プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

米軍再編閣議決定 政府はアメリカの思い通りでも住民は違う

2006-05-31 12:28:08 | 政治経済
政府は30日の閣議で、在日米軍再編に関する基本方針の決定を、6月下旬の首相訪米の“手土産”作りのため、アメリカのいいなりに強行しました。米国と日本政府は今、ミスを犯し始めています。沖縄への基地押し付けを日本本土にまで広めました。日米安保に対する立場の違いを超えて、日本中からより激しい反対の声を呼び起こさないではおかないでしょう。

閣議決定は、「安全保障体制の確保」が「政府の最も重要な施策の一つ」であり、「政府が責任をもって取り組む」といって、関係する地方自治体や住民が国の「専管事項」に口をはさむなといわんばかりの強権姿勢をあらわにしています。しかし、この強気は弱さの反映でもあります。

日本共産党の緒方靖夫議員が30日の参院外交防衛委員会で、「基本方針は、米軍再編を着実に実施するとしている。そうだとすれば、基本方針は関係自治体の合意の問題をどう扱っているのか」とただしたところ、額賀福志郎防衛庁長官は「今後も協議をつづける」とのべ、自治体の合意なしに閣議決定したことを認めざるをえませんでした。
さらに緒方氏は、「最終合意」で「(米軍)再編案が実現可能であることを確認した」と明記されたことをあげ、「確認」の当事者である額賀長官に対し「こう判断する具体的な根拠は何か」と質問。答弁につまった長官は、これまでの自治体との協議で「(合意への)一定の感触を得た」とのべるのがやっとでした(「赤旗」06.5.31)。

緒方氏が言うように「一定の感触や希望的観測で対米関係の合意文書」がつくられているのです。

アメリカいいなりの根拠をただ「抑止力の確保」としか言えない政府がやることは札束で押え付けることだけです。米軍再編は地元に「新たな負担を伴う」といいながら「地域振興策」をぶらさげて受け入れを強要する手口の汚さも前代未聞です。新たに創設を検討している「再編交付金」は、環境アセスメントや着工などの進捗状況に応じて、配分する仕組みを導入し、計画が進まなければ交付金が配分されないようにし、まさに金がほしければ前へ進めと期限内実施を強制するつもりです。

閣議決定が、「日米安全保障協議委員会において承認された案を基本」とした沖縄の新基地建設には、七割もの沖縄県民が反対しています(政府は当初、「V字形」案を具体的に明記した「別紙」を基本方針に加えようとしましたが、結局断念しました。ここでも弱さを反映した格好です)。
厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機部隊と普天間基地からの空中給油機部隊の移駐をせまられている山口県岩国基地周辺住民は受け入れ拒否をつらぬくかまえです。
キャンプ座間(神奈川)への陸軍新戦闘司令部の移駐や新田原(宮崎)、築城(福岡)、百里(茨城)などへの米軍機移転訓練にも関係住民の反対がつよまっています。
閣議決定は、グアム移転費の分担についても「早期に実現する」といっています。グアムの米軍基地建設のために血税をつぎ込むことなど日本国民の誰も納得していません。

政府はアメリカいいなりに米軍再編の閣議決定をしても、国民はいいなりになりません。たたかいはこれからです。米国と日本政府に大変なミスを犯したことを思い知らせましょう。



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