プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

3・1ビキニデー   「非核日本宣言」の運動を原水協がよびかけ

2007-03-01 19:17:44 | 政治経済
第五福竜丸の被災については、詩人のアーサー・ビナードさんと映画監督の山田洋次さんが新年の対談(「しんぶん赤旗」1月4日付)であまり知られていない重要なエピソードを話し合っている。
山田   僕は恥ずかしいけれども、ビナードさんの、アメリカの水爆実験で死の灰を浴びた第五福竜丸を描いた絵本『ここが家だ――ベン・シャーンの第五福竜丸』で初めて、無線長の久保山愛吉さんが、被害を受けたことを絶対に無線で母港に知らせなかったことを知りました。
ビナード
 久保山さんは、戦争中に「軍属」にされた漁船、いわゆる徴用船に乗り組んだ経験があったんです。その経験から、無線が傍受されることは分かっていたし、また原爆についての知識も豊富だったんですね。終戦後、まだ九年しかたってませんから。
山田   無線を傍受されたら、場所を知られてしまう。そのことが頭にあったんでしょうね。・・・     無線を打ったら内容を傍受されて撃沈されるかもしれない、ということがピンときたんだな、久保山さんは。
ビナード
 アメリカに生まれ育った僕が、第五福竜丸事件のことに関心を持ったとき、何が不思議に思えたかというと、どうして生きて帰れたんだろうと――。ペンタゴンがそのまま帰すわけはない、撃沈するに決まってる、なんであの木造船が焼津まで戻れたんだろうって。・・・・
山田   大変な緊張だったんですね。
ビナード 第五福竜丸事件の話をすると、死の灰を浴びて被爆して、かわいそうな被害者だというふうになりがちですしかし、被害者じゃないんですね。英雄なんです。みずからの知恵と勇気で危機を脱して生還して、生き証人となった、それで世界が変わった。・・・     

久保山さんの死を契機に、日本から世界へ、大きくひろがった反核の世論と運動は、核破局の危険を押さえ込み、核兵器全面禁止・廃絶を世界の声にしてきた。しかし、世界の核固執勢力はいまだに、核兵器全面禁止・廃絶に同意せず、かれらに対抗するかたちで、核拡散の危険すらあるのが現実である。
同時に注目すべきことは、拡散への懸念が強まるなかで、いまこそ核兵器の廃絶を、新たな核保有国の出現を許さない、拡散問題の平和的解決を、という世界の声がひろがっていることも確かな現実であることだ。
昨年12月の国連総会では、核保有国も同意した核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を求める決議が、157カ国の賛成で採択された。一方、アメリカは、たとえ一国だけでも核軍縮決議にことごとく反対し、世界の流れからの孤立と逆行をますます際立たせている。そして自らの危険な核政策をよそに、軍事力によって他国の核拡散を押さえ込むやり方が、批判にさらされているのである(「しんぶん赤旗」2007年2月24日)。

日本政府は、核兵器保有国に核兵器廃絶の「約束」履行をせまった非同盟諸国提出の決議にも、核兵器全面禁止条約早期締結の交渉開始を求めたマレーシアなどの決議にも棄権した。日本政府は、アメリカの核兵器を日本防衛のための「不可欠」の「核抑止力」としているからであるアメリカの核兵器は必要だ、あくまでアメリカの核の傘にしがみつくという立場では核兵器廃絶要求を前面に押し出すことはできない。日本の平和と核兵器禁止の運動によって世界の世論をリードするためには、私たちは、被爆国としてアメリカに核兵器廃絶を迫る勇気をもつことがなによりも必要だ。

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