プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

社保庁解体  責任逃れのうえに保険料流用に群がる政官財癒着拡大のたくらみ

2007-06-19 16:37:56 | 政治経済

2001年の中央省庁再編とセットの公務員制度改革大綱から、はや6年。あの小泉前首相が2度も法案化に失敗したのに、いったら悪いがチンピラ渡辺喜美行革大臣のもとで、なんで2ヶ月で法案化にこぎつけることができたのか政官財癒着の構造が温存・拡大される仕組みなくしてそんなことが成功するはずがない。
公務員制度改革の難しさは、天下り規制と公務員のストライキ権問題にある(堤和馬「新人材バンクにこめた財界戦略」「しんぶん赤旗」6月19日)。
安倍政権の公務員制度「改革」関連法案は、天下り(再就職)については原則自由化し、ごく限られた一部の不正行為だけを規制した。労働三権(団結権、団体交渉権、スト権)については、手をつけず先送りとした。公務員制度改革の名に値しない代物だから、チンピラ内閣でも法案化できたのだ。
今回の法案化の裏には、人材紹介業界のビジネスチャンスという大きな利権もある。「人材交流センター」は、キャリア官僚(上級職)だけでなく、全職員の仲介業務を扱う。対象者は数万人規模に膨れ上がる可能性が指摘されている。人材派遣パソナのアドバイザーは元官房副長官の石原信雄氏であり、今年から、竹中平蔵が顧問となった。

「社保庁年金システム 発注総額1兆4000億円 受注側に15人天下り」(「東京」15日付)―年金保険料に群がる企業と天下り官僚、自民党による癒着構造をただした日本共産党の小池晃議員の参院厚生労働委員会での質問(14日)を、テレビや新聞が一斉に報じた(「しんぶん赤旗」6月19日)。
「消えた年金」問題では、これまでのシステムの問題、あらたな問題解決のための新システムが大問題となっている。そんなずさんな処理システムのために、NTTデータと日立の関連会社に対し、これまでに一兆四千億円もの公費が支払われてきた。小池氏の調べでは、社保庁や厚労省の幹部・職員ら少なくとも十五人が天下り、関係企業から自民党への献金は、同党の資金管理団体・国民政治協会分だけでも98年以降で二億二千七百万円にのぼる(「しんぶん赤旗」同上)。
年金利権に企業も官僚も群がり、保険料が政治献金の形で自民党に還流する典型的な政官財癒着の構図である。
もともと、公的年金の保険料は年金給付に充て、システム経費など事務費は国庫負担とするのが原則であった。しかし、98年度から財政難を理由に「臨時的措置」として事務費に保険料を充当することとなった。それ以降、システム経費は急増する。05年には千百四十億円にも膨れ上がっている(「しんぶん赤旗」同上)。
社保庁解体法案では、民間扱いの「日本年金機構」が主体で年金を運営するわけだから、この保険料流用はやまるどころか、いよいよ恒久化する

公務員制度「改革」法案で「交流センター」(新人材バンク)が発足して、社保庁「改革」法案で「日本年金機構」ができればどうなるか年金機構は民間企業と変わらないため、再就職(天下り)は自由。企業からの天上がりももちろん自由というわけだ。厚労省からの天下りも「交流センター」を経由すれば自由になり、天上がりもやりたい放題。しかも年金機構は、天下りの新たな受け皿にもなる。まさに「天下り・天上がり天国」だ(「しんぶん赤旗」同上)。
社保庁であれば、長官や幹部は公務員だから、国会に出て質問に答えなければならないが、年金機構ではそれも義務ではなくなる。 社保庁は、事務費だけでも毎年二千億円以上の予算を扱う。解体後は、多くの業務が民間委託される計画となっている。
天下り官僚を中心に、国民の目の届かない闇の中で政官財癒着の利権構造が拡大する。国民にとって保険料流用の被害は、保養施設グリーンピアの比ではないかもしれない。
会期を延長してまで、社会保険庁解体法案と公務員制度「改革」法案をごり押する安倍・自公政権のたくらみを許すことはできない。 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。