プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

NHK裁判 ますます怪しい安倍官房長官の政治的「圧力」

2006-04-18 17:33:46 | 政治経済
NHKのETV番組が改ざんされた問題をめぐり、取材に協力した市民団体がNHKなどに損害賠償を求めた裁判の控訴審が17日、東京高裁で開かれ、NHKの国会対策担当局長だった野島直樹前理事が証人として出廷しました。野島氏が何度も口にしたのは、「異例な事態」でした。安倍晋三官房長官(当時・内閣官房副長官)らの政治的「圧力」と番組改ざんの関係疑惑がますます深まるものでした。

野島氏は松尾武元放送総局長とともに、放送前日に安倍氏と会い、その後に番組は大幅改変されました。この間の経過は誰も否定できない客観的事実です。問題は安倍氏の「圧力」がどのように「自主的」番組編集に作用したかです。

裁判で野島氏は、番組制作とは関係のない役職にありながら、放送四日前と前日に行われた試写に参加した理由について「放送前の番組が自民党の国会議員の間で話題になったのは異例の事態だったから」とし、試写に立ち会ったのも「初めて」と語りました。
安倍氏に「NHK予算の説明」をした際、番組制作の責任を負う松尾氏が同行したことも「これまでなかった」と証言。その理由を「かつてない異常事態に対応するため」とのべました。
しかし、安倍氏からの「圧力」は否定。安倍氏との面談直後に、現場スタッフに台本改ざんを指示したことについては、松尾氏らの意見を「伝えただけ」としました。そのとき、「毒をくらわば、皿まで」と口にしたとされる点については「記憶にない」と語りました。

三月の裁判では、元チーフプロデューサー永田氏が上司から聞いたとして、昨年一月に野島、松尾氏らが集まり、「(安倍議員に)呼びつけられたのではなく、こちらから出向いたことにしよう」と口裏合わせしていたと証言していました。それに対し、野島氏は「自分は(相談に)出席していない」と主張しました。

野島氏は番組改変をリードしたのは自分ではないと繰り返しますが、番組制作とは関係のない自身が試写に立ち会ったのは「異例の事態」というばかりです。
今回の証言で浮き彫りになったのは、放送前に野島氏が「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の複数のメンバー(安倍晋三、古屋圭司、荒井広幸)と会っていたという事実でした。
昨年十二月のNHK裁判で、番組の最終的な編集責任者だった吉岡民夫元教養番組部長の台本に、「アベ」「フルヤ」「アライ」とのメモがあったことが、「証拠」の中で指摘されていました。この一致は、何を意味するのか
(「しんぶん赤旗」06.4.18)。

野島氏は安倍氏と面会した後、再度、試写をしました。その直後、現場スタッフを除いた席で、松尾、吉岡氏、伊東律子元番組制作局長の三人と一緒に検討会をしています。
その“検討”の結果、慰安婦の存在が薄められ、政府や軍の組織的な関与や女性法廷を肯定する表現が消されました。代わりに女性法廷に否定的な学者のインタビューが追加されました。安倍氏らの政治的「圧力」と番組改ざんの関係疑惑はますます深まるばかりです。 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。