プロメテウスの政治経済コラム

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派兵恒久法 与党PT 秋の臨時国会に提出狙う  改めて思う名古屋高裁判決の意義

2008-05-26 20:38:16 | 政治経済
インド洋で給油活動を行うための新テロ対策特措法の期限は来年1月に切れる。自公政権としてはアメリカの手前、今年1月の衆院再議決による強行成立まで、給油活動を中断せざるをえなくなったような事態を絶対に繰り返せない。民主党抱き込みが、不確実な現状では、秋の臨時国会で3分の2議席があるうちに、何らかの手当てをすることが、タイムリミットである。
多くの国民は、戦争好きの米国との軍事同盟を続けている間に、戦後の日本と世界がめざしたことをすっかり忘れかけた。イラク派兵違憲判断名古屋高裁判決は、良い加減になってしまった私たちの背筋を正す画期的な判決であった

アメリカは、イラク、アフガンで泥沼に陥っているが、自分の都合に従わない者を武力によって従わせるという帝国的野望を捨てる気はいない。これは、大統領が変わっても変わらない。常に敵を見つけ出し、戦争することが、国家存立の必要条件となっているからである。しかし、いくらなんでもアメリカが単独で暴れまわれるほど、世界は甘くないところまで進んで来た。国連決議は無理でも、同盟国との有志連合の形にはしたい。米兵だけが犠牲になるのは、自分の都合とはいえ、ちょっとばかばかしい。 アメリカから見て、その都度特措法では、とくにいまのような参院状況で、とても迅速で機動的な対応を期待できない。さらに、米軍支援活動に、武力行使の制限とか、集団的自衛権行使の制限とか、いろいろ制限をつけられるのは誠に苛立たしい。他の同盟国のようになんでできないのか。

アメリカからの要求を政府は「国際平和協力活動」といい、そして自衛隊の海外派兵が、度重なると国民の間で、自衛隊が海外にでかけることを殊更気にしなくなってきているのではないか。このような流れのなかで、自民党と公明党は23日、自衛隊の海外派兵を随時可能にする恒久法にかんする「与党プロジェクト・チーム」(PT)の初会合を国会内で開き、今国会中に法案要綱をまとめる方針を確認した
アメリカの要求に対し、その都度特措法ではなく、迅速で機動的に応える一般(恒久)法を導入し、明文改憲までには、まだまだ時間がかかりそうなので、改憲先取りでギリギリ、これまでの武力行使の制限とか、集団的自衛権行使の制限枠をはずしてしまおうというわけだ((1)停戦監視(2)人道復興支援(3)後方支援などに加えて、(4)警護(5)治安維持(6)船舶検査など)。

武装した自衛隊が戦争している米軍と近い場所で支援を行うということは、いくら御託を並べても、憲法違反の武力行使となることは明らかだ。名古屋高裁判決は、政府が隠しているイラクでの自衛隊の活動を詳細に検討したうえで、「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国による武力行使と一体化したものであり、イラク特措法2条2項、同3項、かつ憲法9条1項に違反する」との判断を下した。
対応措置の実施は,武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない(2条2項)し、対応措置については,我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為)が行われておらず,かつ,そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる一定の地域(非戦闘地域)において実施しなければならにからである(2粂3項)。

私たちは、「国際平和協力活動」といわれると弱い。しかし、民族紛争などの地域紛争でも大抵は、アメリカなど大国の武器輸出や資源にかかわる思惑がからんでいる。戦争屋なしでは、武力紛争はそんなに長く続かない。
私たちは、名古屋高裁判決の次ぎの一文を噛み締めよう。「控訴人らは,それぞれの重い人生や経験等に裏打ちされた強い平和への信念や信条を有しているものであり,憲法9条違反を含む本件派遣によって強い精神的苦痛を被ったとして,被控訴人に対し損害賠償請求を提起しているものと認められそこに込められた切実な思いには,平和憲法下の日本国民として共感すべき部分が多く含まれているということができ,決して,間接民主制下における政治的敗者の個人的な憤慨,不快感又は挫折感等にすぎないなどと評価されるべきものではない
平和を思う信念は,平和憲法を持つ私たち日本国民の共通の思いではなかったか! 現状に流され、「国際平和協力活動」などいう良い加減な言葉に騙されてはならない!

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