緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

ロンドン ガイズ病院

2008年12月09日 | 医療

ガイズ病院のことを書きたいと思います。
ロンドン・キングス大学附属ガイズ・キングスコレッジ& 聖トーマス病院医学校
の付属病院の一つ。

Guy's Hospital

ナイチンゲールで有名ですが、その他、
アジソン病のアジソン、ホジキン病のホジキン、
ペニシリンを発見したフレミング、数えきれないほど
有名な医師がいた英国内の代表的な大病院の一つです。





ここの臨床腫瘍(固形がんと血液がん)部門は
49床の入院ベット
外来化学療法が4ユニットあり平均60名/日の患者数
6台のリニヤックで50,000症例/年
この部門内に180名の看護師

緩和ケアチームがあり、院内、地域サポート。
緩和ケアのClinical Nurse Specialist (CNS)が、なんと12名
この5月に誕生した処方ができる看護師Advanced Nurse Practitioner 数名
さらに、その上に位置するNurse Consultants が4名

院内のがん治療中の患者さんのケア
在宅移行支援
在宅訪問まで広くかかわっています。

これだから、がん患者さんの9割を緩和ケアが関わることができる・・
まずは、専門職の数が違うのです・・

ちなみに、日本には、緩和ケア専門看護師という資格はなく、
がん全体をみるがん看護専門看護師(がんのCNS)は
日本全国で130名弱です。

ガイズ病院には、一病院だけで緩和ケアCNSが 12人もいます。

参考までに、セントクリストファーには、在宅訪問診療グループが6つあり
各チーム約8名、そのうち6名が看護師で、そのうち4名がCNS。




念のため、CNSは看護修士号をもったトレーニングをつんだ看護師をさします。

前述の処方ができるANPがいますから、
もう、医師もおちおちしていられません。
本当に、力量高いチームです。

加えて、他職種が行っている仕事をお互いよく知っているのです。
これが、チーム力か・・と感じ入りました。




また、何人かに日本で問題になっているようなケースを質問してみると
同じような問題を抱えていることがわかりました。

例えば、大病院ならではの、
全国から患者が集まり、地方へ患者を返せなくなってしまうケースなどです。

同じく我々も問題だと彼女達は言います。
しかしながら、そうした話の中にも、
そこにアプローチする方略が、複数でてきます。

強く感じたのが、自分たちができることと問題と感じていることが
よく整理されているのです。

ですから、対応能力があり、他者へ支援を求めやすいのです。

これも、チーム力だと思いました。


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6 コメント

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全くの素人ですが…。 (PANDAの妻)
2008-12-12 21:15:00
私など、タイトル通りのど素人ですが、先生の記事を読んでため息が出ました。システムからして、高いレベルにあるのだという事が解りました。日本にお戻りになって、先生ご自身が現地でお感じになった事や日本の現状とこれからのあるべき姿について先生がお考えになった事等々…、読ませて頂けると嬉しいです。
Unknown (二重あご)
2008-12-13 00:20:30
こんばんわ、はじめまして。
やっぱり、チーム力って、大事ですねー。
なんでもそうなんだなと思いました。
応援してますんで、これからもがんばってくださいね。
コメントありがとうございます (aruga)
2008-12-13 23:15:27
PANDAの妻さん
緩和医療に関しては、本当に充実しています。
でも、実際の医療は、紹介状を書いてもらってから、治療が開始されるまで、半年かかっていたような背景があったようで、それを改善させるために、専門職の看護師を増やし、医療アクセスの改善をはかったといういきさつもあったようです。

二重あごさん
チーム力は本当に大切です。
それを、まずは医療者ー日本ではかじ取り役が医師なので、特に医師が認識することが大切だと思いました。
おかえりなさい? (tanup)
2008-12-15 12:43:47
イギリスに行ってたんですね☆
ガイズ病院ってプライベートの病院でしょうか?J氏の様子伺いに時々国会中継をネットで見ていますが、イギリスも多分NHSの病院は待機ベッドやケアの質など医療問題が深刻みたいです。人もお金も集まるところには集まっているようですね。
CNS (missy)
2008-12-15 16:14:52
CNSの存在は重要です。私が現在のPCCの職に就いた時、CNSにPCC(PatientCareCoordinator),CRN(ClinicalResource Nurse)そしてCNSの違いは何ですか?と質問しました。CNSはもっとグローバルな視野でこのプログラムを行っているの、でした。その通り、訪問看護師やホスピスの看護師の教育計画や指導。難しいケースの患者さんのコンサルタントとして積極的にチームに参加しています。私もクリ二カルのことで質問があればいつもCNSに連絡を入れます。とても的確な返答が返ってくるので、頼りになります。どこのCNSもキラキラしていて仕事に情熱を持って向かっていて”かっこいいな~”て思うほどで(笑)。

ANPもどんどん増えていっています。(BC州はオンタリオ州に比べて遅れていますが)BC州で日本人NPがいてその人と話をした時、これからはHPC(HospicePalliativeCare)はNPにとって面白い分野になるかも、、だから目指して見れば?なんて言われました。NPが実習にやってきたことはあったけれど、HPCで働いているとは聞いたことがありません。しかし医師不足の今日この頃。NPがHPCに進出してくるのも時間の問題かな~と思っています。

私は自分の仕事場でチームの細分化、それでいて連携が取れているというのが素晴らしいと思っています。一般の看護師、PCC,CRN、CNSの知識のレベルや領域が違うのは当然でだからこそお互いに仕事の分担ができる。いろいろな角度から患者を看れるからできることとできないことが整理しやすいというわけです。

職種が増えれば増えるほど雇う側のコストが上がりますが、メリットは大きいと思います。
コメントありがとうございます (aruga)
2008-12-15 21:01:28
tanupさん
うあ~ご無沙汰~~。Jさん活躍されているのですね。
最近の動向としては、企業は、お金を払ってプライベートに従業員を加入させているのだそうです。そうしなれけば、専門医にかかるまでに時間がかかり、従業員が病休をとるため企業もちでプライベートに加入した方がまだ効率が下がらないのだそうです。深刻です。でも、GP制度のない日本のパッチワーク的医療も深刻です。
英国は、GPから専門医に至る時間待ちを短縮させるために、専門性の高い看護師の育成を対策案としたようです。

missyさん
日本では、認定看護師などが増えてきていますが、驚くことに、その適材適所さえ機能しない病院が少なくありません。がん疼痛認定看護師が緩和ケアチームに入れないで、病棟管理にあたっていたり、いつかは緩和ケアチームのメンバーにしてあげると人事権をちらつかせたり。missyさんが書かれているより、もっと手前の問題に成熟していない日本です。

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