?享年78歳だったとか。となると40年前はまだ宮内さんは38歳だったのか?魅力的な女性だった宮内さんに誉めて貰いたくて、俺は二本目のシナリオを書いた。そのシナリオは宮内さんを経由して彼女の先生格だった山田信夫さんの手にも渡って誉めて貰うことになり、俺は自信を持ってシナリオ修行に励むことになった。その意味からすると宮内さんがいなかったら俺はシナリオライターになっていなかったことになる。有り難う、宮内さん。心からご冥福をお祈りします。恩人といえば、演出家の久野浩平さんも元旦になくなった。当時NET(現テレビ朝日)の演出家だった久野さんは、いくら監督の森崎東さんが推薦して下さったとはいえ、まだ3本しか映画を書いていなかった新人の俺に初めてテレビのスタジオドラマを書かせて下さった方だ。でも、一話二話を書かれた鎌田敏夫さんの後に続く俺の台本は、どうしようもなく使い物にならなかった筈だ。それなのに久野さんは根気よくテニオハに至るまで添削指導してオンエアまで持って行って下さった。あのシナリオの個人教室がなかったら、その後テレビドラマを曲がりなりにも書き続けていけなかったと思うと、久野さんにはどんなに感謝しても感謝しきれない。有り難う、久野さん。心からご冥福をお祈りします。それにしても死亡欄だ。業界とは関係なくなったので、世話になった方がなくなっても誰も知らせてくれないので、新聞の死亡欄で知ることになる。引越を機に新聞を止めようと思ったが、死亡欄がなくならない限りは無理かもしれない。
☆『幽霊を待っている 幽霊が待っている』(作演出・桃井章)
 日時・3/8(月)~3/11(木) 開演・19時半(開場・18時半)
 料金・3500円
 出演・橋本亜紀,小林聡