プロメテウスの政治経済コラム

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鳩山税制「改正」 「強きを助け、弱きをくじく」逆立ち税制をさらに強化 反対の大運動を!

2009-12-10 21:07:31 | 政治経済

鳩山新政権のもとで、政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相)は、2010年度税制「改正」大綱の12月11日取りまとめをめざして、いま議論を本格化させている。小泉・竹中「構造改革」によって、大企業・富裕層が優遇され庶民には厳しい、まさに「強きを助け、弱きをくじく」逆立ち税制「改正」が次々と実行された。中間層の没落、ワーキングプア蔓延の背景に労働法制の規制緩和とともに、逆立ち税制「改正」があることは明らかだ。
民主党は、総選挙時の公約で、「子ども手当」創設と引き替えに「所得税の配偶者控除・扶養控除廃止」などおかしなことを言っていたが、一方で「不明朗な租税特別措置をすべて見直す」とも言っていた。政権交代すれば、少しは逆立ち税制にメスが入るかと期待したものである。しかし、その期待は完全に裏切られた。小泉・竹中時代の「強きを助け、弱きをくじく」税制はそのまま温存されたうえに、2002年に路線が敷かれた所得課税の大増税(庶民増税)、大企業・富裕層減税、消費税の大幅増税を内容とする「抜本的かつ包括的な税制改革」路線を忠実に進めようとしている。
民主党政権下で設置された新しい政府税制調査会は、自民党時代の政府税制調査会と与党税制調査会の二本立てを一本に統合し、メンバーも一新されたので、政治主導で税制改正論議が透明化するものと期待したが、やっていることは、財務省主税局官僚が書いた筋書きを議論する従来と実質的になんら変わらない。ここでも、民主党の限界、階級的性格が端無くも露呈した。

 政府税調はすでに、所得税と連動して住民税の扶養控除を廃止する方針を固めている。扶養控除が廃止されると収入が増えなくても課税所得の大幅アップとなり、これが幅広い社会保障制度への連鎖的な負担増を引き起こす。総務省の「住民税・所得税の扶養控除を見直した場合の他制度への影響」とする資料では、国民健康保険の保険料、保育所の保育料をはじめ、私立幼稚園就園奨励費補助や後期高齢者医療制度の自己負担など23項目を列挙している。社会保障制度の多くは、その自己負担額などが、所得税や住民税額、課税所得額などを基準にしているほか、住民税が非課税かどうかを基準としている場合が多いため、扶養控除の廃止と連動して他の制度の負担が「雪だるま式」に増えるのだ。
民主党は、総選挙時の政策文書で住民税の扶養控除については「見直しの対象にせず」としていた。完全な公約違反である。さらに、民主党はマニフェスト(政権公約)で、現行18%(年800万円以下部分)の「中小企業の法人軽減税率を11%に引き下げます」と公約していたにもかかわらず、「財源難」を理由に、見送る方針を決めた

「しんぶん赤旗」12月10日より

  一方、大企業を優遇している研究開発減税の上乗せ措置(控除限度額を当期の法人税額の20%から30%に引き上げ)について政府税調は当初、「見直す」方針を打ち出したものの、「(導入後)1年しかたっていない」ことを理由に、あっさり2年間の延長を決めた。さらに研究開発減税の本体部分については、「基本のところ(の見直し)をやれといっているわけでない」(峰崎直樹財務副大臣)と最初から見直すつもりもない。上場株式等の譲渡益や配当に対する税金の税率を10%(所得税7%、住民税3%)に軽減し、一部大資産家を優遇している証券優遇税制については、来年度税制「改正」の議論の対象にすらあがっていない。
アメリカでも株のもうけの税率は最高25%強(ニューヨーク市の場合)となっている。しかも、オバマ政権は、さらに5%の引き上げを提案。世界的な景気低迷のもと、低所得者の負担減とともに富裕層への課税強化が世界の流れである。証券優遇税制を見直さない鳩山政権の異常さが際立つ。お母さんから9億円の贈与を受けたが、そのお母さんの主たる収入は巨額の配当所得である。超富裕層の首相は、庶民がどんなに税負担に苦しんでも、自己の階級の利益を守るのだ

 日本では、2003年以降の6年間に、庶民には定率減税廃止や配偶者特別控除廃止、高齢者への増税(老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小)など、年間の税額にして5兆円以上もの増税が行われる一方、大企業や大資産家には、98年以降の10年間に、法人税率(97年度の水準37.5%→30.0%)や所得税最高税率の引下げ(50%→37%)、研究開発減税、証券優遇税制など、総額で7兆円(年間ベース)を超える減税がおこなわれてきた。小泉税制改革の合言葉は、「誰もが負担する」、「努力が報われる」、「経済の活性化」であった。「誰もが負担する」は庶民大増税、「努力が報われる」は金持ち優遇税制、「経済の活性化」はあの手この手の大企業減税である
民主党政権下で設置された新しい政府税制調査会は、自公政権のこの路線を転換しないばかりか、「強きを助け、弱きをくじく」逆立ち税制をさらに極端化しようとしている。 日本共産党は、予算の無駄遣いや大企業・大資産家優遇税制をただせば、約12兆円の財源が生み出せると試算している。政治とは極論すれば、税の取り方と使い方を決めることである。租税にたいする権利意識が低いことは、「強きを助け、弱きをくじく」逆立ち税制を許すことになる税制を応能負担の原則に戻し、租税が福祉・平和のために使われるためには、国民多数が「税民投票」の観点で大運動を起こすことだ


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