プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

消費税増税と「閣内対立」

2005-11-10 20:38:45 | 政治経済
消費税増税をめぐって、2007年度の法案提出を公言する谷垣財務相に対し、竹中総務相らが、”歳出削減が先だ“と主張、一見対立しているようかのように見える。しかし、これは増税に向けた一つの仕事を二人で使いわけているにすぎない(CS番組・朝日ニュースターでの共産党・志位委員長発言)。
竹中総務相がいう歳出削減は、大型公共工事や軍事費削減のことではない。福祉、医療、教育費など国民サービスのカットのことである。公務員人件費の削減も国民のなかにある漠然とした官への不満を利用し、公務員と国民の間に「対立」を意図的につくり、「既得権益」破壊の掛け声のもとに、教育、福祉などの国民サービス要員を削減するものである。国家公務員の4割をしめる自衛隊や防衛庁職員には手をつけない。そして行くつき先は、歳出削減に努力した、公務員の数も削ったのだから、今度は増税を我慢しろということになる。
谷垣財務相は一貫して増税の旗振りをやり、“増税やむなし論”を国民意識に沈殿させる役割を果たしている。一方、竹中総務相は財政難を理由に徹底したサービス削減を迫り、悲鳴をあげさせ、ついにはそんなに削られるのなら、やはり“増税やむなし論”を受容するほかないというところへ国民を導く役割をはたしている。
二人は“増税もしょうがないか”という気分を国民につくる仕事の役割を分担しているだけなのだ。所得再分配を否定し、福祉が必要なら、必要とする者同士で応益負担をすればよいという小泉政治はもはや、政治ではない。そして、このような政府に国民が反対したら、「公益」、「公の秩序」にたいする違反だということで人権を制限するのが、自民党憲法草案なのだ。

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