プロメテウスの政治経済コラム

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米軍駐留経費負担 日本国民からの収奪にストップを

2006-03-29 20:54:13 | 政治経済
参院外交防衛委員会は3月28日、在日米軍への「思いやり予算」(米軍駐留経費負担)に関する特別協定の二年間延長案を自民、民主、公明各党の賛成多数で可決しました。日本共産党と社民党は反対しました。日本政府は、これまで日米地位協定第24条の規定外に、その都度口実を設けては米軍駐留経費負担を負担してきました。条約上の義務でもない経費の負担はアメリカ国民による日本国民からの収奪にほかなりません。

これまでに日本政府が米軍に直接支払った経費負担額は五費目で約6兆4千4百億円プラス3億2千万ドル(当時のレートで約1152億円)に達します。基地周辺対策費を含めると更に8兆2千6百億円増えます。主な経費負担の内訳は上表の通りです。

関東計画とは1960年代末から1977年にかけて米軍が行った首都圏の米空軍基地移転・再配置(横田基地に移駐・統合)計画です。日本政府は土地を確保し、施設を建設し、宿舎の備え付けの家具まで準備しました。
沖縄返還協定をめぐり、米国に払った3億2000万ドルの中に土地の原状回復補償費400万ドルを日本側が肩代わりする密約があったにもかかわらず、日本政府がいまだにこれを否定し続けていることは記憶に新しい。
湾岸戦争では、わが国は130億ドル、すなわち国民一人あたり1万3千円、4人家族では5万円以上、全戦費の2割もの負担をしました。
沖縄に関する特別行動委員会(SACO)経費は沖縄の米軍基地を「縮小・整理」するためという名目で96年度補正予算から開始されました。

日米安保条約・地位協定上当然、米側が負担すべき費用を日本政府が「思いやり」と称して支出している米軍駐留経費負担に一時的、暫定的と言って特別協定を付け足し(今回2年延長しました)、負担を拡大してからでも20年になります。SACO経費も、思いやり予算と同じように日本がなんら負担する義務のない経費であり、第二の思いやり予算というべき性格のものです。
いままた、米軍再編計画のもとに移駐だけではなく、新たな施設建設(軍属の居住、レクレーション施設を含む)が日本国内及びアメリカ国内(グアム)で計画されています。日本政府が負担しようと考えている経費の負担額は3兆円を超えると言われています。条約上の義務を超える負担方式について麻生外相は「SACOのような形式が一つの考え方だ」と答えています(28日の参院外交防衛委員会での日本共産党・緒方靖夫議員への答弁)。

政府は、条約上の義務を超える経費を負担するたびに、米軍を援けることは日本の安全保障を効果的、円滑に進めるために必要だとの口実を持ち出してきました。これに加えて、今度は沖縄の負担軽減のためにやむをえない支出だと言おうとしています。

米軍の駐留はアジアでは、日本と韓国の二カ国に集中しています。在韓米軍の目的が朝鮮半島の紛争対処に限定されているのに対し、在日米軍はアジア・太平洋全域を見渡す戦略的な役割を担っています。陸、海、空、海兵隊の四軍すべてを各千人以上の部隊で駐留しているのは、世界で日本だけです。米国内を見ても、太平洋の拠点として、四軍で計約五万人の兵力を持つハワイと肩を並べるのが在日米軍です。在日米軍の各部隊を少し詳細に見れば、直接に日本防衛に当たっている部隊は無い、と言ってよいほどです。1991年9月に、東京の日本記者クラブで講演した米下院外交委員会アジア・太平洋問題小委員会のソラーズ委員長は「実際には在日米軍の大半は地域的任務を担っている。日本以外の地域への侵略を抑止している米軍を、日本が進んでその領土に駐留させ、他のどの同盟国よりも多額の駐留経費を負担してくれていることにアメリカは感謝すべきである」と述べています。

日本防衛に当たってもいない外国軍隊のために国民の血税が吸い取られる。こんな法外なことは一日たりとも許されないのではないでしょうか。


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