プロメテウスの政治経済コラム

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広島平和式典 米英仏初出席へ 核兵器廃絶の草の根の声が世界を動かしつつある

2010-07-29 20:07:51 | 政治経済
来月6日に広島市で開かれる原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)に、米英仏の主要核保有国が初めて出席者を送ることで調整している。米英仏の主要核保有国による式典参加は、世界的な核廃絶への機運が高まっていることの反映である。広島市は98年から核保有国に対して式典の招待状を送付してきたが過去に米英仏3カ国が出席した例はない。だが今回は3カ国とも式典参加に応じ、駐日大使館ナンバー2の公使級が出席する予定であったが、ここにきて、米政府はルース駐日米大使を出席させる方向で調整しているという(「毎日」7月28日20時40分配信)。
国連の潘基文(バンキムン)事務総長も、8月5日長崎市を訪問し、翌8月6日の広島平和記念式に出席する予定という(「西日本新聞」2010/07/27)。
かつてエジプトの元外務次官アブデルモネムさんが、「不幸なことであるが、原爆は唯一、日本に落とされた。その日本が口をつぐんでしまえば、世界も黙る。だが、日本が口を開けば世界は動く」と述べたことがある(原水協事務局長・高草木博「核兵器のない世界へ――次のステップ」『前衛』2010・8/No.860より孫引き)。
被爆者をはじめとした日本の草根の核兵器廃絶の運動が核保有国にも敏感に受け止められ始めたということである。

 国連の潘基文事務総長は26日、平和市長会議と広島市が27~29日に同市で開く「2020核廃絶広島会議」にメッセージを送り、「核抑止力」依存を批判し、「核軍縮・廃絶は夢だと片付けられることが多いが、核兵器が安全を保証するとか、一国の地位や威信を高めるとかいった主張こそが幻想だ。国家がそうした主張をすればするほど、他の国も同じような態度をますますとるようになる。その結果、すべての国が危険に陥る。明確にしよう、安全を保証し、核兵器の使用から逃れる唯一の方法は、それを廃絶することだ」と訴えた。そのうえで潘氏は被爆者がみずからの体験を世界に語り伝えてきたことに「深い称賛」の意を表明。「私は平和市長会議に対し、核の脅威のない世界への道を指し示す手助けをしてくれることを感謝する。世界の人口の大半は今日、都市に住んでいる。もし世界中の市長が団結すれば、世界は団結する」と述べ、「すべての指導者、とくに核兵器国の指導者に対し、広島と長崎を訪ね、核戦争が引き起こした激烈な現実をじかに見る」ことを強く求めた(「しんぶん赤旗」2010年7月29日)。
[平和市長会議は、核兵器廃絶を求める世界各国の都市で構成する団体。広島市が会長を務め、144カ国・地域、4千以上の都市が加盟している。]

 7月25日、トルーマン米大統領が日本への原爆投下命令を発したドイツ東部のポツダムで、原爆犠牲者を追悼する碑が完成し、序幕式典が行われた。碑が設置されたのは、市内の「ヒロシマ広場」。碑には、被爆した広島電鉄の路面電車の敷石と長崎市の山王神社境内の石が埋め込まれた。そして、碑文には「1945年7月25日、アメリカ大統領同意の下ワシントンから軍の原爆投下命令が下された。原爆の破壊力は数十万の人々を死に追いやり、人々に計り知れない苦しみをもたらした。核兵器のない世界を願って」と、日英独の3カ国語で刻まれている。ポツダム市議会は原爆投下60周年の2005年、トルーマンら米代表団が宿舎として使った邸宅前の広場を「ヒロシマ広場」と命名する決議を採択。追悼碑は、市民団体が尽力して建立に至ったのだ。約300人が参加した式典では、広島の秋葉忠利市長と田上富久長崎市長のメッセージが読み上げられ、ポツダム市代表が他の自治体とともに核兵器のない世界へ進む姿勢を表明した(「しんぶん赤旗」2010年7月27日)。

 核兵器廃絶に向けた前向きの機運を切り開いてきた決定的な力は、国際的な世論と運動である。とりわけ唯一の被爆体験国として被害の実相を訴え、核戦争阻止と核兵器廃絶を求めてきた日本の運動の役割は決定的であるしかし残念なことに、日本政府はなにも見るべき役割を果たしていない。
言うまでもなく、日本の安全をアメリカの核政策に依存させる「核の傘」に固執しているからである。自公政権から民主党政権に代わってもまったく変わらない
「朝日」(2010年7月27日)が菅直人首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=佐藤茂雄・京阪電鉄最高経営責任者)が首相に提出する報告書案を一面トップで報じた。日米同盟の深化のため、日本の役割強化を強調。非核三原則の見直しにも踏み込んだというのだ。
<報告書案は、米国による日本への「核の傘」について、「地域全体の安定を維持するためにも重要」「究極的な目標である核廃絶の理念と必ずしも矛盾しない」と評価。非核三原則について「一方的に米国の手を縛ることだけを事前に原則として決めておくことは、必ずしも賢明ではない」と指摘し、事実上、三原則のうちの「持ち込ませず」を見直すよう求めている。>

 核兵器廃絶への機運が世界的に広がるなかで、日本国民は、このような政府をそのままにしておいて良いのだろうか。
政府は、なにかと言えば、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍拡の不透明性をあげる。だが、周辺国に核開発国があっても、むしろ隣に核をもつ国が生まれているからこそ、核兵器の廃絶の先頭に立ち続けている国もある。隣にイスラエルをもつエジプトは、アメリカの「核の傘」の提供を即座に拒否し、核兵器廃絶の先頭に立ち続けている
「思いやり予算」に集る米国防総省の高官は、日本にもっと多く負担するよう要求し、「削れば、日本が安全保障に力を入れていないとの誤ったメッセージを送る」と脅してみせた。
もういい加減にアメリカの食い物になることをやめようではないか

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