プロメテウスの政治経済コラム

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自衛隊給油支援の米艦船からアフガン空爆機  防衛相が認める

2007-10-17 18:52:34 | 政治経済
政府はきょう(17日)の臨時閣議で、「新テロ対策特別措置法案」(「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」)を決定し、国会に提出する予定だ。インド洋での自衛隊の給油支援が米軍のアフガニスタン攻撃を支えてきたことはこの6年の実態を検証すれば明らかである。高村正彦外相や石破茂防衛相は武力攻撃をする艦船への給油を「当初はやっておりました」と認めたものの、現在は海上阻止活動への支援を「もっぱらやっている」とのべ、新法では海上阻止活動のための給油だけにするようにいって国民世論を取り付けようと腐心しているしかし、この説明がごまかしであることが、日本共産党の小池晃参議院議員の追及で明白になった。答弁に窮した福田首相は、「いくら議論したって、賛成とは言わないんでしょう、結局」とキレテしまった(「しんぶん赤旗」同上)。

参議院予算委員会で小池議員は、報復戦争の6年でテロがなくなるどころかテロを世界中に拡散しており、米軍のアフガニスタン空爆などがさらなるテロを引き起こす悪循環をもたらしていると批判するとともに、自衛隊が、最近もアフガニスタンを空爆している米艦船に給油している事実を示して戦争支援を追及した。「暴力事件は前年比20%増、昨年は123件だった自爆攻撃は、今年は現在までですでに100件を超えている…」小池氏の求めに応じて高村正彦外相が読み上げた。情勢の泥沼化は政府も認めざるをえなかったのだ。
小泉大介・「赤旗」記者は次のような体験を書いている。「2001年12月初旬。記者は、アフガニスタン南部との交通を結ぶパキスタンのチャマン国境検問所で、同年10月に開始されたアフガン報復戦争を取材していました。アフガンでは、首都カブール陥落後のこの時期、米軍の攻撃はカンダハルなどタリバンの拠点である南部に移り、連日、激しく空爆していました。アフガン側からチャマン国境検問所の医療テントに次々と運ばれてくる空爆犠牲者のなかに、当時32歳の男性、左腕を骨折したムハンマド・カーンさんがいました。瀕死状態の妻と二人でカンダハルから搬送されてきたのです。カーンさんは声を振りしぼるようにいいました。『自宅を空爆され、一瞬にして私の五人の子どもたちが死んでしまった。米軍は彼らがテロリストだとでもいうのか』『私はタリバンでもなんでもないが、ケガが治ったら必ず米国に復讐する』」(「しんぶん赤旗」10月2日)。

「アフガン空爆を行っている米軍に対して、日本は当初は給油していたが、今は行っていない」。高村外相は他党の質問でこれまでこう繰り返していた。しかし小池氏がこの弁明を覆した。昨年9月に、海上自衛隊の補給艦「ましゅう」が米強襲揚陸艦イオウジマに給油をした。石破茂防衛相は、昨年9月4日と22日に給油した事実とともに、この間にイオウジマ艦載機のハリアー垂直離着陸攻撃機がアフガンに対して136回も攻撃飛行していることを認めた。さらに小池氏は今年2月のアラビア海上の空母アイゼンハワーの写真パネルを示した。写真には、同空母から攻撃機が飛び立ち、その周辺では海自の補給艦「とわだ」が米ミサイル巡洋艦アンツィオに給油している姿が鮮明に写っていた。与党議員もパネルを食い入るように見つめ、配布した資料を何度もめくる議員の姿も見られた(「しんぶん赤旗」同上)。

アフガニスタンの治安が悪化の一途をたどり、逆にテロが拡大していることは、「報復」が「報復」を呼ぶという大義なき戦争の本質を表している。理由もなく家族を奪われた者の憎しみが消えることはない。「戦争でテロはなくならない」「戦争はテロを再生産するだけ」―アフガン戦争をめぐる一連の事実に照らせば、憲法論議をするまでもなく、日本政府による戦争支援継続には何の道理もないことが明らかではないか

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