プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

米国に付き従う道は「国益」に反する道

2006-05-05 17:07:12 | 政治経済
「国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、アメリカが横暴をほしいままにする干渉と侵略、戦争と抑圧の国際秩序か」は、依然として「今日の世界の平和をめぐる対決の最大の焦点」であることに間違いありません。しかし、「強いアメリカに金も若者の命も捧げることが日本の生きる道」と考える小泉自民党は、今日の世界の動向をリアルに見た場合、方向を誤っていると言わざるを得ません。米国だけに付き従う道は、やがて破綻と孤立を招く「国益」に反する道です。

アメリカの先制攻撃戦略、国連を無視した単独行動主義を支える軍事戦略は次のようなものです。
──米国にとっての主要な脅威は、「破綻国家」「無法国家」である。「テロ」「大量破壊兵器」などの脅威を未然にふせぐために、必要ならば先制攻撃をおこなう。【資源を持ち、アメリカのドル秩序に従わない国は無法国家】
──米国の軍事目的にとって必要な場合には、非核兵器国にたいする核兵器の一方的な使用もためらわない。
【イラン核攻撃も辞さない】
──世界のどこにでも迅速で効率的な軍事力の展開をおこない、同盟国との軍事一体化をはかるため、米軍の
地球的規模での再編をおこなう。【「自主的」に従う日本がその最重点国】

きわめて侵略的な外交・軍事戦略をとるアメリカは世界最大・最強の「ならずもの国家」です。うまく付き合うためには卓越した外交手腕が要求されます。
しかし、アメリカとうまく付き合う国々が増えてきているのが最近の世界の動向です。米国の一国覇権主義の道は、明らかに破綻と孤立を深めています。

ブッシュ大統領は、昨年十二月の演説で、米国がイラク戦争の開戦理由とした、イラクが戦争前に大量破壊兵器を保有しているという情報について、「多くが誤りだったことが判明した。大統領として、イラク攻撃を決定した責任は私にある」と言明しました。ウソを世界に押し付けることができなくなったのです。
米国政府のなかには、軍事力一本やりでは対応できない状況に直面して、国際問題を外交交渉によって解決することを模索するもう一方の動きが見られます。
一月のAPEC首脳会議後におこなわれた米中首脳会談では、両国の「建設的協力関係」が確認されました。ブッシュ大統領は、以前、中国について、「戦略的ライバル」と呼んでいたこともありましたが、今回の首脳会談で「建設的協力関係」を全面的に推進することで一致し、米中関係は、重要な前進をみました。
ブッシュ大統領とASEAN七カ国首脳との会談でも「国連憲章の原則と目的ならびに普遍的に認められたその他の国際法の諸原則への支持」を再確認するとともに、TAC(東南アジア友好協力条約)について、「平和と安定の促進のための地域の国家間関係を統べる行動規範としての役割を果たしている」と評価し、「TACの精神と原則を尊重する」ことを確認しています。
アメリカの軍事的覇権主義に反対して「国連憲章にもとづく平和秩序」をもとめるとともに、アメリカによる経済的覇権主義を拒否して「各国の経済主権の尊重と民主的な国際経済秩序」をもとめる、「東アジア共同体」や南米での共同体の動きも前進しつつあります(日本共産党第24回党大会にたいする中央委員会報告)。

私の知る限り、日本は今、道理もなく、達成するものもなく、危険な方向に向かっています。同盟国は米国だけです」「麻生外相や安倍官房長官、小泉首相が、ネオナチ的言動をうまく言いぬけ、中国と衝突を引き起こすのであれば、米国民は、中国の側につくといわなくてはならないでしょう」「米国は、自国の利益にならないと判断すれば、いとも簡単に日本を見捨てるでしょう。思想的、平和主義者の観点からだけでなく、国益の観点から、日本は深刻な警告を受けるべきだと思います」(チャルマス・ジョンソン米カリフォルニア大学名誉教授「赤旗」鎌塚記者インタビュー06.4.15)


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