沢山話かけたり、手をさすったり
ご家族とのゆっくりとした時間でした。
最期の時間をかみしめるように大切に大切に過ごされていました。
苦痛はないことを確認して、私達は離れました。
2時間ほどして
呼吸が止まりました
と連絡がはいりました。
身体的な状況下に
せん妄が潜んでいれば
患者さんは自分をコントロールすることは難しく
その伝達方法も衝動的なものになってしまいます。
もう、死にたいと抜いた高カロリーカテーテル。
その後
だからといってすぐに鎮静となっていたら
もはや、コミュニケーションを促進することは
できませんでした。
患者さんの満たされない気持ちを埋めることはないまま
看取りになっていたでしょう。
そう願ったご家族にとっても、それは同じことでした。
緩和ケア科が主治医になって看取ろうと決めたのは
「人生いろいろあったけれども、それらをよしとしよう・・」
自分の人生に了解してもらうこと。
人生の数々を許すための時間を確保したかったからでした。
それをすぐに鎮静となってしまうのでは、受け持った目的が達成できません。
深い鎮静なら元々の診療科でもよかったはずです。
“死にたい”の裏側には
“生きたい、生きたかったのに・・”という気持ちがあります。
人生を許しあう時間、感謝する時間
このように振り返る時間・・
この時間をまだご家族とともに持つことができると判断したからの転科でした。
それが、まだ、私たちには提供できるものがあるはず・・という言葉でした。
持続的な深い鎮静にしないで、最期までこぎつく事ができました。
見送る車の前で
何度も何度も、ご家族から感謝の言葉を頂き
私たちの役割が果たせた・・
と・・肩の荷がおりました。
(シリーズ終わります。
2年前に記事をアップしたときに頂いたコメントに
返信したコメントを記事としてまとめていましたので、それを次回に・・)
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21日、勉強会?講習会がありますね?緩和ケアに関与していなくても参加可能でしょうか?しかも私は」看護師でもないのですが・・・・
掲示板にありました。出来ることならば」参加もしたいし、先生ともお話がしたいです。ナーんて勝手ですよね。先生のご活躍をお祈りいたします。
“生きたい、生きたかったのに・・”という気持ちがあります。
本当にそう思います。裏側の気持ちも読み取ってあげることが大切ですね。
atusatoさんと同じで鎮静にはいつも迷っています。患者さんとご家族にとって何がベストか、常に考えてはいますが、なかなか難しいです。
譫妄の期間は、10日間以上ありました。
緩和ケアの主治医、元々の診療科の主治医も参加の上随分、話し合いをして下さっていたようです。
そして、元々の診療科を離れても、毎日、もとの診療科の先生が必ず毎日診察をしにいらして下さいました。
多分・・・。妻の私の性格、今までの看護の様子も話題にのぼっていたと思われる、緩和ケア科の主治医・スタッフのご配慮も頂きました。
主人本人の性格からも、深い鎮静には、しない様に、して下さいました。
私も「どうしましょう?」と話し合いの一つの参考として、もちろん、意向は聞かれましたが・・・。
友人、兄弟、私、知人・・・。それぞれに、手を握るとか、うなずくとか、言葉はハッキリ出ないことが殆どでしたが、それでも、彼にとっては、良かった部分が多かったと思っています。
よく「苦しまずに眠るように亡くなる」という言葉とか概念があったりしますが、本当なのかな?と思ってます。こればっかりは、自分が癌で死ぬときでないとわからないのかもしれませんが。悩む時間、考える時間、問題ごとと折り合いをつける時間が、患者やその家族に必要なのでは、と思ったりします。「死にたい」は「生きたい」。よい言葉を教えてもらいました。ありがとうございます。