プロメテウスの政治経済コラム

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米兵犯罪裁判権放棄の密約  米公文書で明らかに 諦めずに自民党政府を追及しよう!

2008-05-27 18:17:04 | 政治経済
1974年に沖縄県・伊江島で起こった「住民狙撃事件」で、犯人の米兵に対する第一次裁判権が結局、米側に帰属することになった背景には、日米政府で取り交わされた「密約」があった。地元沖縄の新聞が社説で抗議するなど怒りが広がっている。普通の日本国民なら、少なくとも対米で、日本が主権国家だとは誰も考えていないと思うが、安保条約を対等の日米平和友好条約に変えるまでまつのではなく、諦めずに自民党政府を追及するほかない。

またしても日米で取り交わされた密約が明らかになった。いったい政府は、国民に説明できない秘密事項をどれだけ抱えているのだろうか。米公文書で分かったのは、1953年に米政府と合意した「重要な案件以外、日本側は裁判権を放棄する」という密約だ(沖縄タイムス社説5月19日)。
主権による統治組織を持つ社会集団を「国家」と呼ぶなら、日本はこの定義から外れるのではないかと考えてしまう。そのくらいショッキングな日米両国政府の秘密合意の存在が明るみに出た。先ごろ機密解除された複数の米側公文書によれば、日米政府は日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、1953年に「重要な案件以外、日本側は裁判権を放棄する」との密約に合意した。実際、日本側はその後、約5年間に起きた事件の97%の第一次裁判権を放棄していた(琉球新報社説5月19日)。

1974年の米兵による「伊江島住民狙撃事件」で当初、「公務外」の事件として日本側に裁判権を譲っていた米側が、突如、「公務中」だったとして日本側から裁判権を取り上げた詳細な経過が、米政府解禁文書で分かった。米軍の特権的地位を定めた日米地位協定の下で、米側が「公務証明書」を恣意(しい)的に発行すれば、日本側から裁判権を奪える仕組みになっていることを示すものだ
解禁文書は、国際問題研究者の新原昭治氏が3月から4月にかけて米国立公文書館で入手したもの。17日に都内で開かれた日本平和委員会主催の学習会での講演で明らかした(「しんぶん赤旗」5月18日)。

「伊江島住民狙撃事件」は、沖縄返還2年後の1974年7月10日、許可された、沖縄県・伊江島の米軍基地内で米兵二人が畜産用の草を刈っていた青年をトラックで追い回し、至近距離から照明弾を発射し負傷させた事件である。新原さんが、日米間の水面下の交渉を明らかにした17日、米兵に狙撃された男性(54)が琉球新報社の取材に応じた。
男性は「今でも7月10日の午後6時になると、あの事件を思い出してしまう。たぶん死ぬまで忘れられない」と当時の恐怖を語る。同じ場にいたほかの村民を追いかけなかった理由を「走らないから面白くない」と答えた米兵の証言を知った男性は「基地のために無理やりすみかを追われ、さらに納得できない理由で撃たれる。人として扱われていない証拠だ」と憤りを新たにした。結局、日本は事件の裁判権を放棄。男性は防衛庁から渡された約100万円の賠償金で無理やり納得させられた。撃った米兵の行方も分からないままだ。
当時の外交電報で、米政府は方針変更の理由について「裁判権を行使し損なえば、他国との地位協定や米兵の士気にまで影響が及ぶ」と報告していた。駐留先の住民の生命よりも、米兵の士気のほうが大切という米側の神経には驚くほかないが、それを「致し方なし」とする日本側の感覚も理解できない(琉球新報5月18日)。

新原氏は17日の講演で、本来、日本に第一次裁判権があるはずの米兵犯罪で、日本が裁判権を放棄している背景には、1950年代以来の日米密約があると指摘した。この密約の存在については、多数の米政府解禁文書が言及している。1957年11月にフランク・ナッシュ米大統領特別顧問がアイゼンハワー大統領に提出した報告「米軍の海外軍事基地・付録」は、「秘密覚書で、日本側は、日本にとり物質的に重大な意味をもつものでない限り、第一次裁判権を放棄することに同意している」と明言し、密約の存在と内容を確認している(新原昭治編訳『米政府安保外交秘密文書』)。

日本は52年、対日講和条約の発効で沖縄を除けば独立を回復し主権を取り戻した形となった。しかし、一方で、裁判権放棄という「外部に漏れたら恥ずべき事態」(当時の岸信介首相)がひそかに進行していたことになる。これでは「主権国家」と胸を張れまい。国民への裏切り行為ともいえ、歴代の政権が半世紀余にわたり公表を避けていた罪は重い。政府には、国民を欺き続けた経緯と責任の所在について、明確に説明してもらいたい(琉球新報社説 同上)。

当時の政権は自民党政権である。今の福田内閣は政府として当時の事情・経緯について説明する責任がある。また、密約はほかにないのか、政府は情報開示して、説明する責任がある。国会(衆参各院)は国政調査権を行使して、以上の点について真相を解明する必要がある(上脇博之・神戸学院大学教授)。

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