プロメテウスの政治経済コラム

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二次補正予算案  定額給付金以外にも審議すべき問題点がある

2009-01-08 20:32:24 | 政治経済
麻生内閣が提出した第二次補正予算案の審議が始まった。自公与党は、なんとか13日に衆院を通過させ、野党の抵抗を受けても、憲法の「60日ルール」で衆院再議決が3月14日以降に可能となり、定額給付金の年度内支給開始を可能にするべく、やっきになっている。しかし、何のために2兆円ものバラマキをやるのか、公明党得意の選挙対策という以外にその目的さえはっきりしない。民主党は、これまた得意の政局演出で、「定額給付金を撤回・切り離せば、第二次補正予算案の早期成立に協力することもやぶさかではない」(7日、山下八洲靖夫氏の参院代表質問)という態度である。第二次補正予算案は、定額給付金も問題だが、問題はそれだけではない。定額給付金以外にも審議すべき問題点があるのだ

第二次補正予算案の「目玉」としている2兆円の定額給付金については、NHKの世論調査でも「大いに役立つ」は1%にすぎない。景気、景気といいながら、そもそも、景気対策としてまともに考えた節がない。国民は、「究極の選挙対策だ」「こういう金があるなら、いままで削ってきた社会保障を元に戻すなど、ほかの使いみちがあるだろう」「しかも消費税増税の予約つきだ」と批判しているのだ。
言い出しっぺの公明党は、10年前の地域振興券の失敗を意識して、「定額給付金は生活支援。景気対策ではない」などと相変わらずの開き直り。生活支援といいながら、必要のない金持ちにも一律にバラまく一方で、住民登録していない生活困窮者には、渡らない。批判をかわそうと所得制限をつけようとしたが、政府で決められず、地方自治体に丸投げ。麻生首相は、「一億円も収入のある方はもらわないのが普通だ。これは人間の矜持(きょうじ)の問題だ」などといっていたが、昨日は、とうとう「生活給付金というイメージで最初スタートしたので、あのころと時代(状況)は大きく変わった。消費刺激という点に意義があるので、ぜひみなさん方に使ってほしい」「定額給付金を受け取るかどうかは今後、私自身で判断する」と、とうとう所得制限を撤回する始末。軸足が一向に定まらないのは、「ばい菌みたいな公明党」(民主党・石井一副代表)の言いなりで、なにもまともに検討していないということだ

民主党は、第二次補正予算案から定額給付金を切り離せば、いいという態度だが、これまたいい加減である。二次補正は選挙目当ての給付金のほかに、大銀行への公的資金投入や大企業の株の買い取り制度など、大企業・大銀行への手厚い支援策が盛り込まれる一方で、きわめて深刻になっている雇用危機への対策は、大量解雇を前提にした後追い雇用対策ばかりであり、金額もきわめて不十分なものである。国民のくらし支援や景気対策に役立つ経済対策とはどのようなものかもっと真剣に議論すべきだ。

雇用の確保について、大企業に対して「最大限の努力を行うよう要請」(麻生首相)するだけでいいのか。昨年、キヤノン、いすゞ、トヨタと会談し、日本経団連にも直接乗り込んだ共産党・志位委員長は次のように語っている。
「昨年末、麻生首相との党首会談をやりましたが、政府が本気で乗り出していって、『派遣切り』『期間社員切り』をやめさせようという姿勢が伝わってこない。一方で、大量解雇の波がいよいよ荒れ狂っている。私たちのもとには、『冬に外で寝ろというのか。死人が出ないとわからないのか』という悲痛な訴えが殺到する。そのもとでやむにやまれぬ思いがありました」。
自公与党の労働者への支援が形だけで、いかに真剣さがないか。それをあらわにしたのが、自民党の坂本哲志・総務大臣政務官の5日の発言である。職を失い、住む場所も生活の糧も奪われ「年越し派遣村」に集まった労働者に、「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と言い放ったのだ。

政府・与党には、ルール違反の期間・派遣社員切りをやめさせる踏み込んだ対策も、大銀行が先頭に立つ中小企業への貸し渋りを厳しく是正する姿勢もない。国民の深刻な被害に真剣に手を差し伸べる立場から、4・8兆円規模の補正予算案を再度精査するべきだ。

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