プロメテウスの政治経済コラム

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もう一人の懲りない政治家 石原都知事

2007-09-03 19:14:46 | 政治経済
石原慎太郎東京都知事は8月24日、9月中旬に南太平洋のツバルとフィジー諸島に出張すると発表した。1999年に就任して以来、21回目の海外出張で、都庁内から「4月の知事選で豪華旅行だと批判を浴びたばかりなのに、半年もたたないうちに必要のない外遊を復活させるのはおかしい」と、批判の声があがっている
ツバル・フィジー諸島への出張は、「エコ・ツーリズム」が名目である。9月10日から15日の6日間、海岸の浸食状況やマングローブの植林、環礁を視察するという。特別秘書のほか、都課長ら5人が同行し、現地では飛行機をチャーターし、旅行費用は1550万円である。豪華クルージングをして都民の批判を浴びた2001年6月のガラパゴス諸島(エクアドル)の出張(11日、8人で費用は1444万円)と比べても割高である。
都関係局の職員からは「地球温暖化問題を研究するというのなら、高層ビルの林立で深刻化している東京のヒートアイランド現象をどう解決するのかを、優先すべきだ」「(出張費用は)高すぎる。職員が出張する時には、宿泊するなと厳しく締め付けているのに…。豪華海外旅行の復活ではないか」などの声が出ている(「しんぶん赤旗」8月25日)

東京都議会は6月27日、石原知事が起用を表明していた作家猪瀬直樹氏(60)の副知事人事案を、自民、公明、民主などの賛成多数で可決した。猪瀬氏は特殊法人改革や道路公団民営化で名を馳せ、「国と闘う」などと勇ましいことを言っているが、反人民的で、インチキ人物であることは、政治のプロなら誰でも知っている。「空疎な小皇帝」(斉藤貴男)には、ふさわしいかもしれないが、都民にとっては欠格である。日本共産党東京都議団は、「副知事としての資格を疑わせる」として副知事人事案に反対した(「しんぶん赤旗」6月27日)。

石原知事がトップダウンで持ち込もうとしていた三宅島公道オートバイ・レースは、バイクメーカーやレーサーの反対を受け、断念。バイクメーカーがイベントに参加しない態度を表明しているにもかかわらず、懲りずに11月に三宅島でオートバイイベントをやるという日本共産党都議団のいうように「バイクメーカーやライダーから危険が指摘されていた公道レースを断念したことは当然だが、島民の多くから歓迎されず、計画そのものが破たんした三宅島でのバイクイベントはきっぱりと中止すべき」である(「しんぶん赤旗」9月1日)。

1日の東京都防災訓練には、石原知事の肝いりで米揚陸艦が参加した。今回の防災訓練は、米軍横田基地を使用し、多摩地域から遠く離れた千葉県境に近い葛西臨海公園(江戸川区)で米海軍のドック型揚陸艦が初めて参加するなどアメリカ軍との「連携」強化が目立った。震災発生直後の人命の救出や消火活動の訓練こそやるべきで、被害の現場で活動する自治体や消防、住民組織を中心にした防災力の向上という本来の防災訓練の目的とはかけ離れた治安対策と軍隊中心の訓練で一体何をしようというのか(「しんぶん赤旗」9月2日)。

石原慎太郎が1973年、田中角栄による日中国交正常化に絶対反対を唱え、中川一郎、ハマコー(浜田幸一)、渡辺美智雄らと青嵐会(せいらんかい)を結成したとき、彼らは自民党内でキワモノであった。それが、30年余りたって東京都の顔となった。同じような思想の持ち主の安倍晋三は、つまずきながらも首相である。それだけ時代がズレテしまったのか。「キワモノが主役になっちゃった」(佐高信・姜尚中『日本論』角川文庫の佐高氏発言)

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