オピオイドローテーションを行いたいと思ったら、
まずチェックすべき点があります。
□ オピオイドが効き辛い疼痛に対し、
非ステロイド性抗炎症薬や鎮痛補助薬の併用を検討したか。
(効き辛い痛みのコントロールが、
オピオイド以外の問題が含まれていたら
オピオイドを切り替えても効果はでません。)
□ 今のオピオイドで、十分な増量を試みたか。
(副作用があって増量できないときを除き、
増やせば除痛できるのに切り替えても効果はでません。
副作用が強くて増量できないときは、
切り替えて、早めに増量をかけて行きます)
□ オピオイドの血中濃度が下がるような因子は無いか。
(腹水ドレナージなど)
ドレナージの排液量は体液量にすると少ないものですが、
一旦、サードスペース体液のアンバランスをきたすと
薬剤は一定にならない可能性をはらむため
換算式通りにはいかない可能性も高くなってしまいます。
□ オピオイドの血中濃度が上がらないような因子は無いか。
(下痢、便秘による吸収不全など)
このあたりに問題が無ければ、準備を始めます。
以下の手順は、
現在、MDアンダーソンの緩和ケア・リハビリテーション医療部門のProf. E Brueraが
アルバータ大学の教授だったころの同大学レジデントマニュアルからの抜粋(訳・改編)です。
① まずは、今投与しているオピオイドの総投与量を計算します。
② 次に投与したいオピオイドとの等力価換算を行います。
③ その量から20~30%減量します。
これは、不完全交差耐性
(投与開始後耐性がつく、吐気、眠気などが
新しいオピオイドに切り替えた時、再度出てしまうこと)
の可能性があるため、
やや減量した量をスタートラインにもってきます。
④ 新しいオピオイドの一回投与量を計算します。
⑤ レスキュー・ドーズを設定します。
新しいオピオイドに 2~3日かけながら交差させ、切り替えていきます。
次回は、具体的な切り替え例をあげてみます。
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昨日今日と PEACEの医師研修のコメディカルの枠で研修を受けさせていただきました。今年から、医師以外も数人の枠を設けてくださったようです。みっちり2日間でしたが、終わってみるとあっという間でした。ロールプレーの患者になってみて妙に患者の気持ちがわかり、自分や家族がこういう設定になった時、ここに参加されているような医師のかたに診て頂きたいと思いました。
医療者としては、まだまだ勉強不足なのに、自分が求める気持ちの感想を持つようではだめですね
でも勉強させてもらったことを明日からの仕事
に少しでも生かしていきたいと思います。
緩和ケア研修会にご参加されたのですね。
お疲れ様でした。
私の病院でも、6月5日6日2日間開催しますが、日本緩和医療薬学会が両日で8単位認めてくださいましたので、薬剤師さんも参加できる体制をとっております。
チームで関わること進んでいくとよいですね。