内村鑑三はその著書「代表的日本人」(岩波文庫)に西郷隆盛を取り上げ新日本の建設者として幕末維新の功績を述べています。その心は強いもというより人を愛するということに注目しています。西郷隆盛は、戊辰戦争の原因となった薩摩藩邸焼打ち事件の犯人の庄内藩士に対して寛大な措置をとり、それを庄内藩士たちが西郷隆盛の教えとして「西郷南州遺訓」としてまとめています。その中に次のような箇所があります。
「道は天地自然の物にして、人は之を行ふものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給ふゆゑ、我を愛する心を以て人を愛する也。」(「西郷南洲遺訓」岩波文庫より)
人を愛する心ーそれはどの時代にも歴史を超えて共通の者でしょう。技術進歩により多くの人々が情報共有できる現代ですが、貧国格差や難病に対する差別・偏見など人の心が壊れている感じがします。この今を人を愛する心を大切に生きたいと思います。