プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

自衛隊を“戦える軍隊”に鍛える米軍

2006-05-04 18:58:27 | 政治経済
米軍と自衛隊が一体となって海外での共同作戦を可能にする態勢づくりを進める在日米軍再編――。その下で日米共同演習・訓練も大きく変質しています。戦後60年、平和憲法のおかげで、自衛隊員は、戦争で人を殺した経験がありません。目下の同盟者として、危険な部署を自衛隊に割り当てることを考える米軍は、憲法改悪を先取りして、自衛隊を“戦える軍隊”に鍛えることをすでに始めています。

昨年11月にテレビ朝日が、「米軍再編の衝撃 “戦争の町”の自衛隊」という特集番組を放映しました。米国ワシントン州のフォートルイス基地の奥深くに、地図にのっていない町があり、ここに市街戦を想定して52のビルや住宅などの施設を設置し、イラクから帰還した殺人の「経験豊富な」米陸軍の第一軍団の部隊が、陸上自衛隊を訓練している。場面は、建物への突入作戦にうつります。ここで米兵が「敵が見えたら撃て、撃ちつづけるんだ」と命令する。そうすると自衛隊員が「敵二名射殺」と答えます。訓練を終わった米兵がインタビューをうけ、こういいました。「将来、本当の戦場で一緒にたたかえることを楽しみにしています」。
昨年七月には航空自衛隊が、グアムの米空軍アンダーセン基地とその近くにある空対地射爆場で、初めての実弾を使った爆撃訓練も行っています。

「鉄拳(アイアン・フィスト)作戦」(鉄拳のごとく強靭な意志と体力で厳しい訓練をやり遂げるという意味で名付けられた)と名付けられた陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練が今年1月9日から27日まで、米海軍コロナド基地(カリフォルニア州サンディエゴ)などで行われました。
自衛隊の準広報紙「朝雲」十九日号は、その「厳しい訓練」の様子を「『水陸作戦の基礎を徹底的に叩き込んでやろう』とする教官役の海兵隊員と、技術をどん欲に学ぼうとする陸自隊員」と紹介。訓練に参加した海兵隊一等軍曹は、同紙で「陸自隊員はよく学び、素晴らしい。将来が楽しみだ」と語っています(「赤旗」06.1.23)。
「鉄拳作戦」で、米側は陸上自衛隊員(西部方面隊普通科連隊の125人)に、米海兵遠征隊(MEU)が行うのと同様の体験をさせました。海兵遠征隊とは、六時間以内に出動可能な即応態勢を維持し、特殊作戦能力も持つ、文字通りの海外“殴り込み・殺人”部隊です。
「鉄拳作戦」に部隊を派遣した西部方面隊は、米陸軍第一軍団との日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ」もおこないました。第一軍団の司令部は、在日米軍再編計画で、「改編された司令部」としてキャンプ座間(神奈川県)への移転が狙われています。海外への“殴り込み”専門の戦争司令部です。演習は米軍・自衛隊共同作戦を先取りするものです。

ソ連崩壊後、唯一の軍事大国となったアメリカに先に戦争を仕掛ける国はありません。イラク戦争に見られるように世界で国と国との戦争がある場合、アメリカが言いがかりをつけて先制攻撃を行うことになります。その米軍と「ともに訓練し、ともに展開し、ともに生活する」自衛隊が世界でどんな存在になるか。考えただけでも空恐ろしいことです。

イラクでの戦死者が2400人を超えたアメリカは日本の若者に危険な役割を一部肩代わりさせようと自衛隊を“戦える軍隊”に訓練しているのです。憲法を改正し、日米同盟強化の道を歩むことは、危険きわまりない破滅への道です。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」し、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」日本国民の原点をいまこそ想起するときです。



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2 コメント

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自衛隊は軍隊です (鶴田ふぁん)
2006-05-04 20:22:36
軍国主義の韓国、中国に対し、練習するのは、当たり前の話です。それに日本だけが、武力放棄したら平和が保てるなんて事はありえません日米安保があるから平和なのです
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アメリカのやる戦争で一緒に死ぬのは御免です (tai532sho6)
2006-05-04 23:57:48
アメリカの国益のためにやる海外での覇権主義的先制攻撃の戦争を一緒にやるなんていやだなぁ。







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