緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

自分の好きな場所で自分を感じる

2019年11月25日 | 医療
日本緩和医療学会
第2回関東甲信越支部学術大会が
東京で開催されました。

マギーズ東京の講演の中で・・




何をされたかは忘れるけれど、
その時どんな気持ちになったかは忘れない







発表の正確な言葉ではありませんが、
意味はこのようなものだったと思います。


これを聞いた時、
私の中では、
さに”あるある”でした。

行為そのものは詳細には思い出せない出来事でも、
その時の不快な感情やもやっと感は
ずっと記憶
(・・という高次より
 どこかそのまま封じていたような感覚)
に留まっていることを
少なからず経験します。

特に、負の感覚の時です。




親に言われた一言とか
幼かった時のちょっと苦しい思い出とか
思いがけない一言とか・・





病名を伝えられた時のことや
PCばかり見ている医師からの一言とか
ケアに一声ない看護師とか
きっと、医療のプロセスでは
そういうことが少なくないのだろうと思います。



それが緩んでいく風景を
持っていること
自分を取り戻す場を
持っていること

まさに強みです。





幼かった時、
近くの川を見るのが好きでした。

キラキラと川面が光り、
揺れ、波を立て、
一瞬として同じものは
ありませんでした。


今も、好きな場所があります。

近所の公園のベンチに座って、
風を感じたり、
桜の花びらや落ち葉が舞うのを見たり、
なんということはない場所ですが、
くつろげる場所です。



今年の春

日々、色々なことがあれば、
そうした拠り所に立ち寄り、
自分と対話したり、
無になったりする時間を
ほんの数分ですが
持つことは、

これはマギーズ東京に限ることではなく、
また、がんや疾病に関することだけでもなく、
日常の私たちが生きる営みの中で
無意識に要しているものなのだと思います。



明日も、よい日でありますように。

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