プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

教育基本法「改正」を先取り 暴走する東京都教育委員会

2006-04-17 13:54:46 | 政治経済
「日の丸・君が代」強制を柱に、教師とこどもたちを力で抑えつけようと警察や検察顔負けの、常軌を逸した締め付けを強める東京都教育庁(東京都教育委員会の事務局)は、13日、職員会議で「挙手」「採決」などの方法で、教職員の意思を確認する運営を行ってはならないとする中村正彦教育長名の通知を二百六十三校の都立学校長に出しました。学校運営における都の管理・介入は現場の教育機能を破壊するものです。それはいま、まさに焦点となっている教育基本法「改正」による教育の国家統制の先取りをめざすものです。

「学校経営の適正化について」と題する今回の通知は、企画調整会議や職員会議などの運営について「一層の適正化を図る」ということで、校長、副校長、主幹で構成される企画調整会議が、学校経営の「中枢機関」で、「職員会議の場で議論し、教職員の意向を挙手等で確認するような学校運営は許されない」というものです。
都教育庁はすでに01年に「校長が決める事項を、職員会議が制約するような運営で意思決定してはならない」という通知を出していました。ところが、今年一月に都立校にその後の状況を報告させたところ、十数校で校務に関する内容を職員会議での挙手や採決で決めていたことが判明したので今回の通知を出したとしています。

新学期は「さあやろう」という一年のスタートを切る一番大事な時です。そこへ「職員会議で挙手や採決をしてはいけない」などという通知を都教委が持ち込むというのは、まさに「管理あって教育なし」という、自らの姿勢を都民に示すものです。教育の創造は、日々苦闘している子どもとの接点から生まれてくるもので、その中で職員会議はよりよい教育を生み出す「民主的な協議の場」という教育の原点です(山田功・教育基本法全国ネットワーク事務局長「赤旗」06.4.15)

ファシスト石原都知事のもとで進む都教委の暴走は、日本を再び「戦争のできる国」に改造するという大目標を達成するための教育再編成に先鞭をつけるという明確な企図のもとにおこなわれています。当然に憲法「改正」を念頭に置いたものです。
子どもと教職員の自主性、自立性を奪い、上からの命令に忠実に動くロボットのように精神を支配することは、戦後民主主義のもとで積み上げてきた個人の尊厳・人格の尊重という私たちの歴史の到達点を一気に覆すものです


こうした都教委の横暴に対しては、都の教職員組合や父兄だけでなく、全国の労働組合、市民団体、民主団体や個人が連帯して糾弾に立ち上がるべきです。事態は「東京の先生は気の毒だ」(「朝日」社説06.4.15)といったような生やさしいものではありません。


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