プロメテウスの政治経済コラム

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二次補正予算が成立  ゴリ押し与党に不可解民主  景気対策ならもっとまじめに審議を!

2009-01-28 20:38:13 | 政治経済
08年度第二次補正予算が、2日間にわたる両院協議会が経て27日に成立した。与党は、国民の声を無視して、早期成立を要求しスピード審議をゴリ押した。09年度本予算案の審議入りをアセッタためである。衆院段階では当初、8、9日の2日間の審議だけで通過させると主張し、結局、関連法案も含めて3日間の審議で採決を強行した。参院でも3日間の審議の後、「これ以上の審議は採決を前提としなければ応じない」など、異常な態度に終始した。民主党は、いったんは23日の採決で自民党と合意。批判を受けてこれを撤回し、集中審議や公聴会の開催を含め徹底審議を求めることを野党4党で合意したにもかかわらず、合意を一方的にほごにして今度は、与党と26日の採決を合意してしまった。いま必要なことは、第二次補正予算案が、緊急課題に応えるものかどうかを審議し、不十分なら必要な修正を加えることであった。口先で、「100年に1度の経済危機」をいくら叫んでも、政治がこんな体たらくでは国民は救われない。

 政府・与党は「生活防衛対策」を前面に押し出し、「国民の生活不安の解消をめざす」としているが、その宣伝とは裏腹に、二次補正予算案は選挙目当ての給付金や大量解雇を当然のこととした上での雇用対策など、生活をなおざりにする一方で大企業・大銀行は手厚く応援するものである。給付金以外にも問題だらけなのだ
今回の補正予算が国民の生活に本当に役立つのかどうか内容をしっかり議論することが求められていたのに、衆院での議論はわずか3日間。参院での質疑については、野党間で集中審議と公聴会を求めようという約束があったのに、民主党はそれを途中で放棄し、集中審議と公聴会は行われずじまいであった。民主党は、その後の両院協議会で修正要求を繰り返したが、「それならどうして採決に応じたのか。参院でもっと審議すればよかったのではないか」という強い疑問の声が党内からも出てきたのは当然である。

公明党がねじ込んだ2兆円の定額給付金は、報道各社の世論調査で反対が7、8割。少しでも金がほしいときに、7、8割の国民が反対しているのに何故、国民の意思を無視するのか。生活支援というなら、定額給付金を撤回して、リストラや倒産で職を失った失業者や低所得者、年金生活者など、本当に必要な人たちに回し、生活防衛のための支援を強化すべきでないのか。小泉「構造改革」以降、税・社会保障などで、01年度と比べ08年度は13兆円の負担増となっているところに一回限り、しかも820億円以上の経費をかけて、2兆円ぽっきりの給付をしてどれだけの足しになるのか。給付金のバラマキで、いくらか消費が一時的に増えたところで、いまのような大幅な景気後退局面では、企業は生産を増やしたりはしない。給付金の波及効果はすぐに消えてしまい、景気上昇効果にも結びつかないしかも自公政府は2011年度に消費税を再増税すると言っている。現実の負担増に加えて、将来も庶民を痛めつける大規模な負担増が続くとなれば、消費が冷え込むのは当然だ。

給付金と同じく、給付対象が出鱈目で、政策目的があいまいのが、二次補正予算に含まれている「子育て応援特別手当」である。3-5歳の第2子以降の子どもに一人当たり三万六千円を、一回に限って給付する。もし、4歳を頭に3人の子どもがいても第2子が2歳でもう一人が0歳なら給付の対象にならない。4歳は第1子であるからである。6歳と、2歳の双子の三人を育てているような場合も対象外となる。
同じ年ごろの子どもを、同じように育て、経済的負担感が強くても、支給される家庭と、されない家庭がある―これが自公政権の「生活対策」なのだ。また、手当の支給は一回限り。これで本当に「第二子以降を産もう」という動機付けになるのか。「少子化対策」の効果も疑問である。必要な人に届かず、政策効果も定かではない―迷走する定額給付金とまったく同じ構図である

緊急の対応が求められている派遣・期間工切りの問題でも、大企業に毅然とモノを言うことすらできないのは情けない限りである。職場を追われた労働者への支援も形だけで、まったく真剣さがない。補正予算の雇用対策費はわずか千六百億円、中小企業対策も不十分である。
一方で、二次補正予算は大銀行への公的資金投入や株の買い取り、大企業の約束手形(CP)の買い取り制度など、大企業・大銀行への手厚い支援策を盛り込む。消費税増税の方針を書き込んだ来年度の税制法案には、同時に法人税率引き下げの検討を明記する。

自公政権の政治の劣化は激しい。麻生政権はヨタヨタなのに、民主党は真正面から攻め切れない。世界的危機の時に、給付金バラマキに固執し、「増税」をいう大ボケ。失業者が難民化してきているのに、しょうもない2次補正予算と来年度予算が成立すれば支持率も上昇すると甘い考えでしがみついているだけの政権に国民はアキレている。小沢民主党は何をモタモタしているのか(Today's Gendai メール 2009年1月27日)。

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