プロメテウスの政治経済コラム

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自衛隊 性犯罪多発 低劣な自衛隊員の質  聞き捨てにできない「そんなの関係ねえ」発言

2008-04-22 18:53:25 | 政治経済
歴史的大義を持たない軍隊組織というものは、質が劣化するのだろうか。前防衛事務次官の守屋武昌被告(63)に対する初公判が昨日(21日)、東京地裁(植村稔裁判長)であった。同被告と軍需商社との癒着関係は、自衛隊組織全体の人間性の低劣さを窺わせるものがある。防衛省がまとめた「私行上の非行による懲戒処分」一覧によれば、懲戒処分は2日に1件発生している。最近の極めつけは、名古屋高裁判決に対する空自幕僚長の「そんなの関係ねえ」発言である。

イラク派兵差し止め訴訟にたいする名古屋高裁判決(17日)は、過去の判決になかった画期的な内容を含むものであった。航空自衛隊の対米軍空輸支援が武力行使を禁じる憲法九条一項に違反しているだけでなく、政府の憲法解釈にもとづくイラク特措法にさえ違反し、逸脱していると断罪した。政府と同じ論理構成を辿りながら、イデオロギー、価値観と関係なく現実の問題点を指摘したのだ。それを空自の田母神俊雄・幕僚長は「そんなの関係ねえ」などと、タレントの芸をまねて発言し、高村正彦外相は「大臣を辞めて暇でもできたら読んでみる」と言い放ったのである。もはや、法治国家としての秩序もなにもない。交通違反しようが、泥棒しようが「そんなの関係ねえ」というわけだ。そこには自分の立場や他人にたいする配慮など微塵もない。イラクの犠牲者に思いを馳せる人間性を持っていたら、決してギャグを使って語ることなどできるはずがない。支配階級の番犬の精神的退廃そのものである。

航空自衛隊の男性隊員による女性隊員へのセクシュアルハラスメント問題を追及する日本共産党の紙智子参院議員の求めに応じて防衛省が陸・海・空各自衛隊ごとの処分一覧をまとめた。一覧には05年度と06年度分の陸海空ごとの被処分者の階級、年齢、「事案の概要」、処分年月日、処分内容が記されている。「懲戒処分」数は両年度とも160件強。自衛隊員がほぼ二日に一件の割合で規律や刑法に係る事件・犯罪をくりかえしている、という数字である(「しんぶん赤旗」4月20日)。
「事案の概要」は深刻だ。暴行・殺人、児童虐待死、公然・強制わいせつ、児童買春、セクシュアルハラスメント、覚せい剤などの凶悪・破廉恥罪が続々。このうち陸海空の各自衛隊で共通して多いのが性的破廉恥行為。陸自では05年度で37件、06年度は45件である。両年度ともほぼ、毎週のように性犯罪をおこしていることになる。見過ごせないのは、こうした犯罪に手をそめているのが一般隊員だけでなく幹部自衛官も例外ではないということだ(「しんぶん赤旗」同上)。
歴史的大義をもたない軍隊は、規律を保持することが不可能だ。他人の人権を虫けらのように扱うことによって成り立つ組織であるからである。

守屋前防衛事務次官の収賄罪は、防衛省と政界、軍需産業トライアングルの氷山の一角にすぎない。それにしても、高級官僚の脇の甘さとイジマシさが際立っている。「03年8月―07年4月、宮崎元伸被告(「山田洋行」元専務)から12回計約389万円相当のゴルフ旅行と、108回計約497万円相当の日帰りゴルフの接待を受けた。04年5月―06年2月、同被告側から妻と二女名義の口座に計約363万円の送金を受けた」という(「しんぶん赤旗」4月22日)。

鹿児島県警加治木署は22日、タクシー車内で運転手を刺して殺害したとして、陸上自衛隊練馬駐屯地(東京都)所属の1等陸士(19)=練馬区=を殺人容疑で逮捕した(「毎日」4月22日10時15分)。タクシー運転手殺害は、米兵だけではなかった。規律を失った武装暴力集団は、他人の生命を何とも思わない。漁船団を蹴散らかしたイージス艦も本質は同じである。

私たちは、このような他人の人権や生命を何とも思わない退廃した武装組織に毎年5兆円近くの血税をつぎ込んでいるのだ。本当にお人よしだと思う。

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