プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

菅・民主党 1ヶ月も経たずに迷走  大企業いいなりに未来はない

2010-07-02 19:30:09 | 政治経済
菅・民主党が1ヶ月も経たずに迷走を始めた。菅首相は、国民への“脅し”で、消費税増税を押し付けようとする一方で、国民の怒りを恐れて“動揺”をはじめた。国民の期待を裏切り、公約を守れない民主党が党内向けに「参院選マニフェストQ&A」出している。公約を守れないことに対する「言い訳」集だが、言い訳にもならない中身や、逆に本音が垣間みえる。この党に政治変革を期待することは、もはやほとんど不可能である。市民運動派だったはずの菅首相もその理念の軽さといい、不勉強といい1ヶ月もたたずに地に落ちたものだ。
自己の経営努力によってではなく、労働者、国民、下請け企業を踏みつけることによって海外で荒稼ぎする輸出大企業やアメリカいいなりの政治家には、自信を持って語る理念がない。

民主党や自民党が持ち出してきた消費税の大増税は、国民の暮らしを破壊し、経済を破たんさせるものだ。菅首相は、6月30日の街頭演説などで、くり返し、「このままでは(財政破たんした)ギリシャのようになる」と国民を“脅し”て、消費税増税を押し付けようとする。
神戸女学院大の石川康宏教授がブログで次のように皮肉っている。<ついでにいえば、菅総理よ、ギリシャの財政破綻は、10年で法人税を16ポイントも下げたことが大きな原因だ。それと同じことを、自分でこれからやろうとしながら、「ギリシャのようになるぞ」と叫ぶのは、天にツバするドアホウ行為。一国の総理としては、このうえないほどの「不勉強」。しゃべるほどに「恥かき」だ。>(「ギリシャのようになるぞ」って、アンタがいって一体どうする2010/06/30)。

消費税増税を持ち出すなら、もうちょっとヨーロッパのことを勉強するべきだ
対GDPの政府債務残高だけについて言えば、日本は、たしかにギリシャよりひどい。しかし、その債務がどのようにファイナンスされているかである。日本国内には240兆円以上の純資金余剰があり、200兆円を超える対外純資産がある。日本政府が発行する国債は、主に国内の金融機関などが買っている。海外投資家が保有する割合は7%程度しかなく、全体の9割以上を国内で保有している。ところが、ギリシャの場合は、7割以上を海外の投資家が保有している。アメリカやドイツの国債も、約半分を海外投資家が保有している。
英国の経済紙、フィナンシャル・タイムズ2月8日付は「日本の債務危機は誇張されている」との論評で「日本の債務は国の保有分を差し引けば国内総生産(GDP)の100%以下」「日本の債務の95%は国内で消化されている。気まぐれな外国人が左右することはできない」と述べている(「しんぶん赤旗」2010年7月2日)。
国際投機筋に狙われたギリシャとは明らかに違うのだ。

菅首相の「(日本も)このままいったら、2年か3年で、あるいは1年か2年でギリシャみたいになっちゃうよ」というのは、彼独特の為にする虚仮威しである。さらに、ギリシャが財政危機に陥った原因の一つとして、法人税減税によって税収を大きく減らしたこと(40%から、この10年間に段階的に引き下げられ、今年は24%にまで下がっていた)、おまけに、06年には消費税率を引き上げ(18%→19%)、今年に入ってから21%(7月から23%)に引き上げたことを知ると、菅首相がこれからやろうとしていることとそっくりそのままであり、まさに“天にツバするドアホウ行為”とはこのことだ。

菅首相は、国民への“脅し”で、消費税増税を押し付けようとする一方で、国民の怒りを恐れて“動揺”をはじめている。菅首相は、「所得の少ない人に消費税を還付する」と言い始めたのだ。しかも、どの所得層の人を対象にするかは、一日の演説のなかで年収200万円から400万円へと「バナナのたたき売り」(共産党・志位委員長)のようにどんどん引き上げる有様である。志位委員長は1日の埼玉県内での街頭演説で次のように訴えた。「所得の少ない人への還付などということを言い出したのは、消費税がいかに『弱いものいじめ』の税金であるかを自分で認めたものです。還付するというなら、初めから増税しなければすむ話です。『返す』というなら最初から『取るな』といいたい。これは国民の怒りを恐れて“動揺”が始まったということです。参院選の審判がいよいよ大切になってきました。日本共産党を躍進させて、消費税増税計画を中止させましょう」(「しんぶん赤旗」2010年7月2日)。

支配階級に屈服することで、政権の維持を図る菅・民主党は、虚仮威しで国民を脅してみたり、妙な言い訳をしてみたり、日本社会の閉塞状況を打開する理念をもたない。野党が、テレビでの党首討論を申し込んだら、「下手をするとつるし上げになる」と逃げる有様である。この党に政治変革を期待することは、もはやほとんど不可能である。


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