プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

衆参代表質問  非難合戦ではなく、日本の政治が直面する問題についての議論を

2008-10-03 19:13:19 | 政治経済
国会では各党の代表質問が行われているが、麻生首相は小沢批判を繰り返している。小沢一郎代表は、首相の所信表明への質問はほとんどせず、同党の政権公約を延々と発表。自民党の細田博之幹事長も冒頭から民主党批判をし、総選挙を意識した自民、民主両党の宣伝・非難合戦が繰り広げられている。「所信表明とはなにか、代表質問とはなにかという根本が問われている」「国民の目線に立って、いま国民の苦しみを打開するのに何が必要かという真剣な議論と提起が必要だ」(共産党・穀田恵二国対委員長)。

麻生首相の9月29日の所信表明演説は、自身の基本政策を示すというよりも、随所で民主党をはじめ野党への質問・批判を繰り返す異例の演説であった。所信表明は、言うまでもなく、総理大臣としての所信を内政、外交についてきちんと述べるべきもので、特定の野党に質問する場ではない。これから審議する補正予算に対する賛否を迫るのもムチャクチャな話だ。演説の中身そのものは、「日本は強く、明るくなければならない」と精神論を前面に押し出しながら、深刻な日本経済や国民の暮らしに対する打開策はすべて抽象論に終始。とてもまともな検討に値するようなものではなかった(「しんぶん赤旗」2008年9月30日)。

自民党の細田幹事長の質問もひどかった。予定稿になかった「小沢批判」をアドリブで5分も展開。
「小沢氏は47歳で史上類を見ない最高の権力を持つ自民党幹事長だった。当時は金丸(信・元副総裁)-小沢ラインが日本の政治を壟断(ろうだん)していた…」と嫌みっぽく語り出すと、「小沢氏は同志とともに脱党」「細川政権、羽田政権を計11カ月でほうり出した」とあげつらい、「小沢氏についていった人が閣僚席に3人いるが、『小沢政治はこりごりだ』と言っている」と言い放ったまではよかったが、「(自民党を離党した)小沢さんに付いて行った人は、民主党席に六、七人、この閣僚席にも三人いる。自民党に十五人いる」というのは、自民・民主互いに垣根がないことを問わず語りに語っただけのことだった。興奮したのか、細田氏は「足腰の強い農林漁業の復活」というべきところを、「弱い」と言い間違えることまでやった(「産經」10月2日)。

小沢氏は首相の所信表明演説について、「明確な理念もビジョンも政策も示されていない」と批判した上で、質問時間の大半を使い、政権公約を披露した。小沢氏は、「年金通帳の交付」や「子ども手当の創設」などを列挙。財源として、「特別会計、独立行政法人の原則廃止」などで20・5兆円の新財源を確保すると述べた。しかしこの党の限界として、日本の政治の大もとにある大企業中心、アメリカ言いなりという「二つの政治悪」=「支配階級による政治支配」に踏み込むことはできない。小沢氏の「税金の使い方を根本的に変える」という、その財源論には、決して軍事費の削減も大企業・大資産家に応分の負担を求めるということも出てこないのだ。小沢氏は外交問題でも「日米同盟の維持・発展」を第一の原則としてあげる。「日米同盟の強化」を主張した麻生首相と基本的に違わない。「第一の原則は言うまでもなく、日米同盟の維持・発展だ」(小沢代表)「日米同盟の強化。これが常に、第一だ」(麻生首相)。表現まで、似通っているではないか(「しんぶん赤旗」2008年10月2日)。

異例の所信表明演説には、異例の代表質問で応じるということか。次期衆院選に向けて、自民、民主両党の駆け引きが本格化している(「読売」10月2日社説)。「国民のくらしと営業がこれだけ大変なときに、国政のありようをきちんと議論するのではなく、双方とも総選挙を意識した非難の応酬」(共産党・穀田国対委員長)でいいのだろうか。
自民、民主両党が互いに総選挙を意識した異例の非難合戦を行うなか、日本共産党の志位和夫委員長は2日、衆院本会議で、麻生首相の所信表明演説に対する代表質問を行った。志位氏は国民の不安と苦しみの現実から出発して、暮らしと平和について首相の基本姿勢を正面から追及。根源にある大企業中心とアメリカいいなりという「二つの政治悪」=「支配階級による政治支配」を正すよう迫った。現代資本主義の矛盾は、「支配階級による政治支配」が国民の生存をおびやかすほどに深刻化している。高度成長期のような余裕を支配階級が失っているということだ。


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